【重要なお知らせ】
事業再構築補助金の新規の応募申請受付は、第13回公募(2025年3月26日締切)をもって終了しました。本記事は過去の公募情報に基づく解説となります。
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、中小企業等の思い切った事業再構築を支援し、日本経済の構造転換を促すことを目的とした大型の補助金制度です。ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するための新分野展開、業態転換、事業・業種転換などの挑戦を力強く後押しします。
この補助金のポイント
- ✅大規模な予算と補助額: 予算総額は1兆円を超え、1社あたり最大1.5億円という非常に高額な支援が特徴です。
- ✅幅広い対象経費: 建物費(建設・改修)、設備投資、システム構築費から広告宣伝費まで、事業再構築に必要な幅広い経費が対象となります。
- ✅多様な申請枠: 通常枠に加え、グリーン成長枠や緊急対策枠など、事業者の状況や目指す方向性に応じた多様な支援類型が用意されていました。
- ✅認定支援機関との連携: 事業計画の策定には認定経営革新等支援機関との連携が必須であり、専門家の支援を受けながら計画の質を高めることが求められます。
事業再構築補助金の概要
補助金の基本的な情報を表にまとめました。申請枠によって内容が異なるため、詳細は各枠の解説をご確認ください。
項目 | 内容 |
---|---|
補助額 | 100万円 〜 最大1.5億円(申請枠・従業員規模による) |
補助率 | 中小企業: 2/3 or 3/4 中堅企業: 1/2 or 2/3(枠や補助金額により変動) |
対象者 | 新型コロナの影響で売上が減少した中小企業・中堅企業等 |
申請要件 | ①売上高減少要件、②事業再構築要件、③認定支援機関要件、④付加価値額要件を満たすこと |
申請方法 | 電子申請システム「jGrants」によるオンライン申請のみ |
採択率(実績) | 約44%(第1回〜第6回公募実績) |
主要な申請要件
事業再構築補助金に申請するためには、主に以下の4つの要件をすべて満たす必要がありました。
1. 売上高等減少要件
原則として、以下のいずれかを満たす必要がありました。
- 売上高での比較: 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。
- 付加価値額での比較: 上記を満たさない場合、同様の期間比較で合計付加価値額が15%以上減少していること。
※申請枠によっては、より厳しい売上減少要件が課される場合がありました。
2. 事業再構築要件
経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画であることが必須です。以下のいずれかに該当する必要がありました。
- 新分野展開: 主たる業種や事業を変更せず、新たな製品・サービスで新たな市場に進出する。
- 事業転換: 新たな製品・サービスを提供し、主たる事業を変更する。
- 業種転換: 新たな製品・サービスを提供し、主たる業種を変更する。
- 業態転換: 製品・サービスの製造方法や提供方法を相当程度変更する。
- 事業再編: 会社法上の組織再編等を行い、上記のいずれかに取り組む。
3. 認定支援機関要件
事業計画は、国が認定した経営の専門家である「認定経営革新等支援機関」と共同で策定する必要がありました。金融機関や税理士、中小企業診断士などがこれにあたります。補助金額が3,000万円を超える案件では、金融機関の参加も必須でした。
4. 付加価値額要件
補助事業終了後、3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加(一部の枠では5.0%以上)させる事業計画であることが求められました。
※付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
主な申請枠と補助額・補助率
事業再構築補助金には、事業者の状況に応じて複数の申請枠が設けられていました。ここでは主要な枠をご紹介します。
申請枠 | 補助上限額 | 補助率(中小/中堅) | 概要 |
---|---|---|---|
通常枠 | 最大8,000万円 | 2/3 / 1/2 | 基本的な事業再構築を支援する枠。 |
緊急対策枠 | 最大4,000万円 | 3/4 / 2/3 | 原油価格・物価高騰等の影響を受ける事業者向け。 |
グリーン成長枠 | 最大1.5億円 | 1/2 / 1/2 | グリーン分野での事業再構築に挑戦する事業者向け。 |
大規模賃金引上枠 | 最大1億円 | 2/3 / 1/2 | 継続的な賃金引上げと従業員増員に取り組む事業者向け。 |
補助対象となる経費
事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への投資が対象です。主な経費は以下の通りです。
✅ 主な対象経費
- 建物費: 建物の建設・改修、撤去費など
- 機械装置・システム構築費: 設備、専用ソフトウェアの購入・構築、リース費など
- 技術導入費: 知的財産権等の導入費用
- 専門家経費: コンサルティング費用など
- 広告宣伝・販売促進費: 新製品・サービスの広告作成、展示会出展費用など
- 研修費: 新事業に必要な教育訓練費用
❌ 対象外経費の例
- 従業員の人件費、旅費
- 不動産、株式、公道を走る車両の購入費
- 汎用品(PC、スマホ、家具など)の購入費
- 販売商品の原材料費、消耗品費、光熱水費
- フランチャイズ加盟料、各種保険料
申請から受給までの流れ
事業再構築補助金の一般的なプロセスは以下の通りでした。
- GビズIDプライムアカウントの取得: 電子申請に必須のアカウント。取得に数週間かかるため、早めの準備が必要でした。
- 事業計画の策定: 認定経営革新等支援機関と連携し、要件を満たす事業計画を作成します。
- 電子申請: 公募期間内にjGrantsから必要書類を添付して申請します。
- 採択発表: 審査を経て、採択結果が公表されます。
- 交付申請・交付決定: 採択後、補助対象経費を精査し交付申請。事務局の審査を経て補助金額が正式に決定されます。
- 補助事業の実施: 交付決定後、事業計画に沿って設備投資などを開始します。
- 実績報告: 事業完了後、実績報告書を提出します。
- 補助金の受給(精算払): 報告書の内容が確定した後、補助金が支払われます。
まとめ
事業再構築補助金は、コロナ禍を乗り越え、新たな事業に挑戦する事業者にとって非常に強力な支援策でした。新規公募は終了しましたが、採択された事業者は今後5年間にわたる事業化状況の報告が求められます。また、本補助金の成果や事例は、今後の事業展開を考える上で大きな参考となるでしょう。
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