詳細情報
産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)とは?
新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主にとって、従業員の雇用維持は大きな課題です。産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)は、在籍型出向という形で雇用を維持する事業主を支援する制度でした。しかし、令和5年10月31日をもって廃止されました。本記事では、この助成金の概要と、廃止後の代替策について詳しく解説します。
助成金の概要
正式名称
産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)
実施組織
厚生労働省
目的・背景
新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向を活用して労働者の雇用を維持することを支援することを目的としていました。在籍型出向とは、従業員の籍を自社に置いたまま、他の企業で一定期間働くことを指します。
対象者の詳細
対象者は、新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動が縮小した事業主(出向元)と、その労働者を受け入れる事業主(出向先)でした。ただし、出向元と出向先が資本関係や役員構成などで独立性が認められない場合は、一定の要件を満たす必要がありました。
助成金額・補助率(廃止時点)
助成金は、出向初期経費助成、出向運営経費助成、出向復帰後訓練助成の3種類がありました。
出向運営経費助成: 出向中に必要な経費(賃金、教育訓練、労務管理に関する調整経費など)の一部が、最長2年まで助成されました。助成率は、中小企業の場合、出向元が労働者の解雇などを行っていない場合は9/10、行っている場合は4/5でした。中小企業以外の場合は、それぞれ3/4、2/3でした。上限額は1人1日あたり12,000円でした。
出向復帰後訓練助成: 出向から復帰した労働者に対して、出向で得たスキルをブラッシュアップさせる訓練(Off-JT)を行った場合に、訓練に要する経費と訓練期間中の賃金の一部が助成されました。経費助成は実費(上限30万円)、賃金助成は1人1時間あたり900円(上限600時間)でした。
対象者・条件(廃止時点)
主な受給要件は以下の通りでした。
- 新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主であること
- 雇用の維持を図ることを目的に行う出向であること
- 出向期間終了後は元の事業所に戻って働くことを前提としていること
- 出向元と出向先が、資本的、経済的・組織的関連性などからみて独立性が認められること
- 出向先で別の人を離職させるなど、玉突き出向を行っていないこと
補助対象経費(廃止時点)
補助対象経費は、出向初期経費、出向運営経費、出向復帰後訓練経費の3種類がありました。それぞれの詳細は以下の通りです。
- 出向初期経費: 就業規則の整備費用、出向契約書の作成費用、出向に際してあらかじめ行う教育訓練費用、出向者を受け入れるための機器や備品の整備費用(出向先のみ)
- 出向運営経費: 出向労働者の賃金、教育訓練費用、労務管理に関する調整経費
- 出向復帰後訓練経費: 出向から復帰した労働者に対して行う訓練の経費(Off-JT)、訓練期間中の賃金
申請方法・手順(廃止時点)
申請は、計画届の提出と支給申請の2段階で行われました。計画届は、出向開始日の前日までに、支給申請は、出向期間終了後に行う必要がありました。申請書類は、厚生労働省のホームページからダウンロードできました。
廃止後の代替策
産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)は廃止されましたが、雇用維持を支援する他の制度が存在します。例えば、雇用調整助成金や、各都道府県・市町村が独自に実施している助成金などを検討することができます。また、産業雇用安定センターでは、在籍型出向のマッチング支援を無料で行っています。
産業雇用安定センターのマッチング支援
産業雇用安定センターは、一時的に雇用過剰となった企業と、人手不足の企業との間で、在籍型出向のマッチングを支援しています。専門のコンサルタントが、双方のニーズをヒアリングし、最適なマッチングを提案します。給与や雇用保険、労災保険などの手続きについても、相談に乗ってくれます。
よくある質問(FAQ)
- Q: 産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)はいつまで申請できますか?
A: 令和5年10月31日をもって廃止されました。 - Q: 在籍型出向のマッチング支援は無料ですか?
A: 産業雇用安定センターのマッチング支援は無料です。 - Q: 雇用調整助成金とは何ですか?
A: 経済上の理由により事業活動を縮小せざるを得ない事業主が、従業員の雇用を維持するために休業、教育訓練または出向を行った場合に、休業手当または賃金等の一部を助成する制度です。 - Q: 産業雇用安定センターはどのような企業を支援していますか?
A: 一時的に雇用過剰となった企業と、人手不足の企業を支援しています。 - Q: 在籍型出向の給与はどちらが支払いますか?
A: 出向元企業が従業員に対してこれまで通り給与を支払い、出向先企業が出向元企業に対して一定の負担金を支払うことが一般的です。
まとめ・行動喚起
産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)は廃止されましたが、雇用維持のための支援策は他にも存在します。雇用調整助成金や、産業雇用安定センターのマッチング支援などを活用し、従業員の雇用を守りましょう。まずは、産業雇用安定センターに相談してみることをお勧めします。
産業雇用安定センター:https://www.sangyokoyo.or.jp/lp/zaiseki/index.html