JOGMEC「地熱発電の資源量調査事業費助成金」とは?
独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が実施する「地熱発電の資源量調査事業費助成金」は、日本国内における地熱発電の開発を促進するための強力な支援制度です。地熱発電は、天候に左右されず安定的に電力を供給できるベースロード電源として期待されていますが、開発初期段階の調査には高いコストとリスクが伴います。この助成金は、その初期調査にかかる費用の一部を助成することで、事業者の負担を軽減し、日本の豊富な地熱資源の有効活用を後押しすることを目的としています。
この制度の目的
- 開発リスクの高い初期調査(地質調査、物理探査、坑井掘削調査等)を支援する。
- 温泉への影響や自然環境に配慮したモニタリング調査や環境事前調査を支援し、環境と調和した開発を促進する。
助成内容の詳細
本助成金の詳細を、対象者、対象経費、助成率の観点から解説します。
助成対象者
日本国内で地熱発電を目的とした地熱資源調査を行う本邦法人が対象です。具体的には、地熱資源開発事業者や、地元の地熱関係法人などが該当します。
※1,000kW以上の規模の開発計画を有する事業が対象となります。
助成対象となる調査と経費
助成の対象となるのは、リスクの高い初期調査から環境配慮のための調査まで多岐にわたります。
経費区分 | 主な調査内容 |
---|---|
地表調査等事業費 | 文献調査、地質調査、物理探査、地化学探査、地温測定調査など |
坑井掘削等事業費 | 坑井掘削費、坑井調査費、附帯工事費など(噴気試験を行うものを除く) |
環境関連調査費 | 環境事前調査、既存温泉への影響を把握するためのモニタリング調査(モニタリング井の掘削を含む) |
助成率
助成率は、調査内容や事業者の条件によって異なります。特に環境関連調査は手厚い支援が特徴です。
調査内容 | 助成率 | 備考 |
---|---|---|
地表調査 | 2/3 or 3/4 以内 | 事業者の種類や開発規模等による |
坑井掘削調査 | 1/2, 2/3, or 3/4 以内 | 事業者の種類や開発規模等による |
環境事前調査・モニタリング調査 | 10/10 以内 | この調査のみでの申請は不可 |
申請から助成金交付までの流れ
申請プロセスは以下の通りです。公募期間内に、必要な手続きを完了させる必要があります。
- 公募情報の確認: JOGMECの公式サイトで最新の公募情報を確認します。
- 申請書類の準備・提出: 指定された様式に従い、交付申請書や実施体制図などを作成し、電子メールで提出します。
- 審査: JOGMECが設置する採択審査委員会にて、審査基準に基づき審査が行われます。
- 交付決定: 審査を通過した案件に対して、助成金の交付が決定されます。
- 事業実施: 交付決定後、計画に沿って調査事業を開始します。
- 実績報告: 事業完了後、実績報告書および調査報告書をJOGMECに提出します。
- 確定検査・助成金支払: 提出された報告書に基づき確定検査が行われ、問題がなければ助成金が支払われます。
令和7年度 公募スケジュール
令和7年度は複数回の公募が予定されています。計画に合わせて申請準備を進めてください。
公募回 | 公募開始日(予定) |
---|---|
第1回公募 | 令和7年2月3日 |
第2回公募 | 令和7年4月21日 |
第3回公募 | 令和7年8月4日 |
※上記は予定であり、最新情報は必ずJOGMECの公式サイトでご確認ください。
申請・事業実施における重要注意事項
法令遵守と安全管理の徹底
過去の事業において、森林法・自然公園法違反(無許可伐採)や労働災害が発生した事例が報告されています。助成事業者は、関連法令を遵守し、事業に関わる全ての作業員の安全管理を徹底する責任があります。
- 法令遵守: 調査地の規制(自然公園法、森林法等)を事前に確認し、関係官庁と密に連携してください。
- 体制の明確化: 申請時には、事業者の組織体制や担当者の実務経験、法令運用に関する調整状況が厳しく審査されます。
- 安全管理: 外注先を含め、作業全体の安全管理体制を構築し、事故防止に努めてください。万一事故が発生した場合は、速やかにJOGMECへ報告が必要です。
まとめ:地熱資源開発の第一歩を、この助成金で
「地熱発電の資源量調査事業費助成金」は、地熱開発の初期段階における経済的・技術的ハードルを大きく引き下げる、非常に価値のある制度です。環境への配慮も重視されており、持続可能なエネルギー開発を目指す事業者にとって強力な味方となります。申請には専門的な知識と周到な準備が必要ですが、日本のクリーンエネルギーの未来を切り拓くために、ぜひ本制度の活用をご検討ください。