「地域資源を活かした新しいビジネスを始めたい」「初期投資の負担を減らしたい」とお考えの事業者様へ。総務省が推進する「ローカル10,000プロジェクト」は、そんな想いを強力に後押しする制度です。地域密着型の新規事業立ち上げにかかる初期投資費用に対し、最大5,000万円という手厚い支援が受けられます。この記事では、制度の概要から申請の流れ、活用事例までを分かりやすく解説します。

ローカル10,000プロジェクトとは？

ローカル10,000プロジェクト（正式名称：地域経済循環創造事業交付金）は、地域の資源と資金を活用し、雇用吸収力の大きい地域密着型事業を全国で創出することを目的とした総務省の支援制度です。最大の特徴は、地方自治体と金融機関と連携して、民間事業者の初期投資を支援する点にあります。

補助対象となる事業の要件

本プロジェクトで支援対象となるには、以下の要件を満たす必要があります。

• 地域資源の活用：地域の特産品、観光資源、伝統技術、人材などを活用した事業であること。
• 地域課題への対応：雇用の創出、空き家活用、地域コミュニティの活性化など、地域が抱える課題の解決に貢献する事業であること。
• 新規性・モデル性：事業者にとって新規事業であり、他の地域でも参考になるようなモデルケースとなり得ること。
• 金融機関からの融資：地域金融機関等から無担保の融資を受ける事業であること。（補助対象の財産への担保設定は除く）

＜活用分野の例＞

• 飲食業：古民家を改装したカフェ、地産地消レストラン
• 観光・宿泊業：体験型コンテンツを提供する宿泊施設、観光農園
• 食品加工業：地域の農水産物を活用した6次産業化商品開発
• その他：サテライトオフィス整備、再生可能エネルギー事業など、多様な分野で活用されています。

補助金額と対象経費

補助上限額

補助金の上限額は、地域金融機関からの融資額によって変動します。融資額が多いほど、より多くの補助を受けられる仕組みです。

補助対象経費

事業の立ち上げに必要な以下の初期投資費用が対象となります。

• 施設整備費：建物・設備の設計、建築工事、改修、購入費用（※土地の取得費は対象外）
• 機械装置費：事業に必要な機械や装置の設計、購入、リース・レンタル費用
• 備品費：事業に必要な備品の購入、リース・レンタル費用
• 調査研究費：事業に連携する地域の大学が行う調査研究にかかる費用

申請から事業開始までの流れ

ローカル10,000プロジェクトは、事業者が国に直接申請するのではなく、事業所所在地の地方自治体が窓口となります。自治体ごとにスケジュールや要件が異なるため、注意が必要です。

1. 自治体への事前相談：
   最も重要なステップです。まずは事業計画の構想を持って、所在地の市区町村の担当課（商工課など）に相談します。総務省の公式サイトには各自治体の担当窓口一覧が掲載されています。
2. 金融機関への相談：
   事業計画を基に、地域の金融機関に融資の相談を行います。
3. 自治体への申請：
   自治体が定める募集期間内に、事業計画書や見積書などの必要書類を提出します。自治体によっては審査会でのプレゼンテーションが求められる場合もあります。
4. 自治体から国への申請：
   自治体の審査で採択されると、自治体が事業者を取りまとめて国（総務省）に交付金の申請を行います。
5. 国による審査・交付決定：
   総務省が外部有識者による審査を行い、交付が決定されます。
6. 事業開始：
   交付決定後に事業を開始します。原則として、交付決定前に発生した経費は補助対象外となるため、着手のタイミングには十分注意してください。

注意点と成功のポイント

まとめ

ローカル10,000プロジェクトは、地域に根差した新しいビジネスを始める事業者にとって、非常に魅力的な制度です。最大5,000万円という高額な補助は、事業のスタートダッシュを強力にサポートします。ただし、申請プロセスは自治体との連携が不可欠であり、事業計画の質も高く求められます。

この制度の活用を検討されている方は、まずはご自身の事業所の所在地を管轄する自治体の担当窓口に相談することから始めてみてください。地域を元気にするあなたのアイデアを、この制度で実現させましょう。