令和2年度に実施された「産業保安高度化推進事業費補助金」は、電力、ガス、化学、鉄鋼などの産業インフラ分野において、IoTやAIといった先端技術を活用して保安業務の自動化・遠隔化(スマート保安)を推進する事業者を支援する制度です。本記事では、この補助金の概要や目的を解説します。
【ご注意】
本補助金の公募は令和2年度に終了しています。本記事は記録として、また今後の同様の事業の参考としてご活用ください。
産業保安高度化推進事業費補助金とは?
本事業は、感染症の拡大といった緊急事態においても、国民生活や経済に不可欠な産業インフラの安全な事業継続を確保することを目的としています。産業保安人材の高齢化や設備の高経年化という課題に対し、IoTやAIなどの新技術を活用した「スマート保安」の取り組みを実証し、その社会実装を促進するために設立されました。
この補助金のポイント
- スマート保安の推進:IoT/AI技術で現場作業を省人化・遠隔化し、安全と効率を両立。
- 事業継続計画(BCP)の強化:感染症流行時など、少ない現場要員でも事業を継続できる体制を構築。
- 幅広い産業インフラが対象:電力、ガス、石油、化学、鉄鋼など、日本の基幹産業を広くカバー。
補助金の概要
項目 | 内容 |
---|---|
補助金名 | 令和2年度補正予算 産業保安高度化推進事業費補助金 |
対象者 | 電力、ガス、石油精製、石油化学、一般化学、高圧ガス、鉄鋼分野で産業保安に携わる事業者や、関連するIoT/AI等の新技術を扱う事業者など |
対象事業 | IoT/AI等の新技術を活用した保安業務の実証事業(詳細は後述の4類型) |
公募期間 | 公募終了(参考:令和2年6月25日公募開始) |
実施団体 | 一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII) |
4つの事業類型
本事業は、対象となる技術や分野に応じて、以下の4つの類型に分かれていました。
① 類型A(AI実証)
産業保安分野(電力、ガス、石油、化学、鉄鋼など)を対象とした、保安業務を高度化するためのAIの開発・実証を支援します。
② 類型B(防爆ドローン等)
同様の産業保安分野を対象に、防爆性能を持つドローン等の危険区域で活用できる機器の開発・実証を支援します。
③ 類型C(発電所遠隔制御)
火力・水力・太陽光発電所などを対象に、IoT機器やデータを活用して保安業務の現場作業を省人化・遠隔化するための技術開発・実証を支援します。
④ 類型D(スマート鉄塔)
送電鉄塔を対象として、IoT機器やデータを活用し、保安業務の現場作業における省人化・遠隔化(スマート鉄塔化)技術の開発・実証を支援します。
申請から交付までの流れ(参考)
公募は終了していますが、一般的な申請プロセスは以下の通りです。今後の類似事業の参考にしてください。
- 1公募要領の確認・準備公式サイトで公募要領を熟読し、事業計画や必要書類の準備を進めます。
- 2申請書類の提出指定された方法(オンライン、郵送など)で、期間内に申請書類を提出します。
- 3審査事務局および審査委員会による書類審査やヒアリングが行われます。
- 4交付決定審査を通過した事業者に交付決定通知が送付され、事業を開始できます。
まとめ
「産業保安高度化推進事業費補助金」は、日本の重要インフラの未来を見据え、デジタル技術による変革を後押しする重要な制度でした。労働人口の減少や未曾有の危機への備えとして、スマート保安の重要性は今後ますます高まることが予想されます。関連事業者の皆様は、今後も経済産業省や関連団体からの情報に注目し、新たな支援制度の機会を逃さないようにしましょう。
お問い合わせ・公式サイト
本事業に関する詳細は、下記の公式サイトをご確認ください。
お問い合わせ先(E-mail): smart-hoan_info@sii.or.jp
※件名に必ず【質問】と記載してください。