小規模事業者持続化補助金<一般型>とは?
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が直面する制度変更(インボイス導入や賃上げなど)に対応しつつ、持続的な経営を目指すための販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する制度です。自社の経営計画に基づいた地道な取り組みの経費の一部が補助され、多くの事業者にとって力強い味方となります。
💡 この補助金のポイント
- 販路開拓を支援:チラシ作成、ウェブサイト構築、展示会出展など、新たな顧客獲得のための費用が対象です。
- 業務効率化も対象:販路開拓と併せて行う生産性向上のための取り組みも支援されます。
- 商工会・商工会議所がサポート:専門家の支援を受けながら計画を作成・実行できるので安心です。
補助金の概要(令和元年度・3年度補正予算版)
本記事で解説する補助金の基本情報を表にまとめました。申請を検討する際の参考にしてください。
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | 小規模事業者の持続的発展を目的とした、経営計画に基づく販路開拓や業務効率化の取り組み支援 |
補助上限額 | 通常枠:50万円 特別枠:最大200万円(賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠) インボイス枠:100万円 |
補助率 | 2/3 (賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4) |
対象者 | 常時使用する従業員数が規定以下の小規模事業者(商業・サービス業は5人以下、その他は20人以下など) |
公募締切(第11回) | 2023年2月20日(月) ※本公募は終了しています。最新の公募情報は公式サイトをご確認ください。 |
誰が対象?補助対象者の詳細
この補助金を利用できるのは、以下の要件を満たす「小規模事業者」です。業種によって従業員数の定義が異なる点にご注意ください。
従業員数の要件
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数 5人以下
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数 20人以下
- 製造業その他:常時使用する従業員の数 20人以下
※「常時使用する従業員」には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含まれません。
その他の主な要件
- 資本金又は出資金が5億円以上の法人に100%株式保有されていないこと(法人のみ)。
- 直近過去3年間の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと。
- 特定の持続化補助金で受付締切日前10か月以内に採択されていないこと。
- 系統出荷による収入のみの個人農業者は対象外です。直販などを行っている場合は対象となる可能性があります。
何に使える?補助対象経費
補助金の対象となる経費は、販路開拓や生産性向上のための幅広い取り組みに利用できます。主な経費項目は以下の通りです。
① 機械装置等費
販路開拓に必要な製造装置や、衛生向上のためのショーケース等の購入費用。
② 広報費
新商品・サービスをPRするためのチラシ、ポスター、看板の作成・設置費用。
③ ウェブサイト関連費
ECサイトの構築・改修、インターネット広告の費用など。※補助金申請額の1/4が上限。
④ 展示会等出展費
国内外の展示会や商談会への出展料、関連する運搬費など。
⑤ 旅費
販路開拓のための調査や展示会参加に伴う交通費・宿泊費。
⑪ 委託・外注費
店舗改装やバリアフリー化工事など、自社で実施困難な業務の委託費用。
⚠️ 対象外経費の注意点
汎用性が高く、目的外使用になりえるものは補助対象外です。特に以下の項目は注意が必要です。
- 自動車、パソコン、タブレット、スマートフォン本体
- 文房具などの事務用品
- 単なる会社のPRを目的とした広告
- 振込手数料や公租公課(消費税など)
申請類型と補助上限額
本補助金には、基本となる「通常枠」と、特定の要件を満たすことで補助上限額が引き上げられる5つの「特別枠」があります。いずれか1つの枠でのみ申請可能です。
申請枠 | 補助上限額 | 概要 |
---|---|---|
通常枠 | 50万円 | 基本的な販路開拓等の取り組みを支援。 |
賃金引上げ枠 | 200万円 | 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者向け。 |
卒業枠 | 200万円 | 雇用を増やし、小規模事業者の定義を超える規模へ拡大する事業者向け。 |
後継者支援枠 | 200万円 | 「アトツギ甲子園」のファイナリストになった事業者向け。 |
創業枠 | 200万円 | 特定創業支援等事業の支援を受け、過去3年以内に開業した事業者向け。 |
インボイス枠 | 100万円 | 免税事業者からインボイス発行事業者に転換する事業者向け。 |
申請から補助金受給までの流れ
申請手続きは計画的に進めることが重要です。特に、商工会・商工会議所での「事業支援計画書」の発行には時間がかかるため、早めに相談しましょう。
- 申請書類の準備
公募要領を確認し、「経営計画書」や「補助事業計画書」などを作成します。 - 商工会・商工会議所への相談
作成した計画書を持参し、地域の商工会・商工会議所に相談。「事業支援計画書(様式4)」の作成・交付を依頼します。締切の原則1週間前までなので注意! - 申請手続き
全ての書類を揃え、電子申請(Jグランツ)または郵送で補助金事務局へ提出します。 - 審査・採択・交付決定
審査が行われ、採択されると「交付決定通知書」が届きます。この通知書の日付以降に発注・契約した経費が補助対象となります。 - 補助事業の実施
計画に沿って販路開拓などの取り組みを実施します。 - 実績報告
事業完了後、期限内に実績報告書と経費の証拠書類(見積書、請求書、領収書など)を提出します。 - 補助金の請求・入金
事務局の検査後、補助金額が確定し、請求手続きを経て補助金が振り込まれます(後払い)。
採択率アップ!審査で評価されるポイント
本補助金は申請すれば必ず採択されるわけではありません。審査で高く評価されるためには、計画書の質が重要です。また、政策的な観点からの加点項目を積極的に活用しましょう。
書面審査の主な観点
- 自社の経営状況分析の妥当性:自社の強み・弱み、市場の動向を正確に把握しているか。
- 経営方針・目標と今後のプランの適切性:分析に基づいた実現可能な計画か。
- 補助事業計画の有効性:計画が販路開拓に繋がり、具体的で実現可能性が高いか。小規模事業者ならではの創意工夫があるか。
- 積算の透明・適切性:経費の積算が正確で、事業に必要な金額か。
主な加点項目
以下の要件を満たすと、審査で加点され採択に有利になります。
- パワーアップ型加点:地域資源の活用や地域コミュニティの課題解決に資する計画。
- 赤字賃上げ加点:賃金引上げ枠に申請する赤字事業者。
- 経営力向上計画加点:中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けている。
- 電子申請加点:Jグランツを利用して電子申請を行う。
- 事業承継加点:代表者が満60歳以上で、後継者候補が事業の中心となる計画。
まとめと次のステップ
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や生産性向上を目指す事業者にとって非常に有効な制度です。補助上限額が引き上げられる特別枠も充実しており、自社の状況に合わせて活用することで、事業成長の大きな一歩を踏み出すことができます。
まずは地域の商工会・商工会議所へ相談しましょう!
最新の公募情報や申請手続きの詳細については、公式サイトを確認するか、事業所を管轄する商工会・商工会議所へお問い合わせください。