この記事は過去の公募情報(主に第13回)を基に、小規模事業者持続化補助金<一般型>の制度概要を解説しています。公募は不定期に実施されるため、申請を検討される際は、必ず公式サイトで最新の公募情報をご確認ください。
小規模事業者持続化補助金<一般型>とは?
小規模事業者持続化補助金<一般型>は、小規模な会社や個人事業主の皆様が、新しいお客様を増やすための取り組み(販路開拓)や、業務の効率化(生産性向上)に挑戦する際に、その経費の一部を国が補助してくれる制度です。持続的な経営を目指すための、心強い味方となる補助金です。
こんな事業者様におすすめ!
- 新しいチラシやパンフレットを作って集客したい
- 公式ホームページやネットショップ(ECサイト)を立ち上げたい
- 展示会に出展して、新しい取引先を見つけたい
- 店舗を改装して、お客様が入りやすいお店にしたい
- インボイス制度への対応を機に、事業を見直したい
補助金の概要(早わかり表)
まずは、補助金の全体像を掴みましょう。主要なポイントを表にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
補助上限額 | 通常枠:50万円 特別枠:最大200万円 ※インボイス特例の適用で各上限額に+50万円上乗せ |
補助率 | 原則 2/3 (賃金引上げ枠の赤字事業者は 3/4) |
対象者 | 常時使用する従業員数が一定以下の小規模事業者・個人事業主など |
対象経費 | 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、開発費、店舗改装費など |
申請要件 | 経営計画を策定し、地域の商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること |
申請方法 | 原則、電子申請システム「Jグランツ」による申請 |
誰が対象?補助対象者の詳細
この補助金は「小規模事業者」を対象としています。業種によって「常時使用する従業員」の数が定められています。
業種 | 常時使用する従業員の数 |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
※「常時使用する従業員」には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含まれません。詳細は公募要領をご確認ください。
何に使える?補助対象経費の具体例
販路開拓や業務効率化につながる幅広い経費が対象となります。ここでは代表的な11項目をご紹介します。
- ① 機械装置等費: 新しいサービス提供のための製造機械、店舗の衛生向上のためのショーケースなど
- ② 広報費: 新商品やサービスを宣伝するためのチラシ、カタログ、看板の作成・設置費用など
- ③ ウェブサイト関連費: ホームページやECサイトの構築・更新・改修費用、インターネット広告費用など(※補助金申請額の1/4が上限)
- ④ 展示会等出展費: 国内外の展示会や商談会への出展料、関連する通訳料など
- ⑤ 旅費: 展示会への出展や新商品の原材料調査のための交通費・宿泊費(規定あり)
- ⑥ 開発費: 新商品の試作品や新しいパッケージのデザイン開発にかかる費用
- ⑦ 資料購入費: 補助事業の遂行に不可欠な書籍や資料の購入費用
- ⑧ 雑役務費: 補助事業のために臨時で雇用したアルバイト代や派遣料
- ⑨ 借料: 事業遂行に必要な機器・設備のリース・レンタル料
- ⑩ 設備処分費: 販路開拓のために作業スペースを確保するための設備廃棄費用
- ⑪ 委託・外注費: 店舗の改装やバリアフリー化工事、インボイス対応の専門家相談費用など
注意:対象外となる経費
パソコンや自動車(一部除く)、文房具などの汎用性が高いもの、単なる買い替え、補助金の申請書類作成費用などは対象外です。事前に公募要領でしっかり確認しましょう。
補助額はいくら?申請枠とインボイス特例
申請枠は複数あり、事業内容に応じて選択します。さらに、インボイス発行事業者になる方には嬉しい特例も用意されています。
申請枠一覧
申請枠 | 補助上限額 | 主な要件 |
---|---|---|
通常枠 | 50万円 | 基本的な販路開拓・業務効率化の取組 |
賃金引上げ枠 | 200万円 | 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上にする |
卒業枠 | 200万円 | 従業員を増やし小規模事業者の定義を超える |
後継者支援枠 | 200万円 | アトツギ甲子園のファイナリスト等である |
創業枠 | 200万円 | 特定創業支援等事業の支援を受け、過去3年以内に開業した |
インボイス特例について
2021年9月30日から2023年9月30日の間に免税事業者であった、または免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書(インボイス)発行事業者に登録した事業者は、全ての枠で補助上限額が一律50万円上乗せされます。
(例)賃金引上げ枠 200万円 + インボイス特例 50万円 = 最大250万円
申請から補助金受給までの流れ
申請は計画的に進めることが重要です。大まかな流れを掴んでおきましょう。
- 経営計画書・補助事業計画書の作成: 自社の強みや課題を分析し、どのような販路開拓を行うか具体的な計画を作成します。
- 商工会・商工会議所への相談: 作成した計画書を持参し、地域の商工会・商工会議所に相談します。内容を確認してもらい、「事業支援計画書(様式4)」の作成を依頼します。
- 申請書類の準備と提出: 必要な書類をすべて揃え、原則として電子申請システム「Jグランツ」で申請します。(GビズIDプライムアカウントの取得が必要です)
- 審査・採択発表: 事務局による審査が行われ、採択・不採択の結果が通知されます。
- 交付決定・補助事業の実施: 「交付決定通知書」を受け取った後、計画に沿って事業を開始します。交付決定日より前の発注・支払いは対象外なので注意!
- 実績報告: 事業完了後、期限内に実績報告書と経費の証拠書類(見積書、請求書、領収書など)を提出します。
- 確定検査・補助金額の確定: 提出書類が検査され、補助金額が最終的に確定します。
- 補助金の請求と受給: 確定した金額を請求し、後日、指定の口座に補助金が振り込まれます(精算払い)。
採択率を上げるためのポイント「加点制度」
審査では、政策的な観点から特定の要件を満たす事業者に「加点」が行われます。採択の可能性を高めるために、該当するものがないか確認しましょう。
- 重点政策加点: 赤字事業者の賃上げ、原油価格高騰等の影響、東日本大震災加点、くるみん・えるぼし認定など
- 政策加点: 地域資源の活用、経営力向上計画の認定、代表者が60歳以上での事業承継、過疎地域での取組など
※加点項目は公募回によって変更される可能性があります。詳細は最新の公募要領をご確認ください。
必ず知っておきたい重要注意点
- 補助金は後払いです。事業実施期間中は自己資金での立て替えが必要です。
- 審査があるため、申請すれば必ず採択されるわけではありません。
- 「交付決定通知書」を受け取る前に発注・契約・支払いした経費は補助対象外です。
- 補助金は課税対象となり、会計上は収益として計上する必要があります。
- 事業終了後も、5年間の書類保管義務や、1年後の状況報告が必要です。
まとめと公式情報
小規模事業者持続化補助金は、事業の成長を目指す小規模事業者にとって非常に有効な制度です。自社の経営を見つめ直し、未来への投資を行う絶好の機会となります。制度を正しく理解し、計画的に準備を進めることが採択への鍵となります。
最新の公募要領や様式は、必ず公式サイトでご確認ください。