詳細情報
中小企業省力化投資補助金(一般型)とは?
中小企業省力化投資補助金は、深刻な人手不足に悩む中小企業等の生産性向上や売上拡大を支援するための制度です。特に「一般型」は、カタログから製品を選ぶ「カタログ注文型」とは異なり、各企業の現場や事業内容に合わせてオーダーメイドで設備やシステムを導入できるのが大きな特徴です。IoTやロボットなどを活用し、自社独自の省力化投資を実現したい事業者にとって、最大1億円という大規模な支援が受けられる注目の補助金です。
事業目的
この補助金の目的は、省力化投資を通じて中小企業の付加価値額や生産性を向上させ、それを持続的な賃上げにつなげることです。単なる設備導入に留まらず、企業の成長と従業員の待遇改善を一体的に後押しします。
「カタログ注文型」との違い
| 項目 | 一般型 | カタログ注文型 |
|---|---|---|
| 投資内容 | オーダーメイド性のある多様な省力化投資 | 簡易で即効性がある省力化投資 |
| 補助対象 | 個別現場に合わせた設備導入・システム構築 | カタログ掲載の汎用製品 |
| 補助上限額 | 最大1億円 | 最大1,500万円 |
| 申請方式 | 公募回制 | 随時受付 |
【最新】第4回公募のスケジュール
現在、第4回公募が開始されています。申請を検討している事業者は、スケジュールを確認し、計画的に準備を進めましょう。
- 公募期間: 2025年9月19日(金)~11月下旬(予定)
- 申請受付開始: 2025年11月上旬(予定)
【重要】申請には「GビズIDプライムアカウント」が必須です。取得には数週間かかる場合があるため、未取得の方は至急手続きを行ってください。
制度概要(補助対象・補助額・補助率)
補助対象者や補助額は以下の通りです。従業員数や賃上げの実施によって補助上限額が変動します。
| 項目 | 内容 | |
|---|---|---|
| 補助対象者 | 中小企業者、小規模企業者・小規模事業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人 | |
| 補助上限額 | 従業員数5人以下 | 750万円(大幅な賃上げで1,000万円) |
| 従業員数6〜20人 | 1,500万円(大幅な賃上げで2,000万円) | |
| 従業員数21~50人 | 3,000万円(大幅な賃上げで4,000万円) | |
| 従業員数51~100人 | 5,000万円(大幅な賃上げで6,500万円) | |
| 従業員数101人以上 | 8,000万円(大幅な賃上げで1億円) | |
| 補助率 | 中小企業 | 補助額1,500万円まで: 1/2 1,500万円を超える部分: 1/3 |
| 小規模事業者等 | 補助額1,500万円まで: 2/3 1,500万円を超える部分: 1/3 |
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採択率は68.5%!第1回公募の結果から見る傾向
2025年6月に発表された第1回公募では、申請1,809者に対し1,240者が採択され、採択率は68.5%と比較的高水準でした。今後の公募では競争が激化する可能性もありますが、第1回の結果から採択の傾向を読み解くことができます。
- 業種別傾向: 製造業が全体の半数以上を占め、次いで建設業、卸売業と続きます。しかし、医療・福祉やサービス業など幅広い業種で採択されており、事業計画の内容次第で十分にチャンスがあります。
- 従業員規模: 従業員数6~30人規模の事業者の採択が多く、中小・小規模事業者が積極的に活用していることがわかります。
- 採択事業のキーワード: 採択された事業計画名には「省力化」「自動化」「DX」「ロボット」「AI」といったキーワードが頻出しており、作業の省人化に直結する設備投資が評価される傾向にあります。
採択を勝ち取るための4つの審査項目
採択されるためには、公募要領に定められた審査項目を網羅した事業計画書の作成が不可欠です。主要な4つの評価観点を押さえましょう。
① 補助対象事業としての適格性
公募要領の要件を満たしているか、補助金の目的に沿った事業であるかが大前提となります。
② 技術面
具体的な数値を用いて、投資の効果を客観的に示すことが重要です。
- 省力化指数: 設備導入によってどれだけ業務時間が削減されるか。
- 投資回収期間: 投資額を何年で回収できるか。
- 付加価値額: 営業利益、人件費、減価償却費の合計額がどれだけ増加するか。
- オーダーメイド性: 自社の課題解決のために、どのように設備を組み合わせ、高い省力化効果を生み出すかを具体的に示す必要があります。
③ 計画面
事業を確実に遂行できる体制や資金計画、そして補助事業の成果が賃上げに繋がるストーリーが評価されます。
- 遂行能力: 社内体制や財務状況、資金調達の見込みは十分か。
- スケジュール: 具体的で実現可能なスケジュールが立てられているか。
- 賃上げ計画: 高い賃上げ目標とその実現可能性が示されているか。
④ 政策面
自社の成長だけでなく、地域経済や国全体のイノベーションに貢献する事業であるかが問われます。
- 地域経済への貢献: 地域の特性を活かし、雇用創出などの波及効果があるか。
- 事業承継: 事業承継を契機とした新たな取り組みか。
- イノベーション: 先端デジタル技術の活用など、日本のイノベーションを牽引し得るか。
さらに加点を狙う!6つの加点項目
以下の項目に該当する場合、審査で加点され採択に有利になります。該当するものは積極的にアピールしましょう。
- 事業承継・M&A: 過去3年以内に事業承継などを実施した事業者。
- 災害等加点: 有効な事業継続力強化計画の認定を取得した事業者。
- 成長加速マッチングサービス: サービスに登録し、挑戦課題を登録している事業者。
- 賃上げ加点: 高い賃上げ目標(給与支給総額 年4.0%以上増など)を誓約する事業者。※未達の場合ペナルティあり
- えるぼし加点: 女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者。
- くるみん加点: 次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん認定」を受けている事業者。
まとめ
中小企業省力化投資補助金(一般型)は、自社に最適なオーダーメイドの設備投資で人手不足を解消し、事業成長を実現するための強力な支援策です。第1回公募の採択率は比較的高かったものの、今後を見据え、審査項目や加点項目をしっかり理解し、説得力のある事業計画書を作成することが採択の鍵となります。公募期間は限られているため、早めに情報収集と準備を開始し、この機会を最大限に活用しましょう。