本記事では、経済産業省が実施した「令和3年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業」について詳しく解説します。エネルギー価格の高騰に対応し、事業者の省エネ設備導入を支援することを目的とした補助金です。
※本補助金の公募は既に終了していますが、今後の同様の事業の参考情報としてご活用ください。
省エネルギー投資促進支援事業とは?
この事業は、世界的なエネルギー価格の高騰を受け、国内の産業・業務部門におけるエネルギーコストの削減を目指すために設立されました。性能の優れた省エネ設備への更新費用の一部を補助することで、企業の燃料・電力の消費抑制を促進する緊急的な支援策です。
この補助金のポイント
- 緊急支援: エネルギー価格高騰に対応するための緊急的な設備投資支援。
- 定額補助: 対象設備の種類や性能に応じて、あらかじめ定められた金額が補助される。
- 幅広い対象設備: 空調、給湯器、ボイラから生産設備まで、多様な省エネ設備が対象。
- 複数の執行団体: 設備の種類によって申請先・問い合わせ先が異なる点に注意が必要。
補助金の概要
本事業の基本情報を以下の表にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
事業目的 | エネルギー消費機器の高効率化による燃料・電力費の消費抑制を図り、エネルギーコストを節減する。 |
対象者 | 国内で事業活動を営む法人及び個人事業主 |
補助対象経費 | 設備費 |
補助形式 | 定額補助(設備種別・性能ごとに設定) |
補助金額 | 下限20万円~上限1億円(設備区分により異なる) |
公募期間 | 全区分で公募終了(2022年3月~12月頃に実施) |
補助対象となる事業者と設備
対象事業者
国内で事業を営む法人および個人事業主が対象です。大企業については、省エネ法に基づく事業者クラス分け評価制度で「Sクラス」または「Aクラス」の評価を受けている事業者も対象に含まれていました。
対象設備
執行団体が定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象として登録・公表された指定設備が対象です。大きく分けて以下のカテゴリーに分類されます。
- ユーティリティ設備: 高効率空調、業務用給湯器、高性能ボイラ、低炭素工業炉、変圧器、冷凍冷蔵設備、産業用モータ、調光制御設備など
- 生産設備: 工作機械、プラスチック加工機械、プレス機械、印刷機械、ダイカストマシンなど
- 産業ヒートポンプ
- 高効率コージェネレーション
【重要】設備区分による申請先の違い
この補助金は、導入する設備の種類によって申請先となる執行団体が異なりました。これは非常に重要なポイントです。
- 産業ヒートポンプ: (一財)ヒートポンプ・蓄熱センター
- 高効率コージェネレーション: (一社)都市ガス振興センター
- 上記以外の設備: (一社)環境共創イニシアチブ(SII)
補助額と補助率
補助は、設備の種類や性能に応じて定められた定額補助方式です。設備区分ごとの補助上限額・下限額は以下の通りでした。
設備区分 | 補助上限額 | 補助下限額 |
---|---|---|
産業ヒートポンプ | 1,000万円 | 20万円 |
高効率コージェネレーション | 1,200万円 | 20万円 |
その他指定設備 | 1億円 | 20万円 |
申請のプロセス(参考)
公募は終了していますが、一般的な申請プロセスは以下の通りでした。今後の補助金申請の参考にしてください。
- 公募要領の確認: 自身の事業や導入したい設備が対象となるか、公式サイトで公募要領を熟読する。
- 補助対象設備の選定: 補助対象設備リストから導入する設備を選定する。
- 申請書類の準備: 事業計画書や経費関連書類など、指定された申請書類を作成する。
- 申請: 該当する執行団体の指示に従い、期間内に申請手続きを行う。
- 交付決定: 審査を経て交付が決定される。
- 事業実施・実績報告: 交付決定後に設備を導入し、事業完了後に実績報告書を提出する。
まとめと関連情報
「令和3年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業」は、エネルギーコスト削減を目指す多くの事業者にとって重要な支援策でした。公募は終了しましたが、政府は引き続き省エネ関連の補助金を展開しています。今後発表される後継事業や類似の補助金に備え、情報収集を継続することが重要です。