高知県内で介護事業所を運営されている皆様へ朗報です。深刻化する人手不足や職員の業務負担増といった課題に対し、最大1,000万円、補助率4/5(80%)という非常に手厚い支援を受けられる「令和7年度高知県介護事業所デジタル化支援事業費補助金」の公募が開始されました。この補助金は、介護ロボットやICT機器の導入を通じて、働きやすい職場環境を実現し、介護サービスの質を向上させることを目的としています。申請にはセミナー受講などの事前準備が必須となりますが、計画的に進めることで採択の可能性は大きく高まります。この記事では、補助金の概要から複雑な申請要件、具体的な手順、そして採択されるためのポイントまで、どこよりも分かりやすく徹底的に解説します。この絶好の機会を逃さず、事業所の未来を切り拓きましょう。

この補助金のポイント

  • 補助上限額1,000万円:大規模なシステム導入も視野に
  • 補助率4/5(80%):自己負担を大幅に軽減
  • 幅広い対象経費:介護ロボット、ICT機器、ソフトウェア、コンサル費用まで
  • 申請期限:令和7年9月25日(木)【当日消印有効】

① 補助金の概要

まずは、本補助金の基本的な情報を確認しましょう。どのような目的で、誰が実施している制度なのかを理解することが第一歩です。

正式名称 令和7年度高知県介護事業所デジタル化支援事業費補助金
実施組織 高知県 子ども・福祉政策部 長寿社会課
目的・背景 福祉・介護職場の環境を改善することにより職員の定着促進及び介護サービスの質の向上を図るため、介護ロボット、ICT機器等の導入を支援する。
公募期間 公募開始済み 〜 令和7年9月25日(木)【当日消印有効】

② 補助金額・補助率

本補助金の最大の魅力は、その手厚い支援内容にあります。自己資金を抑えながら、効果的なデジタル化投資が可能になります。

補助金額と補助率
補助上限額 1介護事業所あたり 1,000万円
補助率 5分の4(80%)
補助額の計算方法 「補助対象経費 × 4/5」と「基準額」を比較し、いずれか少ない方の額(千円未満切り捨て)

計算例

例えば、1,200万円(税抜)の見守りシステムと介護記録ソフトを導入する場合を考えてみましょう。

  • 補助対象経費:1,200万円
  • 補助額の計算:1,200万円 × 4/5 = 960万円
  • 補助上限額(1,000万円)との比較:960万円 < 1,000万円
  • 最終的な補助額:960万円
  • 自己負担額:1,200万円 – 960万円 = 240万円

このように、1,200万円の投資が、わずか240万円の自己負担で実現できる可能性があります。

③ 対象者・申請要件

本補助金を利用するには、対象事業者の条件を満たした上で、複数の申請要件をクリアする必要があります。特に事前準備が必要な項目が多いため、計画的に進めることが重要です。

対象事業者

  • 介護保険法に基づくサービスを提供する高知県内の全てのサービス事業所
  • 老人福祉法に基づく高知県内の養護老人ホーム及び軽費老人ホーム

【重要】7つの申請要件

申請にあたっては、以下の全ての要件を満たす必要があります。一つでも漏れがあると審査対象外となるため、必ず確認してください。

  1. 「SECURITY ACTION」の宣言
    独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」又は「★★二つ星」のいずれかを宣言している必要があります。宣言はオンラインで可能です。
  2. 指定セミナーの受講
    以下のいずれかのセミナーを受講していることが必須です。
    • こうち介護生産性向上総合支援センター実施のセミナー(「高知県介護生産性向上支援セミナー」または「失敗しないICT機器の【選び方・活かし方】実践セミナー」)
    • 厚生労働省委託事業によるセミナー(「ビギナーセミナー」と「フォローアップセミナー」の両方)
    ※セミナーに参加できなかった場合は、速やかに「こうち介護生産性向上総合支援センター(kochi@kaigo-center.or.jp)」へメールで相談してください。
  3. 業務改善計画の作成と専門家への相談
    「こうち介護生産性向上総合支援センター」に相談の上、指定の様式で業務改善計画を作成する必要があります。これが審査の核となる重要な書類です。
  4. 委員会の設置
    交付要綱別表第1に示すサービス(入所・泊まり・居住系など)を提供する事業者は、利用者の安全や職員の負担軽減を検討するための委員会を設置する必要があります。
  5. ケアプランデータ連携システムの利用開始
    交付要綱別表第2に示すサービス(在宅系など)を提供する事業者は、令和7年度内に「ケアプランデータ連携システム」の利用を開始することが求められます。
  6. LIFEへの協力
    科学的介護情報システム(LIFE)による情報収集に協力することが要件です。
  7. その他、交付要綱の要件を満たすこと
    交付要綱第3条に定められた補助の要件を全て満たす必要があります。必ず公式サイトから交付要綱をダウンロードし、熟読してください。

④ 補助対象経費

本補助金では、介護現場のデジタル化に資する幅広い経費が対象となります。自社の課題解決に最適な機器やサービスを選定しましょう。

対象となる経費の例

  • 介護テクノロジー等の導入:介護ロボット(移乗支援、入浴支援等)、見守りセンサー、インカム、スマートフォン、タブレット端末、介護記録ソフト、勤怠管理システム等のICT機器・ソフトウェアの購入・リース費用
  • 介護テクノロジーのパッケージ型導入:複数の機器(例:見守りセンサー+インカム+記録ソフト)を連携させて導入する場合の経費
  • 導入支援と一体的に行う業務改善:導入にあたっての専門家によるコンサルティング費用、職員研修費用など

対象外となる経費の例

  • 汎用性のあるもの(通常のPC、プリンター、サーバー等)
  • 職員の人件費、旅費、通信運搬費
  • 不動産の購入費、施設の改修工事費
  • 消費税及び地方消費税
注意:対象経費の詳細は交付要綱に定められています。導入したい機器が対象になるか不明な場合は、必ず事前に高知県長寿社会課に確認してください。

⑤ 申請方法・手順

申請は複数のステップを踏む必要があります。特に交付決定前に契約・購入したものは補助対象外となるため、流れを正確に把握しておくことが極めて重要です。

  1. 【STEP1】事前準備(要件充足)
    指定セミナーの受講や「SECURITY ACTION」の宣言など、前述の申請要件をクリアします。
  2. 【STEP2】専門家相談と業務改善計画作成
    「こうち介護生産性向上総合支援センター」に連絡を取り、導入したい機器や解決したい課題について相談します。アドバイスを受けながら、指定様式(別紙3)で業務改善計画を作成します。
  3. 【STEP3】必要書類の準備と申請
    申請書や見積書など、下記の必要書類一式を揃え、期限内に高知県長寿社会課へ郵送します。
    【提出期限:令和7年9月25日(木)当日消印有効】
  4. 【STEP4】審査・交付決定
    高知県にて申請内容の審査が行われ、採択されると「交付決定通知書」が送付されます。
  5. 【STEP5】事業実施(契約・購入・導入)
    必ず交付決定通知書を受け取った後に、申請した機器等の契約・購入・導入を行います。
  6. 【STEP6】実績報告
    事業が完了したら、速やかに(令和8年1月31日等が期限)、実績報告書と関連書類(契約書、請求書、領収書、写真など)を県に提出します。
  7. 【STEP7】補助金額の確定・交付
    実績報告書の審査後、補助金額の確定通知が届き、指定の口座に補助金が振り込まれます。
  8. 【STEP8】導入効果報告
    補助金交付後、導入した機器の効果について報告を行います。

必要書類一覧

  • 補助金交付申請書(別記第1号様式)
  • 補助金対象事業一覧表(別紙1)
  • 補助金所要額調書(別紙2)
  • 業務改善計画様式(別紙3)
  • 歳入歳出予算書抄本(別紙4)
  • 導入する機器等に係る見積書の写し
  • 導入する機器等に係るカタログ等(機能及び販売価格が記載されているもの)
  • 県税の滞納がない旨を証する納税証明書

⑥ 採択のための重要ポイント

本補助金は予算に限りがあるため、申請すれば必ず採択されるわけではありません。審査を通過し、採択を勝ち取るためのポイントを解説します。

  • 業務改善計画の質を最大限に高める
    「なぜこの機器が必要なのか」「導入によって、誰のどの業務が、どのように、どれくらい改善されるのか」を具体的かつ客観的に記述することが最も重要です。「記録時間が1日あたり平均30分削減される」「夜間の巡視回数を5回から2回に減らし、職員の身体的負担を軽減する」など、数値目標を盛り込むと説得力が増します。
  • こうち介護生産性向上総合支援センターを徹底活用する
    必須要件であるセンターへの相談を、単なる手続きと捉えてはいけません。自社の課題を率直に伝え、専門家のアドバイスを積極的に計画に反映させましょう。第三者の視点が入ることで、計画の客観性と実現性が高まります。
  • 申請要件を完璧に満たす
    セミナー受講証明やSECURITY ACTIONの宣言など、一つでも不備があれば審査の対象にすらなりません。申請前にチェックリストを作成し、全ての要件を満たしているか複数人で確認しましょう。
  • 書類の正確性と丁寧さ
    誤字脱字、計算ミス、添付書類の漏れは、事業遂行能力を疑われる原因になります。提出前には必ず最終確認を徹底してください。

⑦ よくある質問(FAQ)

Q1. 交付決定通知が届く前に、機器を発注してしまいました。補助金の対象になりますか?
A1. 対象外となります。「事前着手」は一切認められていません。必ず県の交付決定通知書が手元に届いてから、契約や発注を行ってください。
Q2. 指定のセミナーに参加できませんでした。もう申請は不可能ですか?
A2. 諦めるのは早いです。公式案内で「セミナーに参加できなかった場合、こうち介護生産性向上総合支援センターへメールでご相談ください」とされています。まずは速やかに指定のメールアドレスに連絡し、指示を仰いでください。
Q3. 複数の機器を導入したいのですが、まとめて申請できますか?
A3. はい、可能です。補助金対象事業一覧表(別紙1)に導入したい機器を全て記載し、それらを活用した業務改善計画を作成してください。ただし、補助上限額は1事業所あたり1,000万円です。
Q4. リース契約は補助対象になりますか?
A4. 一般的にリース費用も対象となることが多いですが、契約内容によります。詳細は交付要綱を確認するか、高知県長寿社会課へ直接お問い合わせください。
Q5. 申請にあたって、機器の販売店に相談しても良いですか?
A5. 機器選定の相談は問題ありませんが、補助金の申請内容に関する質問は、必ず申請を行う事業所が直接、高知県に行ってください。公式案内でも「販売店や工事業者からの質問への回答はお断りします」と明記されています。

⑧ まとめと次のアクション

「令和7年度高知県介護事業所デジタル化支援事業費補助金」は、高知県の介護事業所が抱える課題を解決するための強力な後押しとなる制度です。

重要ポイントの再確認

  • 支援内容:最大1,000万円、補助率4/5
  • 申請期限:令和7年9月25日(木)
  • 必須要件:セミナー受講、専門家相談、SECURITY ACTION宣言など事前準備が多数
  • 最重要書類:こうち介護生産性向上総合支援センターと連携して作成する「業務改善計画」
  • 厳守事項:交付決定前の契約・購入は絶対NG!

申請期限まで時間は限られています。今すぐ以下のステップで行動を開始しましょう。

【今すぐやるべきこと】
1. 公式サイトから「交付要綱」をダウンロードし、熟読する。
2. 指定セミナーの受講状況を確認する。未受講の場合は、すぐにセンターへ相談する。
3. 「こうち介護生産性向上総合支援センター」へ連絡し、相談のアポイントを取る。

この機会を最大限に活用し、職員が働きやすく、利用者が安心して過ごせる未来の介護現場を築いていきましょう。

お問い合わせ先

担当部署 高知県 子ども・福祉政策部 長寿社会課(介護事業者担当)
所在地 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話番号 088-823-9632
メール 060201@ken.pref.kochi.lg.jp
公式サイト 令和7年度高知県介護事業所デジタル化支援事業費補助金の申請受付について