海外展開を目指す中小企業にとって、経済連携協定(EPA)の活用は関税削減などの大きなメリットをもたらします。しかし、その手続きの複雑さが課題でした。今回は、その課題解決を目的とした「経済連携協定関連ツール開発実証事業費補助金」について、概要や対象事業、申請の流れを詳しく解説します。
この補助金のポイント
- 最大6,798万円の大型支援でツール開発を強力に後押し
- EPA関連手続きを簡素化・効率化するツールの開発・実証が対象
- 中堅・中小企業の海外展開と貿易DXを促進する国の重要施策
経済連携協定関連ツール開発実証事業費補助金とは?
本補助金は、RCEP協定をはじめとする経済連携協定(EPA)の利用を、より多くの中堅・中小企業に広げることを目的としています。民間企業等が行うEPA関連手続きを簡素化するためのツール開発や実証事業を支援することで、企業の国際競争力強化を目指す制度です。
補助金の概要
補助対象事業 | EPA関連手続きを簡素化・効率化するツールの開発および実証事業 |
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補助上限額 | 最大6,798万円 |
補助率 | 補助対象経費の1/2以内など(※公募回により変動) |
対象者 | 上記の補助対象事業を行う民間企業等 |
公募期間の例 | 2022年2月18日締切(※本記事は過去の公募情報です。最新情報は公式サイトをご確認ください) |
実施主体 | 経済産業省 |
補助対象となる事業の具体例
以下のような、EPAの利用促進に繋がる革新的なツール開発が対象となります。
- 原産地規則判定システム: 複雑な原産地規則をAIが自動で判定し、証明書発行をサポートするツール。
- EPA関連書類の自動作成ツール: 輸出入情報から必要な書類を自動で生成し、手続き時間を大幅に短縮するソフトウェア。
- サプライチェーン連携プラットフォーム: サプライヤーからの情報収集を効率化し、EPA適用可否を管理するシステム。
申請から採択までの流れ
- 公募要領の確認: 経済産業省のウェブサイトで最新の公募要領を確認し、事業内容や要件を把握します。
- 事業計画書の作成: 開発するツールの具体的内容、実証計画、事業の新規性や波及効果などを詳細に記載した事業計画書を作成します。
- 電子申請: 指定された電子申請システム(jGrantsなど)を利用して、必要書類を提出します。
- 審査: 専門家による書面審査や、必要に応じてヒアリング審査が行われます。
- 採択・交付決定: 審査を通過すると採択が決定し、交付申請手続きを経て補助金額が確定します。
- 事業開始: 交付決定後、計画に沿って事業を開始します。
申請時の注意点
この種の補助金は、事業計画の革新性、実現可能性、そして社会への波及効果が厳しく審査されます。なぜそのツールが必要なのか、どのように中小企業のEPA活用に貢献するのかを明確に示すことが採択の鍵となります。
まとめ
「経済連携協定関連ツール開発実証事業費補助金」は、企業の技術開発を支援し、日本の貿易DXを加速させる重要な制度です。自社の技術を活かしてEPA活用のハードルを下げ、多くの中小企業の海外展開をサポートする事業をお考えの企業にとって、絶好の機会と言えるでしょう。公募情報は定期的にチェックすることをおすすめします。