愛知県内で事業を営む小規模事業者の皆様、資金調達でお悩みではありませんか?愛知県が提供する「小規模企業等振興資金」は、低金利で利用しやすい人気の融資制度ですが、さらにその負担を軽減できる支援策が県内各市町村で用意されていることをご存知でしょうか。多くの自治体では、この融資制度の利用者を対象に、支払利子の一部を補給する「利子補給」や、信用保証協会に支払う「信用保証料」を助成する制度を実施しています。これらの制度を賢く活用することで、実質的な借入コストを大幅に削減し、資金繰りを安定させることが可能です。この記事では、犬山市、岩倉市、江南市、一宮市などの具体的な事例を交えながら、制度の概要から申請方法、注意点までを徹底的に解説します。あなたのまちの支援制度を見逃さないために、ぜひ最後までご覧ください。
この記事のポイント
- 愛知県「小規模企業等振興資金」とセットで使える市町村独自の支援制度
- 支払利子や信用保証料の負担を軽減できる「利子補給」「保証料助成」の仕組み
- 犬山市、岩倉市、江南市、一宮市など具体的な自治体の制度内容と比較
- 申請の条件、必要書類、期限などの実務的な手続きをステップバイステップで解説
- 申請漏れを防ぎ、確実に助成を受けるための注意点とよくある質問
制度の概要:県の融資と市の助成の連携プレー
今回ご紹介するのは、単一の補助金ではありません。まずベースとなるのが、愛知県が中小企業者の資金ニーズに対応するために設けている「愛知県小規模企業等振興資金」という融資制度です。そして、この県の融資制度を利用した事業者に対して、事業所が所在する市町村が独自に「利子補給」や「信用保証料助成」という形で追加支援を行う、という二段構えの仕組みになっています。
正式名称
市町村によって名称は異なりますが、一般的に以下のような名称が使われています。
- 〇〇市 小規模企業等振興資金融資利子補給補助金
- 〇〇市 小規模企業等振興資金融資信用保証料助成金
実施組織と目的
この制度の実施主体は、愛知県内の各市町村です。犬山市、岩倉市、江南市、一宮市をはじめ、多くの自治体で同様の制度が設けられています。目的は、県の融資制度を利用する市内事業者の金利負担や保証料負担を軽減することで、経営の安定化を支援し、ひいては地域経済の振興・活性化を図ることにあります。
助成金額・補助率:市町村ごとの違いをチェック
申請の準備はできていますか?
申請チェックリストを確認する助成・補助の内容や金額は、市町村によって大きく異なります。ここでは「利子補給」と「信用保証料助成」に分けて、いくつかの市の例を見ていきましょう。
利子補給の補助額
利子補給は、融資実行後の当初の一定期間に支払った利子を補助する形が一般的です。多くの市で「当初6ヶ月分」または「当初6回分」の利子が対象となっています。
| 市町村 | 補助内容 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 犬山市 | 支払い終えた当初より6回分の利子の合計額 | 融資期間3年以上、融資額500万円以下 |
| 岩倉市 | 該当融資にかかる利子の当初6か月分の額 | 融資期間3年以上、融資額500万円以下 |
| 江南市 | 支払いを完了した当初6か月間の利子全額 | 融資期間3年以上、融資額500万円以下 |
※上記は記事作成時点の情報です。最新の情報は各自治体の公式サイトでご確認ください。
信用保証料の助成額
信用保証料の助成は、融資額に応じて助成率が変わるなど、市町村による違いがより顕著です。
| 市町村 | 助成内容 |
|---|---|
| 岩倉市 | ・融資額500万円以下:100% ・500万円超1,000万円以下:75% ・1,000万円超2,000万円以下:50% |
| 江南市 | ・融資額800万円以下:100% ・800万円超:50% (いずれも限度額30万円) |
| 一宮市 | ・通常資金:40%(期間限定で70%) ・小口資金:60%(期間限定で80%) |
※上記は記事作成時点の情報です。最新の情報は各自治体の公式サイトでご確認ください。
共通する主な条件
- 愛知県「小規模企業等振興資金」の融資を受けていること。(これが大前提です)
- 市内に事業所(個人の場合は住所、法人の場合は本社)を有していること。
- 市税の納税義務者であり、滞納がないこと。
- 他の市町村から同一融資に係る同様の補助を受けていないこと。
市町村ごとに異なる条件(利子補給の場合)
特に利子補給制度では、融資期間や融資額に条件を設けている市町村が多く見られます。
- 融資期間:3年以上であること(犬山市、岩倉市、江南市など)
- 融資金額:500万円以下であること(犬山市、岩倉市、江南市など)
注意点:融資額が500万円を超える場合、利子補給の対象外となる自治体が多いです。融資を申し込む際に、この点を考慮して金額を決定することも一つの戦略です。
申請方法・手順:スムーズな手続きのために
申請手続きは、県の融資実行後に行います。基本的な流れを理解し、期限内に忘れず申請しましょう。
申請のステップ
- 県の融資制度の申込・実行:まず、取扱金融機関を通じて愛知県「小規模企業等振興資金」の融資を申し込み、実行してもらいます。
- 必要書類の準備:融資実行後、お住まいの市町村のウェブサイトから申請書等をダウンロードし、必要書類を揃えます。
- 市町村の担当課へ申請:準備した書類を、市役所・区役所の商工担当課などの窓口に提出します。
- 審査・交付決定:市町村で書類の審査が行われ、交付が決定されると通知が届きます。
- 請求・入金:交付決定通知に基づき請求書を提出すると、指定した口座に助成金・補助金が振り込まれます。
申請期限
申請期限は非常に重要です。期限を過ぎると受け付けられないため、融資実行後は速やかに手続きを進めましょう。
期限の例:
・犬山市(利子補給):当初6回分の利子支払が終了した日から3か月以内
・岩倉市(両制度):信用保証書記載の保証日から3か月以内、または当該年度末のいずれか早い日まで
・一宮市(保証料助成):融資実行日から60日以内
このように市町村によって基準日が異なるため、注意が必要です。
採択のポイントと注意点
この種の助成制度は、事業計画の優劣を競う競争型の補助金とは異なり、定められた要件を満たしていれば原則として交付されます。そのため、採択されるための最大のポイントは、いかにミスなく、期限内に申請を完了させるかという点に尽きます。
よくある申請漏れ・不備の理由
- 制度の存在を知らなかった:最も多いケースです。融資を受ける際に、市の制度も必ず確認しましょう。
- 申請期限を過ぎてしまった:融資実行後の手続きを後回しにしてしまい、気づいた時には手遅れに。
- 市税の滞納があった:申請前に納税状況を必ず確認し、もし滞納があれば解消しておく必要があります。
- 繰上償還による条件変更:融資を繰り上げて返済した結果、融資期間が「3年未満」になるなど、利子補給の条件を満たさなくなった場合、受け取った補助金を返還しなければならないケースがあります(江南市など)。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 県の融資と市の助成は同時に申し込むのですか?
- A1. いいえ、順番が異なります。まず金融機関を通じて県の融資を申し込み、融資が実行された後に、事業者自身が市町村の担当課へ助成金の申請を行います。
- Q2. 融資を繰り上げ返済した場合、補助金はどうなりますか?
- A2. 市町村の規定によりますが、補助金の返還を求められる場合があります。例えば、利子補給の条件が「融資期間3年以上」である場合、繰上償還によって実際の融資期間が3年未満になると、補助金の全額返還が必要になることがあります。信用保証料助成についても、保証協会から保証料の返戻があった場合、市へ助成金の一部を返還する規定があることが多いです。
- Q3. 自分の市に同じような制度があるか、どうやって調べればいいですか?
- A3. お住まいの市町村の公式ウェブサイトで、「小規模企業等振興資金 利子補給」や「事業者 融資 補助」といったキーワードで検索するのが最も早いです。見つからない場合は、市役所の商工観光課や産業振興課といった部署に電話で直接問い合わせてみるのが確実です。
- Q4. 融資の申し込みが年度末の3月頃になりそうです。注意点はありますか?
- A4. 非常に重要な注意点です。岩倉市のように申請期限が「年度末」と定められている場合、保証決定が3月で融資実行が4月になると、年度をまたいでしまい申請できなくなる可能性があります。年度末に融資を申し込む場合は、必ず事前に市町村の担当課にスケジュールについて相談してください。
- Q5. 納税証明書はいつの時点のものが必要ですか?
- A5. 犬山市の例では「申請日直前の市税等納期限以降のもの」と指定されています。つまり、最新の納期分まできちんと納付されていることを証明する必要があります。申請直前に取得するようにしましょう。
まとめ:知っているかどうかで差がつく支援制度
愛知県の「小規模企業等振興資金」は、それ自体が事業者にとって心強い制度ですが、市町村が提供する「利子補給」や「信用保証料助成」を組み合わせることで、そのメリットを最大限に引き出すことができます。これらの支援は、申請しなければ受けることはできません。まさに「知っている人だけが得をする」制度と言えるでしょう。
これから融資を検討している方はもちろん、すでに融資を受けている方も、申請期限内であればまだ間に合うかもしれません。まずは、あなたの事業所がある市町村のウェブサイトを確認するか、商工担当課へ一本電話を入れてみてください。この一手間が、あなたの会社の資金繰りを大きく助けることになるはずです。
問い合わせ先(参考)
- 犬山市:経済環境部 産業課 商工担当(電話:0568-44-0340)
- 岩倉市:建設部 商工農政課(電話:0587-38-5812)
- 江南市:経済環境部 商工観光課 商工グループ(電話:0587-50-0184)
- 一宮市:産業振興課 労政・融資グループ(電話:0586-28-9132)