令和7年度の「水力発電導入加速化事業費」の公募が開始されました。この補助金は、中小水力発電の導入を促進するため、事業初期段階の事業性評価(調査・設計)にかかる経費を最大2,000万円支援するものです。民間事業者から地方公共団体まで幅広く対象としており、再生可能エネルギー事業への参入を検討している方必見の制度です。本記事では、制度の概要から申請のポイントまで、専門家が分かりやすく解説します。
補助金の概要(早わかり表)
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | 令和7年度 水力発電導入加速化事業費(水力発電の事業初期段階における支援事業(初期調査等支援事業)のうち水力発電の事業性評価に必要な調査及び設計等を行う事業) |
対象者 | ・自ら中小水力発電を実施予定の民間事業者(法人、青色申告の個人事業者) ・地方公共団体 |
補助上限額 | 最大2,000万円/年(事業内容により異なる) |
補助率 | ・民間事業者等:1/2以内 ・地方公共団体(公募事業):定額(10/10) |
公募期間 | 令和7年4月7日(月) ~ 令和7年6月17日(火) ※注:交付申請は2次締切(6/17)まで |
対象事業 | 出力20kW以上30,000kW未満の水力発電所の新設・リプレイスに関する事業性評価(調査・設計等) |
実施機関 | 一般財団法人新エネルギー財団(NEF) |
2つの事業スキームを解説
本補助金は、申請者の属性や目的によって2つの事業区分が設けられています。自社の状況に合わせて最適なスキームを選択しましょう。
1. 水力発電事業性評価事業(民間事業者・地方公共団体向け)
自ら水力発電事業を行う事業者が、事業化の判断に必要な調査や設計を行うための支援です。
- 対象者:自ら中小水力発電を実施予定の民間事業者等、地方公共団体
- 補助率:1/2以内
- 補助上限額:
- 基本設計が含まれる場合:2,000万円/年
- 基本設計が含まれない場合:1,000万円/年
- 作業道整備費(別途):最大1,000万円
- 対象経費:事業性評価に必要な調査・設計等(原則、外注費とリース料のみ)、作業道整備費
2. 地方公共団体が行う水力発電事業性評価・公募事業
地方公共団体が主導し、地域の有望な水力発電地点を調査・設計し、開発を行う事業者を公募するための支援です。
- 対象者:地域の有望地点を調査し、発電事業者を公募する地方公共団体
- 補助率:定額(10/10)
- 補助上限額:
- 調査費(公募用資料作成費含む):2,000万円/年
- 作業道整備費(別途、2ヵ年):最大2,000万円
- 対象経費:有望地点の調査・設計、公募用資料作成費、作業道整備費
申請スケジュールと締切
申請は随時受け付けられますが、審査・交付決定は締切ごとに実施されます。特に今回は2次締切が最終となるため、計画的な準備が不可欠です。
締切 | 申請書到着期限 | 交付決定(予定) |
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1次締切 | 令和7年5月13日(火) | 6月下旬 |
2次締切 (最終) | 令和7年6月17日(火) | 7月下旬 |
【重要】申請に関する注意点
- 公式発表により、令和7年度の交付申請は2次締切までとされています。3次締切はありませんのでご注意ください。
- 予算額を超える申請があった場合、公募期間中であっても受付が終了する可能性があります。早めの申請を強く推奨します。
申請方法と採択に向けたポイント
申請プロセスと必要書類
申請は、原則として経済産業省の補助金申請システム「Jグランツ」を利用した電子申請となります。GビズIDプライムアカウントの取得に時間がかかる場合があるため、未取得の方はお早めに手続きを進めてください。
- GビズIDプライムの取得:電子申請に必須です。
- 公募要領・申請様式の確認:公式サイトから最新の資料をダウンロードし、要件を熟読します。
- 必要書類の作成:事業計画書、資金計画書、図面などを不備なく作成します。
- Jグランツで申請:期限内にシステムから申請を完了させます。
主な必要書類には「補助金交付申請書」「事業計画書」「資金計画書」「地図・図面類」などがあります。詳細は必ず公募要領で確認してください。
採択率を高める3つの重要ポイント
本補助金は専門性が高く、申請難易度は「非常に高い」とされています。以下の3つのポイントを押さえ、説得力のある事業計画を作成することが採択の鍵となります。
1. 事業性の明確な提示
発電量シミュレーション、売電収入予測、投資回収期間など、具体的な数値に基づいた実現可能な事業計画を示しましょう。流量データは複数年の実績データを用いるなど、根拠の信頼性を高めることが重要です。
2. 環境への配慮と対策
水力発電はクリーンエネルギーですが、生態系への影響は無視できません。専門家による環境影響評価(環境アセスメント)計画を具体的に示し、適切な環境保全措置を講じる姿勢を明確にすることが求められます。
3. 地域との強固な連携
特に河川を利用する場合、漁業協同組合や土地改良区、地元住民など、地域関係者との合意形成が不可欠です。調整状況や連携体制を具体的に示すことで、事業の円滑な推進力をアピールできます。
公募説明会・問い合わせ先
制度の詳細を理解するため、オンラインでの公募説明会が複数回開催されます。参加は必須ではありませんが、疑問点を直接解消できる貴重な機会ですので、積極的な参加をおすすめします。
回 | 日時 | 形式 |
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第1回 | 令和7年4月15日(火) 9:30~11:00 | オンライン (Google Meet) |
第2回 | 令和7年4月22日(火) 9:30~11:00 | オンライン (MS Teams) |
第3回 | 令和7年5月20日(火) 9:30~11:00 | オンライン (Google Meet) |
第4回 | 令和7年6月11日(水) 9:30~11:00 | オンライン (MS Teams) |
応募書類の提出先・問い合わせ先
一般財団法人新エネルギー財団 水力普及促進部
住所:東京都豊島区目白1丁目4番25号
【注意事項】
・質問は公式ウェブサイトにある質問フォーマットを利用した電子メールでのみ受け付けています。
・電話での問い合わせには対応していません。