はじめに:工場のCO2排出量削減に悩む事業者様へ
「脱炭素化を進めたいが、何から手をつければ良いかわからない」「最新の省エネ設備を導入したいが、コストが課題だ」――。そんなお悩みをお持ちではありませんか?環境省が推進する「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)」は、そんな事業者様を強力に後押しする補助金です。本記事では、計画策定から大規模な設備更新まで、幅広い支援メニューを持つSHIFT事業の全貌を、専門家が分かりやすく解説します。
この記事のポイント
- 最大5億円!大規模な設備投資を支援
- CO2削減計画の策定だけでも最大200万円を補助
- 中小企業向けの特別な支援枠あり
- サプライチェーン全体での脱炭素化も対象
SHIFT事業とは?3つの支援メニューを徹底解説
SHIFT事業は、工場や事業場の脱炭素化を促進し、日本のカーボンニュートラル実現に貢献することを目的とした補助金制度です。事業者のフェーズに合わせて、大きく3つの支援メニューが用意されています。
支援メニュー | 内容 | 補助率 | 補助上限額 |
---|---|---|---|
① CO2削減計画策定支援 | 中小企業等のCO2削減目標・計画策定を支援 | 3/4 | 100万円 (DX型は200万円) |
② 省CO2型設備更新支援 | A. 標準事業:CO2排出量を15%以上削減する設備更新 | 1/3 | 1億円 |
B. 大規模電化・燃料転換事業:電化・燃料転換でCO2を4,000t以上削減 | 1/3 | 5億円 | |
C. 中小企業事業:中小企業等による設備更新 | 1/2 | 0.5億円 | |
③ 企業間連携先進モデル支援 | サプライチェーン全体(Scope3)でのCO2削減取組を支援 | 1/3, 1/2 | 5億円 |
特に注目!中小企業事業(②-C)
中小企業の皆様にとって特に利用しやすいのが「省CO2型設備更新支援 C.中小企業事業」です。補助率が1/2と高く、最大5,000万円までの支援が受けられます。高効率な空調、ボイラー、生産設備などへの更新を検討している場合は、絶好の機会と言えるでしょう。
公募期間とスケジュール
SHIFT事業は複数の公募が実施されます。現在応募可能な公募と、過去の公募情報を整理しました。
【現在公募中】省CO2型設備更新支援 C.中小企業事業(六次公募)
公募期間: 令和7年4月15日(火)~ 令和7年10月31日(金)
※応募順に審査され、予算上限に達した時点で公募終了となります。お早めの申請をおすすめします。
【受付終了】令和6年度 一次・二次公募
対象事業: ①計画策定支援、②設備更新支援(A,B)、③企業間連携支援
一次公募締切: 令和6年7月16日(火)
二次公募締切: 令和6年8月16日(金)
※今後の公募については、公式サイトで最新情報をご確認ください。
申請の基本的な流れ
申請プロセスは複雑な部分もあるため、早めの準備が成功のカギとなります。特にCO2削減効果の算定には注意が必要です。
- 公募要領・関連書類の確認
公式サイトから最新の公募要領や様式をダウンロードし、自社の取組が対象となるか確認します。 - CO2削減効果の算定と事前チェック
ここが最重要ポイントです。指定の算定ツールを利用するか、ツールが使えない設備の場合は、運営事務局による実施計画書の「事前チェック」を受ける必要があります。 - 申請書類の作成
事業計画書、見積書など、多数の書類が必要です。記入例を参考に、漏れなく作成します。 - 電子申請(jGrants)
原則として、電子申請システム「jGrants」を利用して申請します。GビズIDプライムアカウントの取得が事前に必要です。 - 審査・採択
提出された書類に基づき審査が行われ、採択・不採択が決定します。 - 交付決定・事業開始
採択後、交付申請手続きを経て交付決定通知を受け、事業を開始します。
⚠️ 申請前の注意点
- CO2削減効果の事前チェックは必須:設備更新支援の場合、応募前に事務局の事前チェックが必要です。これには時間がかかるため、締切から逆算して早めに手続きを開始しましょう。
- 公募要領の熟読:事業区分ごとに要件や提出書類が大きく異なります。必ず自社が申請する区分の公募要領を精読してください。
- GビズIDの準備:電子申請には「GビズIDプライム」が必要です。取得には2〜3週間かかる場合があるため、未取得の場合はすぐに申請しましょう。
まとめ:SHIFT事業を活用して脱炭素経営へ
SHIFT事業は、工場の脱炭素化を目指す事業者にとって、非常に強力な支援策です。計画策定から設備投資まで、幅広いニーズに対応しており、特に中小企業向けの支援が手厚いのが特徴です。公募期間には限りがあり、予算上限に達し次第終了となるため、この機会を逃さず、ぜひ活用をご検討ください。まずは公式サイトで詳細を確認し、申請準備を始めましょう。