詳細情報
重度訪問介護サービス利用者等通勤援助助成金は、重度の障害がある従業員の通勤をサポートする事業主を支援する制度です。通勤援助者の委嘱費用の一部が助成され、障害者の雇用継続と活躍を後押しします。 この記事では、制度の概要から対象者、助成額、申請の流れまでを詳しく解説します。
重度訪問介護サービス利用者等通勤援助助成金の概要
本助成金は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が実施する「重度障害者等通勤対策助成金」の一つです。重度訪問介護、同行援護、行動援護といった福祉サービスを利用している障害者を雇用する事業主が、通勤を支援するための「通勤援助者」を委嘱した場合に、その費用の一部が助成されます。
この制度の大きな特徴は、国の雇用施策(本助成金)と、市町村の福祉施策(雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業)が連携して運用される点にあります。そのため、助成金を利用するには、雇用する障害者が居住する市町村で、この連携事業が実施されていることが前提となります。
この助成金のポイント
- 目的:重度障害者の通勤困難を解消し、安定した雇用を促進する。
- 対象費用:通勤援助者(重度訪問介護等事業者)への委嘱費用。
- 支給額:中小事業主の場合、月最大8.4万円。
- 前提条件:従業員が住む市町村で関連事業が実施されていること。
助成金の対象者と支給要件
助成金を受給するためには、事業主と雇用される障害者の両方が特定の要件を満たす必要があります。
対象となる事業主
以下の要件を満たす障害者を雇用し、通勤を容易にするための措置を講じる事業主が対象です。
対象となる障害者
以下のいずれかの福祉サービスの支給決定を受けている方が対象となります。
- 重度訪問介護
- 同行援護
- 行動援護
※上記に該当し、かつ障害者雇用率制度上の対象障害者である必要があります。
助成額・助成率・支給期間
助成額と助成率は、事業主の規模(中小事業主か否か)によって異なります。
| 項目 | 中小事業主以外 | 中小事業主 |
|---|---|---|
| 助成率 | 4/5 | 9/10 |
| 限度額(月額) | 月 7.4万円 まで | 月 8.4万円 まで |
| 支給期間(上限) | 3ヶ月間(支給開始から当該年度末まで) | |
※中小事業主の範囲については、JEEDの規定をご確認ください。
申請手続きの流れ
申請は以下のステップで進めます。市町村との連携が不可欠なため、早めに相談を開始することが重要です。
- 市町村への確認:まず、雇用する障害者が居住する市町村の障害福祉担当課等に、「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」を実施しているかを確認します。
- 支援計画書の作成:事業主、対象の障害者、市町村等の3者間で協議し、「支援計画書」を作成します。この計画書で、必要な支援内容や範囲を明確にします。
- 必要書類の準備:JEEDのウェブサイトから申請様式をダウンロードし、必要事項を記入します。主に以下の書類が必要です。
- 障害者助成金支給請求書(様式第628号)
- 支給要件確認申立書(様式第540号)
- 作成した支援計画書
- その他、管轄支部が求める書類
- 申請書類の提出:準備した書類を、事業所の所在地を管轄する都道府県支部へ提出します。提出方法は「持参」「郵送」「e-Gov電子申請(2回目以降の請求のみ)」から選択できます。
関連助成金:職場での支援について
通勤だけでなく、職場での業務遂行を支援する制度として「重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金」もあります。文書作成の代読やPC入力の補助など、職場での介助者にかかる費用が助成対象となります。通勤支援とあわせて活用することで、より包括的なサポート体制を構築できます。
まとめ
「重度訪問介護サービス利用者等通勤援助助成金」は、重度障害者の就労意欲と企業の雇用意欲を結びつける重要な制度です。申請には市町村との連携が必要ですが、活用することで障害者が安心して働き続けられる環境を整えることができます。制度の詳細や不明な点については、管轄の都道府県支部へお問い合わせください。