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「少しだけ自分の時間がほしい」「子どもに家庭以外の場所での経験をさせたい」…そんな子育て中の保護者の願いをサポートする新しい制度、「こども誰でも通園制度」が2025年度から順次スタートします。この制度は、保護者の就労状況にかかわらず、生後6か月から満3歳未満のお子さんを月10時間まで保育所などに預けることができる画期的な取り組みです。これまで保育園の利用が難しかった専業主婦(主夫)家庭や、フリーランスで働く方々にとっても、大きな支えとなることが期待されています。この記事では、新しい「こども誰でも通園制度」について、対象者、利用料金、申請方法から注意点まで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく徹底解説します。あなたの家庭に合った新しい子育ての選択肢を見つけるために、ぜひ最後までご覧ください。
こども誰でも通園制度の概要
まずは、この新しい制度がどのようなものなのか、基本的なポイントを押さえておきましょう。
正式名称と目的
この制度の正式名称は「乳児等通園支援事業」ですが、一般的には「こども誰でも通園制度」という愛称で呼ばれています。こども家庭庁が主導するこの制度の主な目的は以下の2つです。
- 全てのこどもの健やかな育ちを応援し、家庭だけでは得られない多様な経験や交流の機会を提供する。
- 保護者の子育てにおける孤立感や負担感を軽減し、多様な働き方やライフスタイルに関わらず、全ての子育て家庭を支援する。
従来の「一時預かり」が主に保護者のリフレッシュや急用に対応するための「預かり」に重点を置いていたのに対し、この制度は「こどもの育ち」を第一の目的としている点が大きな特徴です。
実施主体とスケジュール
制度の設計は国(こども家庭庁)が行いますが、実際の事業の実施主体は各市区町村となります。そのため、利用方法や料金の詳細、実施施設などは自治体によって異なる場合があります。
- 2025年度(令和7年度):一部の市区町村で先行的に事業が開始されます。
- 2026年度(令和8年度):全国のすべての自治体で本格的に実施される予定です。
【重要】制度の利用条件を徹底チェック
この制度を利用できる対象者や時間、料金について詳しく見ていきましょう。
対象となるこども
以下のすべての条件を満たすお子さんが対象となります。
- お住まいの市区町村に住民票があること。
- 年齢が生後6か月から満3歳未満であること(3歳の誕生日の前々日まで)。
- 認可保育所、認定こども園、小規模保育事業、企業主導型保育事業などを利用していないこと。
ポイント:幼稚園のプレ保育や、認可外保育施設に月極で通っていても、この制度の対象となる場合があります。また、一時預かり事業の利用とは併用可能です。詳細はお住まいの自治体にご確認ください。
利用可能な時間
利用できる時間は、こども1人あたり月10時間が上限です。多くの自治体では、1時間以上の利用から30分単位で予約が可能です。ただし、この利用時間は当月のみ有効で、使い切れなかった時間を翌月に繰り越すことはできません。
利用料金と減免制度
利用料金は、こども1人1時間あたり300円程度を標準として、各実施施設が設定します。これとは別に、給食やおやつ代などの実費が必要になる場合があります。
さらに、家計への負担を軽減するため、所得に応じた利用料の減免制度が設けられています。以下は国の示す標準的な減免内容です。
| 対象世帯 | 減免後の利用者負担額(1時間あたり) |
|---|---|
| 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 市町村民税非課税世帯 | 60円程度 |
| 市町村民税所得割額77,101円未満の世帯 | 90円程度 |
| 要支援・要保護児童のいる世帯 | 150円程度 |
※上記はあくまで標準例です。実際の金額や対象要件は自治体によって異なりますので、必ず確認してください。
【完全ガイド】申請から利用までの5ステップ
制度の利用には、国が提供する「こども誰でも通園制度総合支援システム」を活用するのが一般的です。スマートフォンやパソコンから手続きを進めることができます。以下に、申請から利用までの基本的な流れを5つのステップで解説します。
総合支援システムとは?
利用者が施設を検索・予約したり、利用時間を管理したりするためのオンラインシステムです。事業者や自治体もこのシステムで情報を一元管理するため、スムーズな利用に不可欠なツールとなります。
Step 1:自治体へ利用登録申請(初回のみ)
まず、お住まいの市区町村の窓口やオンライン申請システムで「対象者確認申請書」などを提出し、制度の利用登録を行います。お子さん1人につき1枚の申請が必要です。
Step 2:総合支援システムのログインID発行
自治体での審査後、申請時に登録したメールアドレス宛に総合支援システムのログインIDが送られてきます。発行までには1週間〜10日程度かかる場合があるため、早めに申請しましょう。
Step 3:利用者情報の入力(初回のみ)
発行されたIDでシステムにログインし、保護者やお子さんの情報(アレルギーの有無、予防接種歴など)を詳しく入力します。
Step 4:事前面談の予約・実施(初回利用施設ごと)
システム上で利用したい施設を検索し、事前面談を予約します。面談では、お子さんの様子を伝えたり、施設の案内を受けたりします。お子さんと一緒に訪問するのが基本です。
Step 5:利用予約と当日利用
面談が終われば、システムで施設の空き状況を確認しながら利用日を予約できます。当日は予約した施設へ行き、利用料を支払います。登園・降園時には、施設が提示するQRコードを読み取って時間を記録することが多いです。
上手に活用するためのポイントと注意点
利用パターンを選べる
利用方法は、大きく分けて2つのパターンがあります。
- 定期利用:毎週火曜日の午前中など、曜日や時間帯を決めて同じ施設を継続的に利用する方式。
- 柔軟利用:特定の施設を決めず、その都度空きのある施設を予約して利用する方式。
お子さんや家庭の状況に合わせて、自治体や施設と相談しながら利用方法を決めることができます。
キャンセルポリシーを確認しよう
お子さんの急な体調不良などでキャンセルする場合のルールは、施設によって定められています。特に当日キャンセルの場合、予約していた時間分が利用枠から消費される(利用したものとみなされる)ことが多いので注意が必要です。無断キャンセルが続くと、その後の利用を断られる可能性もあります。キャンセルする場合は、できるだけ早く施設に連絡しましょう。
医療的ケア児や障害児の利用も想定
この制度では、障害や医療的ケアが必要なお子さんの受け入れも想定されています。看護師などを配置して体制を整えている施設や、場合によっては保育者が自宅を訪問する「居宅訪問型」の支援も可能です。該当するお子さんの利用を検討する場合は、事前に自治体の担当課へ相談することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 専業主婦(主夫)でも本当に利用できますか?
A1. はい、利用できます。この制度の最大の特徴は、保護者の就労状況や就労の有無を問わない点です。リフレッシュ目的での利用も可能です。
Q2. 「一時預かり事業」とは何が違うのですか?
A2. 主な違いは目的です。「一時預かり」は保護者の就労や病気、リフレッシュなど「保護者の事情」に対応することが主目的です。一方、「こども誰でも通園制度」は、こどもの発達や社会性を育むなど「こどもの育ちの応援」を第一の目的としています。
Q3. 月の途中で3歳になった場合、その月は利用できますか?
A3. 制度の対象は「満3歳未満」のため、3歳の誕生日の前々日まで利用可能です。3歳の誕生日以降は利用できなくなります。
Q4. 兄弟姉妹で利用する場合、利用時間は合算されますか?
A4. 利用時間は合算されません。対象となるお子さん「1人あたり」月10時間まで利用できます。例えば対象年齢の兄弟が2人いれば、それぞれ月10時間ずつ、合計で月20時間利用可能です。
Q5. 自分が住んでいる市町村以外の施設は利用できますか?
A5. 原則として、住民票のある市区町村内の施設を利用します。ただし、自治体間で協定を結んでいる場合は、市外の施設を利用できる「広域利用」が可能なこともあります。希望する場合はお住まいの自治体にご確認ください。
Q6. 申請すれば必ず利用できますか?
A6. 利用登録自体は要件を満たせば可能ですが、実際の利用は施設の受け入れ枠(定員)に空きがあるかによります。希望する日時や施設が常に予約できるとは限らないため、複数の施設を検討したり、早めに予約したりするなどの工夫が必要です。
まとめ:新しい子育ての選択肢を賢く活用しよう
「こども誰でも通園制度」は、これからの子育てのあり方を大きく変える可能性を秘めた制度です。最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 対象:保育所等に通っていない0歳6ヶ月〜満3歳未満のこども
- 条件:保護者の就労要件は一切問わない
- 時間:こども1人あたり月10時間まで利用可能
- 料金:1時間300円程度が標準。所得に応じた減免制度あり
- 開始時期:2025年度から一部自治体で開始、2026年度に全国展開
この制度を上手に活用することで、お子さんには新しい成長の機会を、そして保護者の方には心と時間のゆとりをもたらすことができます。まずは、あなたがお住まいの市区町村のウェブサイトを確認したり、保育担当課に問い合わせたりして、最新の情報を手に入れることから始めましょう。新しい時代の新しい子育て支援を、ぜひあなたの家庭でも活用してみてください。