【2026年】令和8年度文化庁の補助金・助成金が公開!
文化庁は、日本の文化芸術の振興と文化財の保存・活用を目的とした、令和8年度(2026年度)の概算要求を発表しました。総額1,400億円規模の予算が要求されており、文化財の所有者、地方公共団体、芸術家、クリエイター、博物館、NPO法人など、幅広い団体・個人を対象とした多様な支援事業が盛り込まれています。
この記事では、令和8年度文化庁概算要求の概要から、注目の補助金・助成金事業までを徹底解説します。文化財の保存修理、地域の文化振興、芸術家の海外展開など、あなたの活動に合致する支援策がきっと見つかるはずです。
※ご注意:本記事の情報は「概算要求」段階のものです。事業内容や予算額は、今後の国会での審議を経て正式に決定されるため、変更される可能性があります。最新情報は必ず文化庁の公式サイトでご確認ください。
令和8年度文化庁 予算概算要求の2つの柱
令和8年度の文化庁の予算は、大きく分けて以下の2つの柱で構成されています。それぞれの柱に、具体的な補助金・助成金事業が紐づいています。
- 文化資源の持続可能な保存・活用による地方創生の推進(要求額:760億円+事項要求)
- 世界に誇る多様な文化芸術の創造・発信と人材育成(要求額:589億円+事項要求)
以下では、それぞれの柱に含まれる主要な事業について、詳しく見ていきましょう。
1. 文化資源の保存・活用による地方創生の推進
この分野では、国宝や重要文化財の保存修理、史跡の整備、伝統芸能の継承、文化観光の推進など、地域の核となる文化資源を守り、活かすための事業が中心となります。
国宝・重要文化財の保存修理支援
日本の宝である国宝や重要文化財を次世代に継承するため、保存修理にかかる費用を支援します。
- 国宝・重要文化財建造物保存修理強化対策事業(124億円)
建造物の根本修理や維持修理、防災対策(防火・耐震)、公開活用事業などを支援します。
補助率: 原則50%(財政状況により最大85%まで加算あり)
対象者: 所有者、管理団体等 - 国宝・重要文化財美術工芸品保存修理抜本強化事業(11.8億円)
絵画、彫刻、工芸品などの美術工芸品の本格修理や応急修理を支援します。
補助率: 原則50%
対象者: 文化財所有者等
地域の歴史・文化を活かす史跡等の整備・活用
地域のシンボルである史跡等を整備し、観光資源としての価値を高める取り組みを支援します。
- 歴史活き活き!史跡等総合活用整備事業(62億円)
史跡の保存修理、歴史的建造物の復元、ガイダンス施設や案内板の整備、ARなどの先端技術を活用したコンテンツ整備などを支援します。
補助率: 原則50%
対象者: 所有者、管理団体等 - 伝統的建造物群基盤強化事業(20.9億円)
宿場町や商家町など、歴史的町並み(重伝建地区)の修理・修景、防災対策、公開活用施設の整備を支援します。
補助率: 原則50%
対象者: 市町村
多様な文化資源の継承と活用
伝統芸能や民俗文化財、日本遺産など、形のない文化や地域のストーリーを守り伝える活動を支援します。
- 無形文化財の伝承・公開(8.1億円)
芸能や工芸技術などの保持団体が行う伝承者養成、技術研究、用具確保などを支援します。人間国宝への助成も含まれます。 - 地域文化財総合活用推進事業(22.3億円)
地域の伝統行事や民俗芸能の用具修理・後継者養成、日本遺産の魅力向上や情報発信などを総合的に支援します。 - 文化観光・博物館支援
「文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光推進事業」(12.4億円)や「博物館機能強化推進事業」(6.2億円)を通じて、博物館の機能強化やデジタルアーカイブ化、インバウンド誘客を促進します。
2. 世界に誇る多様な文化芸術の創造・発信と人材育成
この分野では、芸術家の国際的な活動支援や、舞台芸術・映画・メディア芸術といったコンテンツの創造、そして文化芸術を通じた社会課題解決への貢献を目指す事業が展開されます。
グローバル展開とクリエイター支援
日本の文化芸術を世界に発信し、アーティストやクリエイターが持続的に活動できる環境を整備します。
- 文化芸術のグローバル展開・CBXの推進(10億円)
日本のアートの海外展開や、世界から人を惹きつけるグローバル拠点の形成、未来のトップアーティストの国際的活動を支援します。 - 新進芸術家の海外研修(3億円)
若手芸術家が海外で研修を行うための費用を支援し、国際的な視野と経験を持つ人材を育成します。 - クリエイター等育成支援事業(81億円)
産学連携による国際芸術祭での海外発信や、クリエイターへの対価還元に向けた環境構築などを支援します。
舞台芸術・映画・メディア芸術の振興
各分野の創造活動を支え、国民が優れた文化芸術に触れる機会を創出します。
| 事業名 | 要求額 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 舞台芸術等総合支援事業 | 101億円 | 質の高い舞台芸術(演劇、音楽、舞踊等)の創造・公演活動を支援。 |
| 日本映画の創造・振興プラン | 15億円 | 国際的に通用する映画の企画・製作、映画祭への出品等を支援。 |
| メディア芸術の創造・発信プラン | 9億円 | マンガ、アニメ、ゲーム等のメディア芸術作品の創造、海外展開、アーカイブ化を支援。 |
文化芸術による社会・経済的価値の醸成
文化芸術の力を活用して、多様な人々が参画できる社会の実現や、子供たちの豊かな育成を目指します。
- 障害者等による文化芸術活動推進事業(18億円)
障害のある人が文化芸術に親しむ機会の創出や、発表の場の提供、支援人材の育成などを推進します。 - 文化芸術による創造性豊かな子供の育成(98億円)
学校での文化芸術鑑賞・体験事業や、地域の伝統文化を親子で学ぶ「伝統文化親子教室事業」などを支援します。
まとめ:未来への投資としての文化支援
令和8年度の文化庁概算要求は、日本の貴重な文化資源を未来へ継承するとともに、文化芸術の力で社会を豊かにし、日本の国際的なプレゼンスを高めるための力強い意志が込められています。これらの事業は、単なる文化保護にとどまらず、地方創生、観光振興、人材育成、経済活性化といった多角的な効果が期待される「未来への投資」と言えるでしょう。
各事業の公募は、予算成立後に順次開始される見込みです。文化財の所有者や芸術文化活動に携わる方は、ぜひ文化庁のウェブサイトを定期的にチェックし、活用できる支援制度を見つけてください。