詳細情報
福岡県で後継者不足にお悩みの中小企業経営者の皆様へ朗報です。事業の未来をM&A(第三者への事業承継)に託す際の大きなハードルとなる専門家への手数料や調査費用。その負担を大幅に軽減する「福岡県中小企業のM&Aによる事業承継支援補助金」が公募されています。この制度を活用すれば、最大50万円の補助を受けながら、円滑な事業承継を実現できます。この記事では、補助金の対象者、対象経費、申請方法から、採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。大切な会社を未来へつなぐための第一歩として、ぜひ本記事をご活用ください。
この補助金のポイント
- 福岡県内の中小企業・小規模事業者が対象
- M&Aにかかる仲介手数料やデューデリジェンス費用などを補助
- 補助上限額は最大50万円
- 小規模事業者は補助率が2/3に優遇
- 事業を譲渡する側(売り手)も譲り受ける側(買い手)も対象
- 申請には「福岡県事業承継・引継ぎ支援センター」の支援が必須
① 補助金の概要
まずは、この補助金がどのような制度なのか、全体像を把握しましょう。
正式名称
福岡県中小企業のM&Aによる事業承継支援補助金
実施組織
福岡県(申請窓口・問い合わせ先は福岡商工会議所)
目的・背景
福岡県内では、多くの中小企業で経営者の高齢化が進んでおり、後継者が見つからないために廃業を選択せざるを得ないケースが増加しています。これは、貴重な技術やノウハウ、雇用が失われることにつながり、地域経済にとって大きな損失です。そこで福岡県は、親族や従業員への承継だけでなく、第三者への引継ぎ(M&A)という選択肢を促進するため、本補助金制度を設けました。M&Aの際に発生する専門家への費用負担を軽減することで、1社でも多くの中小企業が事業を次世代へつなぐことを支援するのが目的です。
② 補助金額・補助率
この補助金でいくら支援を受けられるのか、具体的な金額と補助率を見ていきましょう。特に小規模事業者の方は優遇措置がありますので注目です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限額 | 50万円 |
| 補助率(中小企業) | 補助対象経費の1/2以内 |
| 補助率(小規模事業者) | 補助対象経費の2/3以内 |
計算例
- 例1:中小企業の場合
M&A仲介手数料として120万円を支払った場合。
120万円 × 補助率1/2 = 60万円
補助上限額が50万円のため、補助金額は50万円となります。 - 例2:小規模事業者の場合
企業価値算定とデューデリジェンス費用で合計90万円かかった場合。
90万円 × 補助率2/3 = 60万円
補助上限額が50万円のため、補助金額は50万円となります。 - 例3:小規模事業者の場合
契約書作成費用などで60万円かかった場合。
60万円 × 補助率2/3 = 40万円
補助上限額(50万円)以下のため、補助金額は40万円となります。
③ 対象者・条件
この補助金を利用するためには、いくつかの重要な要件を満たす必要があります。特に「福岡県事業承継・引継ぎ支援センター」の支援が前提となる点に注意してください。
【最重要要件】
「福岡県事業承継・引継ぎ支援センター」の支援を受け、補助対象期間内に事業譲渡(M&A)を完了した、または完了する見込みであることが必須です。
対象となる事業者
- 譲渡側(売り手):福岡県内に事業所を有する中小企業・小規模事業者
- 譲受側(買い手):福岡県内の中小企業から事業を譲り受けた者(個人事業主や県外企業も対象となる可能性があります。詳細は窓口にご確認ください)
この補助金は、事業を譲り渡す側だけでなく、事業を引き継ぐ側も対象となるのが大きな特徴です。M&Aは双方の協力があって初めて成立するため、両者の負担を軽減する設計になっています。
④ 補助対象経費
M&Aプロセスでは様々な専門的費用が発生します。この補助金がどのような経費をカバーしてくれるのか、具体的に確認しましょう。
対象となる経費リスト
- 仲介手数料:M&A仲介業者との契約に基づき支払う着手金、成功報酬など。
- 企業価値算定費用:会社の価値を評価するための費用(バリュエーション費用)。
- デューデリジェンス費用:買い手が売り手企業の財務や法務状況を調査する費用。
- 契約書作成・レビュー費用:弁護士などに最終契約書等の作成や確認を依頼する費用。
- 不動産鑑定評価書取得費用:事業用不動産の時価評価にかかる費用。
- 不動産売買・登記費用:不動産売買手数料や登記にかかる司法書士への報酬。
- 定款変更等の登記費用:会社法上の手続きに伴う登記費用。
- 許認可等申請費用:事業に必要な許認可の承継や新規取得にかかる行政書士への報酬など。
- 労務関連手続費用:従業員の引継ぎに伴う社会保険労務士への手続き依頼費用。
対象外となる経費の例
公募要領に明記されていない場合でも、一般的に以下のような費用は対象外となる可能性が高いです。
- 消費税および地方消費税
- 振込手数料
- 公的機関に支払う登録免許税や印紙代などの法定費用
- 汎用的なパソコンや事務用品の購入費
- 交渉のための交通費や飲食費
⑤ 申請方法・手順
補助金を受け取るまでの流れをステップごとに解説します。期限が複数回設定されているため、計画的に準備を進めましょう。
申請スケジュール
| 締切 | 日程 |
|---|---|
| 第1次締切 | 令和7年(2025年)10月31日(金)<必着> |
| 第2次締切 | 令和7年(2025年)11月28日(金)<必着> |
| 最終締切 | 令和7年(2025年)12月26日(金)<必着> |
【注意】予算がなくなり次第、受付は終了となります。M&Aの成約が見えた段階で、早めに申請準備を進めることをお勧めします。
申請のステップ
- 福岡県事業承継・引継ぎ支援センターへの相談
まずは公的相談窓口である「福岡県事業承継・引継gi支援センター」に相談し、M&Aに関する支援を受けます。これが補助金申請の絶対条件です。 - M&Aの実行と費用の支払い
専門家と契約し、M&Aプロセスを進めます。補助対象となる経費の支払いが発生します。 - 申請書類の準備
福岡商工会議所のホームページから申請書類をダウンロードし、必要事項を記入します。見積書や契約書、領収書など、経費の証拠となる書類も揃えます。 - 申請書類の提出
準備した書類一式を、申請窓口である福岡商工会議所に郵送等で提出します。締切日必着なので、余裕をもって発送しましょう。 - 審査・交付決定
提出された書類に基づき審査が行われ、採択されると交付決定通知が届きます。 - 補助金の受領
交付決定後、指定した口座に補助金が振り込まれます。
必要書類リスト(想定)
正式なリストは必ず福岡商工会議所のホームページで確認が必要ですが、一般的に以下のような書類が求められます。
- 補助金交付申請書
- 事業計画書(M&Aの概要がわかるもの)
- M&Aに関する契約書の写し(基本合意契約書、最終契約書など)
- 補助対象経費の見積書、請求書、領収書などの写し
- 直近の決算報告書の写し
- 法人(個人)の納税証明書
- 福岡県事業承継・引継ぎ支援センターの支援を受けていることがわかる書類
- (法人の場合)履歴事項全部証明書
- (個人事業主の場合)開業届の写しや確定申告書の写し
⑥ 採択のポイント
この補助金は要件を満たせば比較的採択されやすいと考えられますが、予算には限りがあります。確実に採択されるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
申請要件を完璧に満たす
最も重要なのは、「福岡県事業承継・引継ぎ支援センター」の支援を受けていることです。この証明がなければ審査の土俵にすら上がれません。また、対象者や対象経費の要件を公募要領で再確認し、すべて満たしていることを確認しましょう。
書類の正確性と整合性
申請書の情報と、添付する契約書や請求書の内容に食い違いがないように細心の注意を払いましょう。金額、日付、事業者名など、基本的な情報が一致していることは審査の大前提です。提出前に第三者にもチェックしてもらうと安心です。
早めの申請を心がける
「予算に達し次第、受付終了」と明記されているため、締切が早いほど採択の可能性は高まります。M&Aの最終契約が締結され、費用の支払いが確定したら、速やかに申請準備に取り掛かり、第1次締切を目指すのが理想的です。
よくある不採択理由
- 申請要件(特に事業承継・引継ぎ支援センターの支援)を満たしていない。
- 提出書類に不備(記入漏れ、押印漏れ、添付書類不足)がある。
- 申請した経費が補助対象外だった。
- 申請期限を過ぎてしまった。
- 申請時点で既に予算が上限に達していた。
⑦ よくある質問(FAQ)
- Q1. 個人事業主でも申請できますか?
- A1. はい、福岡県内の個人事業主が事業を譲渡する場合、または事業を譲り受ける場合も対象となる可能性があります。中小企業基本法上の「中小企業者」に該当すれば対象となりますので、詳細は申請窓口である福岡商工会議所にご確認ください。
- Q2. 補助金の申請前に支払った費用は対象になりますか?
- A2. はい、この補助金はM&Aが完了した後に申請する「精算払い」の形式が基本です。補助対象期間内に発生・支払いした経費が対象となります。具体的な対象期間については、公募要領を必ずご確認ください。
- Q3. 「福岡県事業承継・引継ぎ支援センター」とは何ですか?相談は有料ですか?
- A3. 国が設置する公的な事業承継の相談窓口です。専門家が無料で相談に応じてくれます。後継者不在の悩みからM&Aの具体的な進め方まで、幅広くサポートしてくれます。この補助金の申請には、まずはこちらへの相談が必須となります。
- Q4. 買い手(譲受側)が福岡県外の企業でも、売り手(譲渡側)は補助金を使えますか?
- A4. はい、譲渡側(売り手)が福岡県内の中小企業であれば、買い手の所在地に関わらず、売り手側は補助金の対象となります。同様に、買い手側が県外企業でも、売り手が県内中小企業であれば、買い手側も対象となる可能性があります。詳しくは窓口にご確認ください。
- Q5. 申請すれば必ず採択されますか?
- A5. 要件を満たし、書類に不備がなければ採択される可能性は高いですが、保証されるものではありません。特に、予算が上限に達した場合は受付が終了してしまうため、できるだけ早いタイミングでの申請が重要です。
⑧ まとめ・行動喚起
今回は、「福岡県中小企業のM&Aによる事業承継支援補助金」について詳しく解説しました。
重要ポイントの再確認
- 目的:M&Aによる事業承継にかかる費用を補助し、円滑な引継ぎを支援する。
- 補助額:最大50万円(補助率:中小企業1/2、小規模事業者2/3)。
- 必須条件:「福岡県事業承継・引継ぎ支援センター」の支援を受けていること。
- 申請期限:最終締切は2025年12月26日(金)だが、予算がなくなり次第終了。
- 申請窓口:福岡商工会議所。
事業承継は、経営者にとって非常に大きな決断です。特にM&Aは、多くの専門家の協力が必要となり、費用面での不安も大きいでしょう。この補助金は、その不安を和らげ、前向きな一歩を踏み出すための強力な後押しとなります。
もしあなたが事業承継について少しでもお考えなら、最初のステップとして、まずは「福岡県事業承継・引継ぎ支援センター」へ無料相談することから始めてみてください。そこから、補助金の活用を含めた最適な事業承継への道筋が見えてくるはずです。
問い合わせ先
福岡商工会議所 中小企業経営支援部 中小企業振興グループ
TEL:092-441-1146
住所:〒812-8505 福岡市博多区博多駅前2-9-28 9F