南海トラフ地震への備えが重要視される中、愛媛県伊予市では市民の安全な暮らしを守るため、「伊予市家具転倒等防止対策事業費補助金」を実施しています。この制度は、地震発生時の家具の転倒や落下による被害を防ぐための器具購入・設置費用の一部を補助するものです。最大で15,000円の補助が受けられ、ご家庭の防災対策を力強くサポートします。この記事では、伊予市にお住まいの方向けに、補助金の対象者、金額、申請方法、そして採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。ご自身と大切なご家族の命を守る第一歩として、ぜひ本制度をご活用ください。

この補助金のポイント

  • 伊予市民限定の防災支援制度
  • 家具固定器具の購入・設置費用を最大15,000円補助
  • 補助率は対象経費の4分の3と高水準
  • 申請は先着順!予算がなくなり次第終了
  • 突っ張り棒やL字金具、ガラス飛散防止フィルムなど幅広い器具が対象

① 補助金の概要

まずは、本補助金の基本的な情報について確認しましょう。どのような目的で、誰が実施している制度なのかを理解することが第一歩です。

正式名称

正式名称は「伊予市家具転倒等防止対策事業費補助金」です。お問い合わせの際はこちらの名称をお伝えください。

実施組織

この補助金は、愛媛県伊予市が実施しています。担当部署は危機管理課です。

目的・背景

阪神・淡路大震災や東日本大震災では、亡くなった方の多くが家屋の倒壊や家具の転倒による圧迫死でした。また、転倒した家具が避難経路を塞いだり、割れたガラスで負傷したり、ストーブを倒して火災の原因になったりするケースも少なくありません。本補助金は、こうした地震発生時の家具の転倒、散乱、落下による被害を未然に防ぎ、市民の生命と財産を守ることを目的としています。市民一人ひとりが家庭内の防災対策を進めることを経済的に支援する、非常に重要な制度です。

② 補助金額・補助率

この補助金で最も気になるのが、いくら補助されるのかという点でしょう。ここでは補助金額の上限、補助率、そして具体的な計算例を見ていきます。

補助金額と補助率

補助金額は、対象となる家具転倒等防止器具の購入費および設置費用の合計額の4分の3です。ただし、上限額が定められています。

項目 内容
補助率 4分の3 (75%)
補助上限額 15,000円
備考 算出された補助額の100円未満は切り捨て

計算例

具体的な費用でシミュレーションしてみましょう。

  • 例1:総事業費が20,000円の場合
    20,000円 × 3/4 = 15,000円
    → 補助額は上限額の15,000円となります。自己負担は5,000円です。
  • 例2:総事業費が12,000円の場合
    12,000円 × 3/4 = 9,000円
    → 補助額は9,000円となります。自己負担は3,000円です。
  • 例3:総事業費が8,500円の場合
    8,500円 × 3/4 = 6,375円
    → 100円未満は切り捨てのため、補助額は6,300円となります。自己負担は2,200円です。

③ 対象者・条件

この補助金を利用するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。ご自身が対象となるか、ここでしっかり確認してください。

【重要】対象者の主な要件

  • 伊予市内に住所がある(住民登録している)世帯の世帯主であること。
  • 補助金の利用は、1世帯につき1回限りであること。
  • (過去にこの補助金を利用した世帯は対象外です。令和6年度に利用された方も対象外となります。)
  • 市税等を滞納していないこと。(多くの自治体補助金で共通の要件です)

対象となる方の具体例

  • 伊予市内の持ち家にお住まいのご家庭
  • 伊予市内の賃貸アパートやマンションにお住まいの世帯
  • 一人暮らしの高齢者や学生の方(世帯主である場合)

持ち家か賃貸かは問いませんが、賃貸住宅で壁に穴を開けるL字金具などを使用する場合は、必ず事前に大家さんや管理会社の許可を得てください。

④ 補助対象経費

どのような器具や費用が補助の対象になるのでしょうか。対象となる経費の範囲は広く、様々な防災対策に活用できます。

対象となる器具の例

以下のような器具の購入費および、業者に依頼した場合の設置費用が対象です。

  • ストッパー式器具: 家具の下に敷き、傾斜をつけて倒れにくくします。
  • 突っ張り棒(ポール式器具): 家具と天井の間で突っ張って固定します。
  • L字金具: 家具と壁をネジで直接固定する、最も強固な方法です。
  • 連結金具: 上下で分離するタイプの家具(食器棚など)を連結して一体化させます。
  • ベルト式・チェーン式・ワイヤー式器具: 家具と壁をベルトやチェーンで繋いで固定します。
  • ガラス飛散防止フィルム: 食器棚や窓ガラスに貼り、地震でガラスが割れた際の飛散を防ぎます。
  • 食器棚等の開き戸用留め金: 揺れを感知すると扉をロックし、食器の飛び出しを防ぎます。
  • 滑り止めシート: 棚板に敷き、食器や置物の滑り出しを防ぎます。

対象外となる経費の例

一方で、以下のような費用は補助の対象外となる可能性が高いのでご注意ください。

  • 自分で設置した場合の工具代(ドライバー、脚立など)
  • インターネットで購入した際の送料
  • 申請者自身や家族が設置した場合の工賃(人件費)

⑤ 申請方法・手順

補助金の申請は、正しい手順と書類の準備が不可欠です。ここでは、申請から補助金交付までの流れを4つのステップに分けて解説します。

申請期間:令和7年5月1日(木) ~ 令和8年2月27日(金)
先着順です。期間内であっても予算の上限に達し次第、受付は締め切られますので、早めの申請をおすすめします。
※補助の対象となるのは、令和7年5月1日(木)以降に購入・設置した費用です。

ステップ1:器具の購入と設置

まず、ホームセンターやインターネット等で対象となる家具転倒防止器具を購入し、ご自宅の家具に設置します。この際、後の申請で必要になるため、以下の2点を必ず行ってください。

  • 写真撮影: 器具を「設置する前」「設置した後」の写真を、設置箇所ごとに撮影します。どの家具に設置したか分かるように、少し引いたアングルで撮るのがポイントです。
  • 領収書の保管: 「購入日」「購入店名」「商品名」「金額」が明記された領収書やレシートを必ず保管してください。業者に設置を依頼した場合は、その費用が分かる領収書や内訳書も必要です。

ステップ2:必要書類の準備

次に、申請に必要な書類を揃えます。

必要書類 入手方法・備考
1. 申請書兼請求書(様式第1号) 伊予市公式サイトからダウンロード、または市役所危機管理課・地域事務所の窓口で入手。
2. 設置前後の写真 ステップ1で撮影したもの。印刷して添付します。
3. 領収書等の写し 支出を確認できる書類(レシート、領収書、内訳書など)のコピー。
4. 世帯主名義の預金通帳 窓口で申請する場合に持参。振込先口座の確認のため。郵送・メールの場合は写しを添付。

ステップ3:申請書の提出

準備した書類を以下のいずれかの方法で提出します。

  • 窓口申請: 伊予市役所 危機管理課または各地域事務所の窓口に直接持参します。その場で書類のチェックをしてもらえるので安心です。
  • 郵送申請: 必要書類一式を封筒に入れ、危機管理課宛に郵送します。
  • メール申請: 申請書や領収書、写真をスキャンまたは撮影してデータ化し、指定のメールアドレスに送付します。

ステップ4:補助金の交付

提出した書類に不備がなければ、申請から約1か月後に、指定した世帯主名義の口座に補助金が振り込まれます。交付決定通知などが事前に送付される場合があります。

⑥ 採択のポイント

この補助金は、要件を満たしていれば基本的に交付されるものです。しかし、申請が受理されないケースのほとんどは書類の不備です。確実に補助金を受け取るために、以下の点に注意しましょう。

よくある不採択・差戻し理由

  • 領収書の内容不足: レシートに購入品名が「お品代」としか書かれていない、日付がないなど。必ず詳細が分かる領収書をもらいましょう。
  • 写真の不備: 設置前後の写真がない、またはどちらか一方しかない。写真が不鮮明で何が写っているか分からない。
  • 申請者と口座名義の相違: 申請者は世帯主ですが、振込先口座が配偶者や子の名義になっている。必ず世帯主名義の口座を指定してください。
  • 申請期間外の購入・設置: 令和7年5月1日より前に購入・設置したものは対象外です。

最大のポイントは「早めに、かつ丁寧に準備して申請すること」です。先着順のため、迷っているうちに予算が尽きてしまう可能性もあります。防災対策は先延ばしにせず、この機会にぜひ取り組みましょう。

⑦ よくある質問(FAQ)

ここでは、申請を検討している方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q1. 賃貸住宅に住んでいますが、申請できますか?

A1. はい、伊予市にお住まいの世帯主であれば、賃貸住宅でも申請可能です。ただし、L字金具などで壁や柱に穴を開ける場合は、トラブルを避けるため必ず事前に大家さんや管理会社に許可を取ってください。突っ張り棒やストッパー式など、建物を傷つけないタイプの器具を選ぶのも一つの方法です。

Q2. 自分で設置した場合も対象になりますか?

A2. はい、対象になります。その場合、補助対象経費は「器具の購入費用」のみとなります。ご自身で設置した際の工賃(手間賃)は対象外です。業者に設置を依頼した場合は、その「設置費用」も購入費と合算して補助対象経費とすることができます。

Q3. 複数の家具に設置した場合、すべて対象になりますか?

A3. はい、対象です。1世帯あたりの補助上限額15,000円の範囲内であれば、複数の家具に設置した複数の器具の購入・設置費用をまとめて申請することができます。

Q4. 申請期間より前に購入したものは対象になりますか?

A4. いいえ、対象外です。この補助金は、令和7年5月1日(木)以降に購入および設置した費用が対象となります。それ以前のものは申請できませんのでご注意ください。

Q5. 伊予市の他の防災関連補助金と併用できますか?

A5. 目的が異なる補助金であれば、併用できる可能性があります。例えば、伊予市では「感震ブレーカー設置推進事業費補助金」なども実施しています。家具転倒防止と感震ブレーカーは目的が異なるため、それぞれ申請することが可能です。詳しくは市の担当課にご確認ください。

⑧ まとめ・行動喚起

今回は、愛媛県伊予市が実施する「家具転倒等防止対策事業費補助金」について詳しく解説しました。

重要ポイントの再確認

  • 対象者: 伊予市在住の世帯主
  • 補助額: 最大15,000円(経費の3/4)
  • 対象経費: 家具固定器具の購入・設置費用
  • 申請期間: 令和7年5月1日~令和8年2月27日
  • 注意点: 先着順!予算に達し次第終了。書類準備は念入りに!

地震はいつ起こるか分かりません。「いつかやろう」と思っていると、その「いつか」は来ないかもしれません。この補助金は、費用負担を大きく軽減しながら、ご家庭の安全対策を始める絶好の機会です。ぜひこの制度を活用し、ご自身と大切な家族の命を守るための備えを進めてください。

不明な点があれば、伊予市役所の担当課へ気軽に問い合わせてみましょう。

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