物流拠点機能強化支援事業とは?

国土交通省が実施する「物流拠点機能強化支援事業」は、災害時や電力不足時においても物流機能を維持し、日本のサプライチェーンを守ることを目的とした補助金制度です。近年、大規模な自然災害が頻発する中で、物流拠点のBCP(事業継続計画)対策は喫緊の課題となっています。特に、停電時にも荷役作業や情報管理を継続できる非常用電源設備の導入は不可欠です。

しかし、発電設備や蓄電池は高額であり、個々の事業者の自助努力だけでは導入が難しいのが実情です。そこで本事業では、物流事業者が非常用電源設備を導入する際の費用の一部を補助し、災害に強い物流ネットワークの構築を後押しします。

補助金の概要

本事業のポイントを以下の表にまとめました。申請を検討されている方は、まずはこちらで全体像をご確認ください。

項目 内容
補助対象設備 非常用電源設備(発電設備または蓄電池)
補助対象経費 設備の導入費(設計・工事費含む)
補助率 1/2以内
上限額 1,500万円
公募期間 令和7年4月23日(水)~ 11月28日(金)17:00必着
注意点 先着順のため、予算上限に達し次第、受付終了の可能性あり

補助対象となる事業者と施設

本補助金を利用できるのは、以下の要件を満たす物流事業者です。

対象となる事業者

以下のいずれかに該当する事業者が対象です。

  • 倉庫事業者
  • 貨物利用運送事業者
  • トラックターミナル事業者
  • 貨物自動車運送事業者
  • 物流不動産開発事業者

対象となる施設と要件

補助対象となるには、事業者が運営する施設が以下の基準を満たしている必要があります。

  • 施設規模: 施設面積が1,000㎡以上であること。(小規模施設は対象外)
  • 施設基準: 以下の基準を満たしていること(「(オ)非常用電源」は今回導入するため除外)。
    • (ア) 新耐震基準に適合した施設であること。
    • (イ) 屋根があること。
    • (ウ) フォークリフトを利用できる床強度があること。
    • (エ) 12mトラック(大型)が敷地内に進入し、荷役作業空間が確保できること。
    • (カ) 原則として津波浸水地域外にあること。(※例外規定あり)
    • (キ) 避難所となる行政庁舎、学校、体育館ではないこと。
  • 災害時協力の意向: 以下の4つの意向があること。
    1. 災害時に地方公共団体等から協力要請があった場合、可能な範囲で協力すること。
    2. 地方公共団体と災害時等の施設利用協定を締結すること。
    3. 地方公共団体が行う訓練に参加すること。
    4. 地方公共団体が行う災害時等の施設利用に関する調査に協力すること。

※津波浸水地域内に立地している場合でも、基礎工事等によって補助対象設備を想定浸水深より高い位置に設置する場合は補助対象となります。

申請手続きとスケジュール

申請期間

令和7年4月23日(水)10:00 ~ 令和7年11月28日(金) 17:00(必着)

重要:本補助金は先着順で審査されます。公募期間中であっても、補助金申請額が予算の上限に達した場合は受付が終了となるため、早期の申請が推奨されます。

申請方法

申請を希望する事業者は、国土交通省の公式ウェブサイトから交付要綱や実施要領、申請様式をダウンロードしてください。必要事項を記入し、関連書類を添付の上、事業の主たる地域を管轄する地方運輸局等へ提出します。

  1. 公式サイトで公募要領や申請様式を確認・ダウンロード
  2. 申請書類を作成し、必要書類を準備
  3. 管轄の地方運輸局等へ郵送等で提出

事業概要説明会

本事業に関するオンライン説明会が開催されます。詳細を直接確認したい方は参加をご検討ください。

  • 日時: 令和7年4月21日(月)15:00~16:00
  • 形式: オンライン(Microsoft Teams)
  • 申込方法: 4月21日(月)12:00までに指定のメールアドレスへ連絡。

※説明会の参加有無は採択に影響しません。また、説明会の動画は後日公開される予定です。

まとめ

「物流拠点機能強化支援事業」は、物流事業者が災害への備えを強化するための強力な支援策です。非常用電源設備の導入により、停電時でも事業を継続し、地域社会のライフラインを支える重要な役割を果たすことができます。補助上限額は1,500万円と大きく、導入コストを大幅に削減できるチャンスです。

ただし、本補助金は先着順という点が最大の注意点です。要件に合致し、導入を検討している事業者は、速やかに情報収集と申請準備を進めることを強くお勧めします。まずは公式サイトで詳細な公募要領を確認し、自社が対象となるかチェックすることから始めましょう。