この記事では、令和4年度補正予算「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」について解説します。エネルギー価格の高騰対策として、多くの事業者が活用した人気の補助金です。
※本記事で紹介する令和4年度補正予算の公募は、2023年6月30日をもってすべて終了しています。今後の同様の補助金に備えるための参考情報としてご活用ください。
令和4年度補正「省エネルギー投資促進支援事業」とは?
この補助金は、世界的なエネルギー価格の高騰を受け、国内の事業者が省エネルギー性能の高い設備へ更新する際の費用を一部補助する制度です。エネルギーコストの削減とCO2排出量の削減を目的としており、工場や事業場で使用される汎用的な設備が幅広く対象となるのが大きな特徴でした。
補助金の概要(2023年公募時点)
項目 | 内容 |
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補助金名 | 令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業費補助金 |
実施団体 | 一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)等 |
対象事業者 | 国内で事業活動を営む法人及び個人事業主 |
補助上限額 | 1億円 / 事業全体 |
補助下限額 | 30万円 / 事業全体 |
補助率 | 1/3以内(中小企業等は最大1/2以内 ※条件あり) |
公募期間 | 1次: 2023年3月27日~4月24日 (終了) 2次: 2023年5月25日~6月30日 (終了) |
2つの事業類型と補助対象設備
本事業は、大きく分けて2つの類型がありました。自社の状況に合わせて申請する類型を選択する必要がありました。
(C) 指定設備導入事業(設備単位型)
SIIが予め定めた高い省エネ性能を持つ設備へ更新する場合に活用できる類型です。多くの事業者がこちらを利用しました。
主な対象設備
【ユーティリティ設備】
- 高効率空調(業務用エアコン等)
- 産業ヒートポンプ、業務用給湯器
- 高性能ボイラ、高効率コージェネレーション
- 変圧器、冷凍冷蔵設備
- 産業用モータ、制御機能付きLED照明器具
【生産設備】
- 工作機械、プラスチック加工機械
- プレス機械、印刷機械、ダイカストマシン
(D) エネルギー需要最適化対策事業
EMS(エネルギーマネジメントシステム)を導入し、エネマネ事業者と連携して事業所全体のエネルギー需要を最適化する取り組みを支援する類型です。設備更新とエネルギー管理を組み合わせることで、より高い省エネ効果を目指します。
申請から補助金受給までの流れ
申請はオンラインシステムと郵送を組み合わせた方法で行われました。今後の補助金申請でも同様の流れが想定されるため、参考にしてください。
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1
補助事業ポータルのアカウント登録
申請書類の作成・提出に必要となる専用WEBサイトのアカウントを取得します。 -
2
公募要領・手引きの確認
制度の詳細、要件、必要書類などを熟読し、事業内容を正確に理解します。 -
3
更新設備の選定と見積取得
補助対象設備リストから導入する設備を選定し、原則として3者以上から見積を取得します。 -
4
省エネルギー量計算
指定された計算方法に基づき、設備の更新による省エネ効果を算出します。専門的な知識が求められる部分です。 -
5
申請書類の作成・提出
ポータルで必要情報を入力し、出力した書類と収集した書類(決算書等)を合わせてファイリングし、郵送します。
申請前に知っておきたい重要ポイント
💡 圧縮記帳の適用が可能
本補助金は、法人税法・所得税法上の「圧縮記帳」の適用が認められていました。これにより、補助金を受け取った年度の課税所得を圧縮し、税負担を軽減できる可能性があります。適用にあたっては、税理士などの専門家への相談が推奨されます。
⚠️ 書類の不備に注意
申請書類に不備があると、修正や再提出が必要となり、審査が大幅に遅れる原因となります。公募要領や手引きを細部まで確認し、提出前に複数人でのダブルチェックを行うことが採択への近道です。
まとめ:次回の公募に備えよう
「省エネルギー投資促進支援事業」は、多くの事業者にとって設備投資の大きな後押しとなる制度でした。公募は終了しましたが、エネルギー政策は国の重要課題であり、今後も同様の趣旨の補助金が公募される可能性は非常に高いです。
次回のチャンスを逃さないためにも、自社のエネルギー使用状況を把握し、更新を検討している設備の情報を集めておくなど、日頃から準備を進めておくことが重要です。