この記事のポイント
- 小規模事業者の販路開拓や業務効率化を支援する「小規模事業者持続化補助金」の全体像がわかる
- 補助対象者、補助額、対象経費などの最新の制度内容を詳しく解説
- 申請から補助金受給までの具体的な流れと注意点がわかる
- 【重要】現在、次回公募の時期は未定です。最新情報は公式サイトで必ずご確認ください。
「新しい顧客を獲得したい」「ネット販売を始めたい」「生産性を上げたい」けれど、資金面で一歩踏み出せない…そんなお悩みを持つ小規模事業者や個人事業主の皆様は多いのではないでしょうか。その強力な味方となるのが「小規模事業者持続化補助金」です。この記事では、制度の概要から申請の具体的なステップまで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営を見直し、持続的な経営に向けて作成した経営計画に基づく販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。地域の雇用や産業を支える小規模事業者の持続的発展を目的としています。
補助金の概要早わかり表
項目 | 内容 |
---|---|
補助金名 | 小規模事業者持続化補助金<一般型> |
目的 | 小規模事業者の地道な販路開拓や業務効率化(生産性向上)の取組支援 |
補助上限額 | 通常枠: 50万円 特別枠: 最大200万円(賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠) インボイス枠: 100万円 |
補助率 | 原則 2/3 (賃金引上げ枠の赤字事業者は 3/4) |
公募状況 | 次回公募は未定(2024年6月時点) |
実施機関 | 全国商工会連合会 / 日本商工会議所 |
誰が対象?補助対象者と申請要件
この補助金の対象となるのは、日本国内に所在する「小規模事業者」です。業種ごとに常時使用する従業員の数で定義されています。
小規模事業者の定義
業種分類 | 常時使用する従業員の数 |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
このほか、法人であること(資本金5億円以上の法人に100%株式保有されていない等)、課税所得の年平均額が15億円を超えないことなどの要件があります。個人事業主や特定非営利活動法人も対象となり得ます。
【重要】商工会と商工会議所の違い
申請窓口は、事業所の所在地が「商工会」の管轄地域か「商工会議所」の管轄地域かによって異なります。申請前に必ずどちらの管轄かを確認してください。不明な場合は、最寄りの商工会または商工会議所にお問い合わせください。
いくらもらえる?補助額・補助率・申請枠
持続化補助金には、基本となる「通常枠」のほか、特定の要件を満たすことで補助上限額が引き上げられる複数の「特別枠」が用意されています。
申請枠ごとの補助上限額と補助率
申請枠 | 補助上限額 | 補助率 | 主な要件 |
---|---|---|---|
通常枠 | 50万円 | 2/3 (※賃金引上げ枠の赤字事業者は3/4) |
全ての小規模事業者が対象 |
賃金引上げ枠 | 200万円 | 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とする | |
卒業枠 | 200万円 | 従業員を増やし小規模事業者の定義を超える | |
後継者支援枠 | 200万円 | アトツギ甲子園のファイナリストである | |
創業枠 | 200万円 | 特定創業支援等事業の支援を受け、過去3年以内に開業 | |
インボイス枠 | 100万円 | 免税事業者からインボイス発行事業者に転換 |
何に使える?補助対象経費
補助金は、経営計画に基づいて実施する販路開拓等の取組に要する経費が対象です。具体的には以下の11項目が定められています。
- ①機械装置等費: 事業用の機械やソフトウェアの購入費用
- ②広報費: チラシ、カタログ、新聞・雑誌広告などの作成・掲載費用
- ③ウェブサイト関連費: ホームページやECサイトの構築・更新・改修費用(※補助金申請額の1/4が上限)
- ④展示会等出展費: 展示会や商談会への出展料、関連する運搬費など
- ⑤旅費: 販路開拓のための出張にかかる交通費・宿泊費
- ⑥開発費: 新商品の試作品やパッケージのデザイン開発費用
- ⑦資料購入費: 事業に必要な書籍や資料の購入費用
- ⑧雑役務費: 販路開拓のために臨時で雇用したアルバイト代など
- ⑨借料: 事業に必要な機器のリース・レンタル費用
- ⑩設備処分費: 新たなスペース確保のための既存設備の廃棄費用
- ⑪委託・外注費: 店舗改装や専門家への相談など、自社で実施困難な業務の委託費用
【注意】パソコンや自動車(一部除く)、汎用性の高い事務用品、不動産購入費などは対象外です。詳細は公募要領でご確認ください。
申請スケジュールと手続きの流れ
現在、次回の公募スケジュールは発表されていませんが、一般的な申請手続きは以下の流れで進みます。公募が開始された際にスムーズに動けるよう、今のうちから準備を進めておきましょう。
- 経営計画書・補助事業計画書の作成
自社の強みや課題を分析し、どのような販路開拓を行うか具体的な計画を立てます。ここが審査の最重要ポイントです。 - 地域の商工会・商工会議所へ相談
作成した計画書を持参し、アドバイスを受けます。内容確認後、申請に必要な「事業支援計画書(様式4)」を発行してもらいます。 - 申請書類の提出(電子申請または郵送)
公募期間内に、全ての必要書類を揃えて事務局に提出します。電子申請(Jグランツ)にはGビズIDプライムアカウントが必要です。 - 審査・採択結果の通知
事務局による審査が行われ、採択・不採択の結果が通知されます。 - 交付決定・補助事業の開始
採択後、「交付決定通知書」が届いたら、計画に沿った事業(発注・契約・支払い)を開始できます。交付決定日より前の支出は対象外です。 - 実績報告書の提出
事業完了後、期限内に支出した経費の証拠書類(見積書、請求書、領収書など)を添えて実績報告書を提出します。 - 補助金額の確定・補助金の受給
実績報告書の内容が検査され、補助金額が確定します。その後、指定の口座に補助金が振り込まれます(後払い)。
申請のポイントと注意点
採択されるための3つのポイント
- 自社の強みと市場の特性を明確にする: なぜこの取組が必要なのか、自社の現状分析に基づいて説得力のあるストーリーを描きましょう。
- 計画の具体性と実現可能性を示す: 「何を」「いつまでに」「どのように」行うのかを具体的に記述し、実現可能な計画であることをアピールします。
- 補助事業の有効性を伝える: 計画の実行によって、売上や顧客がどのように増加するのか、その効果を具体的に示しましょう。
【注意】悪質なコンサルタントにご注意ください
「申請を代行する」「採択を保証する」などと謳い、高額な成功報酬を請求する業者に関するトラブルが報告されています。この補助金は事業者自身が経営計画を立てることを趣旨としています。外部の支援を受ける場合でも、内容を丸投げせず、主体的に計画作成に取り組むことが重要です。
まとめ
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務効率化を目指す事業者にとって非常に価値のある制度です。次回公募は未定ですが、公募が始まってから準備するのでは間に合いません。
- 自社の課題は何か、どんな販路開拓に取り組みたいか、今のうちから経営計画の構想を練っておきましょう。
- 最寄りの商工会・商工会議所に相談し、情報収集を始めることをお勧めします。
この記事を参考に、ぜひ補助金を活用して事業の持続的発展を実現してください。