2025年度「NEP開拓コース」の概要

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ディープテック分野での起業を目指す個人を支援する「ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)」の2025年度公募を実施しました。本記事では、特に起業前のアイデア段階にある個人を対象とした「開拓コース」について、その支援内容、対象者、申請方法、そして気になる採択率まで詳しく解説します。

事業名 2025年度「研究開発型スタートアップの起業・経営人材確保等支援事業/ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)/開拓コース」
実施機関 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
対象者 ディープテック分野の技術シーズを活用したアイデアを有する起業前の個人(チームも可)
支援内容 活動費:月額25万円(税込)[上限300万円まで] + ハンズオン支援
公募期間 2025年1月6日(月)~2025年2月26日(水)正午まで ※公募終了
公式サイト NEDO公募ページ

NEP事業とは?2つのコースの違い

NEDO Entrepreneurs Program(NEP)は、ディープテック分野の技術シーズを基にした事業化を促進するための起業家育成プログラムです。事業のフェーズに応じて、主に2つのコースが用意されています。

  • 開拓コース(本記事で解説):起業前の個人が対象。技術シーズを活用したアイデアの実現可能性を調査するフェーズを支援します。
  • 躍進コース:起業後の法人やカーブアウトを目指す個人・法人が対象。具体的なビジネスモデルの研究開発や実証を支援し、助成額も最大3,000万円と大きくなります。

ご自身のステージに合わせて、適切なコースを選択することが重要です。

「開拓コース」の詳細な支援内容

対象となる活動

本コースでは、自ら起業することも視野に入れながら、以下のような活動を行う個人(NEDO Front Runner: FR)を支援します。

  • 技術シーズの活用方法に関する探索活動
  • 技術シーズの進化のための研究開発
  • アイデアを基にしたビジネスモデルの作成
  • 市場調査や試作品の製作など

支援内容

  • 活動費支援:月額25万円(税込)が支給されます。事業期間は12ヶ月程度で、上限は300万円です。
  • ハンズオン支援:NEDOが認定した事業化支援人材(AR/SVr)による伴走支援が受けられます。事業計画のブラッシュアップや専門的な助言を通じて、事業化を強力に後押しします。

対象者の条件

応募には以下の条件を満たす必要があります。

  • ディープテック分野の技術シーズを活用した事業アイデアを持つ起業前の個人であること。
  • チームでの応募も可能です。
  • 応募者の年齢に応じた優遇措置が設けられています。

詳細は必ず公式サイトの公募要領をご確認ください。

申請スケジュールと必要書類

公募期間と申請方法

  • 公募期間:2025年1月6日(月)~ 2025年2月26日(水)正午まで【募集終了】
  • 申請方法:NEDOの指定するウェブサイトからの電子申請のみとなります。

主な必要書類

申請には以下の書類が必要となります。公式サイトからテンプレートをダウンロードして作成してください。

  • プロフィールシート
  • 所属長の承諾書(該当者のみ)
  • その他、公募要領で指定された書類

採択率と採択事例

過去の採択率(2023年度実績)

2023年度の開拓コースでは、131件の応募に対して35件が採択されました。単純計算での採択率は約26.7%となります。ディープテックという専門性の高い分野であり、事業計画の具体性や技術の新規性が厳しく審査されるため、難易度は高いと言えるでしょう。

2025年度の採択事例

2025年度の採択者として、慶應義塾大学医学部の勝俣良紀先生が選ばれました。採択された事業テーマは以下の通りです。

「息を吐くだけで、代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)を診断 – 肝硬変・肝がんを未然に防ぐ医療機器の開発 –」

このように、社会課題の解決に繋がる革新的な技術シーズが評価されています。

まとめ

NEDOの「NEP開拓コース」は、ディープテック分野で起業を目指す研究者や個人にとって、アイデアを事業化へ大きく前進させるための絶好の機会です。月額25万円(上限300万円)の活動費支援に加え、専門家による伴走支援を受けられる点が大きな魅力です。2025年度の公募は終了しましたが、来年度以降の公募に向けて、今から情報収集と事業アイデアのブラッシュアップを進めてみてはいかがでしょうか。

最新情報は、NEDOの公式サイトや特設ホームページでご確認ください。