需要家主導型太陽光発電導入促進事業とは?
需要家主導型太陽光発電導入促進事業は、経済産業省が主導する補助金制度です。太陽光発電所を所有する発電事業者、その電力の供給を受ける需要家(企業)、そして電力を調整する小売電気事業者の3者が連携して、新たに太陽光発電設備を導入する事業を支援します。
特に、発電場所と電力消費場所が異なる「オフサイトコーポレートPPA」モデルを念頭に置いた制度設計となっており、大規模な再生可能エネルギーを求める企業にとって非常に魅力的な補助金です。政府が掲げる2050年カーボンニュートラル達成に向け、企業の脱炭素経営を強力に後押しすることを目的としています。
ポイント
- FIT/FIP制度を利用しない新規の太陽光発電設備が対象です。
- 発電事業者、需要家、小売電気事業者の3者連携が基本ですが、一部または全てが同一事業者でも申請可能です。
- 令和5年度からは蓄電池を併設する場合も補助対象となり、より柔軟なエネルギー活用が可能になりました。
補助金の概要(令和5年度補正・令和6年度予算)
項目 | 内容 |
---|---|
予算額 | 令和5年度補正予算:160億円 令和6年度本予算:158億円 |
補助対象事業 | ① 需要家主導型太陽光発電導入促進事業 ② 再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業 |
補助対象事業者 | 民間団体、地方公共団体・企業など |
補助率 | 【太陽光発電設備】 ・自治体連携型:2/3以内 ・自治体連携型以外:1/2以内 【蓄電池】 ・一律:1/3以内 |
補助上限額 | なし |
公募期間の例 | 令和6年度予算 一次公募(単年度事業):2024年9月19日~10月25日 ※公募は既に終了しています。次回の公募情報は公式サイトをご確認ください。 |
2つの事業類型と補助対象要件
本補助金は、大きく分けて2つの事業類型があります。それぞれの主な要件を確認しましょう。
① 需要家主導型太陽光発電導入促進事業の事業要件
- 制度:非FIT・非FIPの設備であること。
- 供給方法:自己託送ではなく、系統に接続して供給すること。
- 設備:新設の太陽光発電設備であること。
- 合計出力:合計2MW以上(ACベース)の設備であること。(複数地点の合計も可)
- 設備単価:蓄電池を除く単価が23.6万円/kW(ACベース)未満など、規定の単価要件を満たすこと。
- 契約期間:8年以上にわたり、需要家が電力供給を受ける契約を締結すること。
- 供給量:発電量の7割以上を需要家に供給する契約であること。
- その他:「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」を遵守すること。
② 再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業の事業要件
- 制度:FIP認定を受けた設備に含まれること。
- 接続申込:申請時に、系統連系申込の回答を得ていること。
- 設備単価:蓄電池の単価が12万円/kWh以下であること。
- 蓄電池容量:1,000kWh以上であること。
- その他:電力需給ひっ迫時に、可能な限り導入する蓄電池を利用した電力供給を行うこと。
⚠️ 注意事項
上記は主な要件の抜粋です。申請にあたっては、必ず最新の公募要領で詳細な要件をご確認ください。特に、設備単価や運転開始時期、3者間契約の詳細など、細かな規定が多数存在します。
補助対象経費
補助対象となる経費は以下の通りです。事業類型によって若干異なります。
- 設計費:設備導入に必要な設計費用
- 設備購入費:太陽電池モジュール、パワーコンディショナ、架台、蓄電池システムなど
- 土地造成費:設備設置に必要な土地造成費用
- 工事費:基礎工事、設置工事、電気工事など
- 接続費:系統への接続に伴う工事費負担金
対象外となる経費の例
- オンサイト型(需要地の敷地内や屋根に設置)の設備
- 土地の取得・賃貸借費用
- 既存設備の撤去・処分費
- リース・レンタル、中古品(一部リユース蓄電池を除く)
- 交付決定前に契約・発注した経費(事前着手承認を除く)
審査ポイントと採択率を高めるコツ
本補助金は年々申請数が増加し、競争率が上昇傾向にあります。要件を満たすことはもちろん、以下の加点項目を意識した事業計画を立てることが採択への鍵となります。
- 買取率と期間:需要家による発電量の買取率が高いほど、また買取期間が長いほど評価されます。
- コスト効率:設備単価(kWあたり、kWhあたり)が低いほど有利です。
- 事業規模:設備一ヶ所あたりの平均出力や蓄電容量が大きい事業が評価されます。
- 事業の迅速性:運転開始日が早い計画であること。
- 事業の確実性:系統連系について、電力会社から接続可能との回答を得ている割合が多いこと。
- 事業形態:地域連携型、中小企業型、サプライチェーン型など、特定の事業形態に合致する場合に加点されます。
- その他:賃上げ計画の表明、脱炭素先行地域での事業なども加点対象です。
申請手続きの流れ
申請は、国の補助金電子申請システム「jGrants」を通じて行います。大まかな流れは以下の通りです。
- gBizIDの取得:jGrantsの利用には「gBizIDプライム」アカウントが必要です。取得に1週間程度かかるため、早めに準備しましょう。
- 公募期間の確認と書類準備:公式サイトで公募期間を確認し、公募要領に従って実施計画書や見積書などの必要書類を準備します。
- jGrantsで電子申請:公募期間内にjGrantsから申請情報を入力し、必要書類をアップロードします。
- 審査・採択:事務局による審査が行われ、採択事業者が決定・公表されます。
- 交付申請・交付決定:採択後、正式な交付申請を行い、交付決定通知を受け取ります。(原則、契約・発注は交付決定後)
- 事業実施:計画に沿って設備の設置工事などを行います。
- 実績報告と補助金受領:事業完了後、実績報告書を提出し、検査を経て補助金額が確定・支払われます。
公式サイト・お問い合わせ先
最新の公募情報、公募要領、申請様式などは必ず公式サイトでご確認ください。
お問い合わせ先
一般社団法人太陽光発電協会 太陽光発電推進センター (JP-PC)
電話番号: 03-6628-5740
受付時間: 9:30〜17:30 (土日、祝日は除く)