広島県内で活動する団体や組合の皆様へ、次世代に豊かな森を引き継ぐための大きなチャンスが訪れています。令和8年度に向けた ‘ひろしまの森づくり事業特認事業’ は、2つ以上の市町にまたがる広域的な活動を対象に、森林の公益的機能を高める取り組みを強力に支援する制度です。補助上限額が設定されていない手厚い仕組みとなっており、広島県の森林を県民の財産として守り育てる情熱を持った組織にとって、非常に使い勝手の良い補助金と言えるでしょう。
この補助金の要点
2つ以上の市町で事業を展開する ‘広域事業者’ が対象です。補助上限額に制限がなく、専門家への謝金や委託費、さらには燃料費まで幅広い経費が認められます。広島県独自の ‘ひろしまの森づくり県民税’ を財源としており、公共性の高いプロジェクトが優先的に採択されます。
補助金の全体像と目的を知る
広島県は、県土の保全や水源のかん養、温暖化防止といった森林の持つ多面的な機能を ‘すべての県民が享受している恩恵’ と定義しています。この貴重な森林資源を維持し、さらに増進させるためには、地域に根ざした活動が欠かせません。この事業の背景には、県民が負担している ‘ひろしまの森づくり県民税’ があり、その使い道として、より広範かつ効果的な森林保全活動が求められています。
特に今回公募されている ‘特認事業(広域事業者向け)’ は、単一の自治体内にとどまらない取り組みを重視しています。例えば、複数の市にまたがる山脈の整備や、県内全域を視野に入れた森林教育、広域的な有害鳥獣対策との連携など、スケールの大きな活動が期待されています。単なるボランティア活動を超えて、組織的な運営能力と専門性を持った団体が主役となるステージです。
補助上限額
上限規定なし(詳細は公式サイトで確認)(事業規模による)
対象となる事業者と事業の条件
この補助金に申請できるのは、広島県の森林保全に意欲的に取り組む団体です。具体的には、森林組合、NPO法人、地域の保全活動を行っている組合などが想定されます。ただし、法人格の有無以上に重要視されるのが、事業を完遂するための ‘組織力’ と ‘管理能力’ です。公金を扱う事業であるため、決算資料の提示や適切な事務処理体制が整っていることが必須条件となります。
また、事業の主体となる団体が実質的に動かず、全ての業務を丸投げ(外部委託)するような計画は認められません。自らが主体となって汗をかき、地域と連携しながらプロジェクトを推進していく姿勢が求められます。対象となる地域は広島県内に限られ、当然ながら県外の森林整備などは対象外ですので注意が必要です。推進方針である ‘第4期ひろしまの森づくり事業推進方針’ の内容を熟読し、自分たちの活動がどのように県の施策に合致するかを整理しておくことが、採択への第一歩となります。
補助対象となる経費の内訳
この事業の魅力は、認められる経費の範囲が非常に広い点にあります。具体的な項目を整理してみましょう。
| 経費項目 | 具体的な内容例 |
|---|---|
| 専門家謝金 | 技術指導を行う樹木医やコンサルタントへの報酬 |
| 旅費 | 活動現場への移動交通費、宿泊費など |
| 委託費 | 自社で対応できない専門的な工事や調査の委託 |
| 借料・燃料費 | 重機のレンタル費用、チェーンソーなどの燃料代 |
| 保険料等 | ボランティア保険や作業中の事故に備える保険 |
多くの補助金では認められにくい燃料費や雑役務費が含まれている点は、現場重視の姿勢がうかがえます。ただし、単なる備品の購入(例えばパソコンを買うだけ、など)は、活動目的に直結しない限り認められません。あくまで ‘森づくりを推進するために不可欠な支出’ であることを、見積書やカタログを添えて論理的に説明する必要があります。
申請から事業完了までのスケジュール
令和8年度(2026年度)の事業ですが、準備は2025年の年末から始まります。公募期間が設定されており、この期間内に必要なデータを全て提出しなければなりません。手続きは電子データで行いますが、その後に担当課によるヒアリングが実施されることが特徴です。書類だけでは伝わりにくい情熱や、詳細な活動計画を直接伝える貴重な機会となります。
公募期間内でのデータ提出
2025年12月24日から2026年2月5日の間に要望書や調査票を送信します。
審査・ヒアリング
提出書類に基づき、県の担当部署が内容を精査します。面談形式での説明が必要です。
交付決定と事業開始
採択後、正式な交付申請を行い、決定通知を受けた後に契約や発注が可能になります。
実績報告の提出
2027年3月13日までに事業を完了させ、領収書や活動写真を含む報告書を出します。
補助金の精算払い
県による確定検査後、最終的な補助金額が確定し、口座に振り込まれます。
注意点
交付決定が出る前に契約した機材や、着手した工事は補助の対象になりません。スケジュールの管理を誤ると、全額自己負担になるリスクがあるため、必ず ‘決定通知’ を待ってから動き出してください。また、予算は県議会での議決が前提ですので、社会情勢の変化等で事業が中止される可能性もゼロではありません。
採択率を高めるための3つの重要ポイント
行政書士や中小企業診断士の視点から、この補助金の審査を突破するためのコツをお伝えします。単に ‘木を植えたい’ ‘森を綺麗にしたい’ というだけでなく、以下の要素を計画書に盛り込むことが重要です。
1. 公益的機能の数値化と見える化
‘なんとなく環境に良い’ ではなく、具体的にどれくらいの面積を整備し、どのような効果(保水力の向上、土砂流出防止など)を狙うのかを明確にしましょう。過去のデータや地域のハザードマップなどを引用し、その場所を整備する必然性をアピールしてください。現況写真を活用し、整備前後のビジョンを視覚的に伝えることも有効です。
2. 広域連携の実効性
‘特認事業’ の肝は広域性です。単に場所が2つの市にあるというだけでなく、それぞれの市町や地元の関係者とどのような協力体制を築いているかが問われます。協力承諾書までいかなくとも、事前の調整状況を具体的に記述することで、事業の実現可能性が高いと評価されます。
3. 継続的な管理体制の提示
森づくりは1年で終わるものではありません。補助期間が終了した翌年以降、どのようにその森を維持していくのか、メンテナンスの計画や資金繰りの見通しを記載してください。中長期的な視点を持っている団体は、県からも ‘安心して公金を託せる相手’ と認識されます。
ポイント
申請書類の一つである ‘調査票’ は、審査の基盤となる非常に重要な書類です。ここには、活動のスケジュールだけでなく、万が一トラブルが起きた際の対応体制なども具体的に書き込むようにしましょう。ヒアリングでは、これらの書類の内容に整合性があるか厳しくチェックされます。
よくある質問(FAQ)
Q. 株式会社などの民間企業でも単独で申請できますか?
A. 基本的には組合や団体等が対象ですが、補助金の目的に沿った意欲的な活動を行う団体であれば可能性はあります。ただし、営利目的の活動とみなされると採択は難しいため、地域の公益に資することを証明する必要があります。まずは森林保全課へ事前相談されることを強くお勧めします。
Q. 補助率は一律 10/10(全額補助)ですか?
A. 事業の内容や性質によって異なります。定額のもの、10/10、あるいは 1/2 となるケースがあります。特に広域事業者が主体の場合は手厚い支援が期待できますが、自己負担が発生する可能性も考慮して資金計画を立てるのが賢明です。
Q. 50万円以上の高額な機材を購入しても良いでしょうか?
A. 購入自体は可能ですが、1件50万円以上の財産を取得した場合、事業終了後も適切に管理し、一定期間は知事の承認なしに勝手に処分や譲渡を行うことはできません。管理台帳の作成など、事務的な負担も増えることを認識しておきましょう。
Q. 申請書類が多くて大変そうですが、代行は可能ですか?
A. 行政書士などの専門家に書類作成のサポートを依頼することは可能ですが、活動の主体はあくまで申請団体です。特にヒアリングでは団体代表者等の説明が求められるため、丸投げにするのではなく、二人三脚で準備を進めるのがベストな選択と言えます。
Q. 過去に同じ事業で採択されていても再度申請できますか?
A. 継続的な取り組みは評価される傾向にありますが、前年度と全く同じ内容の焼き直しでは新規採択のハードルが上がることもあります。新たなエリアへの拡大や、手法の改善など、進化しているポイントを強調することが重要です。
コンプライアンスと違反時のリスクについて
この補助金は県民税という、非常に透明性が求められる財源から支出されます。そのため、事務手続きにおいて不正やミスがあると、厳しい処分が待っています。例えば、交付決定前に発注を行ったり、領収書の金額が不透明だったりした場合には、交付決定の取り消しや補助金の返還を命じられることがあります。
特に注意したいのが ‘加算金’ です。返還を命じられた場合、年率に換算した加算金を上乗せして返さなければならず、団体の財務に大きなダメージを与えることになりかねません。’知らなかった’ では済まされないのが補助金の世界です。不明な点は勝手に判断せず、常に広島県農林水産局森林保全課の担当者に相談しながら進める誠実な姿勢が、結果として団体を守ることにつながります。
まとめ
‘令和8年度ひろしまの森づくり事業特認事業’ は、広島県の森林を広域的に守るための強力なツールです。上限額なし、幅広い経費対象というメリットを活かすためには、緻密な計画立案と県の推進方針への深い理解が欠かせません。公募開始は2025年12月24日とまだ先のように感じられますが、地域との調整や見積もりの取得には時間がかかるものです。広島の美しい森を未来へ繋ぐために、今から準備を始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事の情報は執筆時点の公式公募資料に基づいています。最新の要領や書式については広島県農林水産局森林保全課の公式サイトをご確認ください。本事業は予算議決を前提とした事前公募であるため、内容に変更が生じる可能性があります。