この記事のポイント
- 事業再構築補助金(第6回公募)の全体像と目的がわかる
- 「回復・再生応援枠」「グリーン成長枠」など5つの申請類型を詳しく解説
- 売上高減少要件の緩和など、前回からの重要な変更点がわかる
- 申請に必要な要件や手続きの流れを具体的に把握できる
新型コロナウイルスの影響が長期化する中、新たな事業展開を目指す中小企業を力強く支援する「事業再構築補助金」。特に第6回公募では、要件の緩和や新たな申請枠が設けられ、より多くの事業者が挑戦しやすくなりました。この記事では、第6回事業再構築補助金の概要から、5つの申請類型、主な変更点、申請要件まで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
事業再構築補助金(第6回)の概要
本補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、新分野展開、業態転換、事業・業種転換等の思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するものです。第6回公募では、特に業況が厳しい事業者やグリーン分野への挑戦を重点的に支援する内容となっています。
公募期間 | 令和4年3月28日(月) ~ 令和4年6月30日(木)18:00まで |
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目的 | ポストコロナ社会を見据えた、中小企業等の思い切った事業再構築を支援し、日本経済の構造転換を促す。 |
対象者 | 日本国内に本社を有する中小企業者等及び中堅企業等 |
申請方法 | 電子申請システム(jGrants)のみ(GビズIDプライムアカウントが必須) |
採択率(参考) | 49.99%(応募15,340者に対し、7,669者が採択) |
【重要】第6回公募の主な変更点
申請しやすくなった!4つの大きな変更点
- 売上高10%減少要件の緩和:これまで2段階で確認が必要だった売上減少要件が、「2020年4月以降の任意の3ヶ月合計売上が10%以上減少」のみに簡素化されました。
- 「回復・再生応援枠」の新設:従来の「緊急事態宣言特別枠」に代わる枠。補助率が高く、業況が厳しい事業者を手厚く支援します。
- 「グリーン成長枠」の新設:グリーン分野での事業再構築を目指す事業者向け。補助上限額が最大1.5億円と非常に高額です。
- 通常枠の補助上限額の見直し:従業員規模に応じた補助上限額が4区分に細分化されました。
5つの申請類型を徹底解説
第6回公募では、事業者の状況に応じて選べる5つの申請類型(枠)が用意されています。それぞれの特徴を理解し、自社に最適な枠を選びましょう。
① 通常枠
新分野展開や業態転換など、幅広い事業再構築を支援する最も基本的な枠です。
従業員数 | 補助上限額 |
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20人以下 | 2,000万円 |
21~50人 | 4,000万円 |
51~100人 | 6,000万円 |
101人以上 | 8,000万円 |
補助率 | 中小: 2/3 (6,000万円超は1/2) / 中堅: 1/2 (4,000万円超は1/3) |
② 大規模賃金引上枠
継続的な賃金引上げと従業員増員に取り組む、従業員101人以上の事業者向けです。
- 補助金額: 8,000万円超 ~ 1億円
- 補助率: 中小: 2/3 (6,000万円超は1/2) / 中堅: 1/2 (4,000万円超は1/3)
③ 回復・再生応援枠 新設
コロナ禍で特に業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者を対象とした、補助率が高い枠です。
従業員数 | 補助上限額 |
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5人以下 | 500万円 |
6~20人 | 1,000万円 |
21人以上 | 1,500万円 |
補助率 | 中小: 3/4 / 中堅: 2/3 |
④ 最低賃金枠
最低賃金引上げの影響を受け、原資確保が困難な事業者を支援する枠です。こちらも補助率が高く設定されています。
- 補助金額: 回復・再生応援枠と同額
- 補助率: 中小: 3/4 / 中堅: 2/3
⑤ グリーン成長枠 新設
グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に資する取組を行う事業者向け。研究開発や人材育成も要件に含まれ、補助上限額が最大の枠です。
- 補助金額: 中小: 最大1億円 / 中堅: 最大1.5億円
- 補助率: 中小: 1/2 / 中堅: 1/3
申請の必須要件
申請するには、基本的に以下の要件をすべて満たす必要があります。(※グリーン成長枠など一部例外あり)
- 売上高等減少要件:2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前の同3ヶ月と比較して10%以上減少していること。
- 事業再構築要件:経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画であること。
- 認定支援機関要件:認定経営革新等支援機関と共同で事業計画書を策定すること。(補助額3,000万円超は金融機関も必須)
- 付加価値額要件:事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%以上(グリーン成長枠は5.0%以上)の増加を見込む事業計画であること。
申請手続きの流れ
申請は以下のステップで進みます。特にGビズIDプライムアカウントの発行には時間がかかるため、早めの準備が重要です。
- GビズIDプライムアカウントの取得:電子申請に必須です。発行に1週間程度かかるため、未取得の場合は最優先で手続きしましょう。
- 認定経営革新等支援機関の選定・相談:事業計画の策定を共同で行うパートナーを選びます。
- 事業計画書の作成:指針に沿って、自社の強みや市場分析、収益計画などを具体的に盛り込みます。
- 必要書類の準備:決算書や売上減少を証明する書類など、指定された書類を準備します。
- 電子申請:jGrantsシステムから、期間内にすべての情報を入力・添付して申請を完了させます。
⚠️ 注意:悪質なコンサルタントにご注意ください
事業計画の策定支援を謳い、高額な成功報酬を請求する悪質な業者が存在します。不審に感じた場合は、事務局の「トラブル等通報窓口」に相談しましょう。
<トラブル等通報窓口> TEL:03-6810-0162
まとめ
第6回事業再構築補助金は、要件緩和や新設枠により、これまで以上に多くの事業者にとってチャンスが広がる制度です。自社の状況と将来のビジョンに合った申請枠を選択し、認定支援機関と連携しながら、実現性の高い事業計画を策定することが採択への鍵となります。公募期間は限られていますので、計画的な準備を進めましょう。