障害者作業施設設置等助成金とは?
障害者作業施設設置等助成金は、障害のある方を雇用、または継続して雇用する事業主が、障害のある従業員が働きやすい環境を整備するための費用を支援する制度です。具体的には、スロープの設置やトイレの改修、作業を補助する設備の導入など、物理的なバリアを取り除くための施設・設備の設置や整備にかかる費用の一部が助成されます。この助成金を活用することで、企業は障害者雇用の促進と定着を図ることができます。
助成金のポイント早わかり
- ✔ 障害者が働きやすい施設・設備の導入費用をサポート
- ✔ 助成率はかかった費用の3分の2
- ✔ 購入・工事(第1種)と賃借(第2種)の2タイプから選択可能
- ✔ 新規雇用だけでなく、現在雇用している従業員のための整備も対象
助成金の概要
この助成金は、施設の整備方法によって「第1種」と「第2種」の2種類に分かれています。自社の状況に合わせて最適な方を選択しましょう。
| 項目 | 第1種作業施設設置等助成金 | 第2種作業施設設置等助成金 |
|---|---|---|
| 対象となる整備方法 | 施設・設備の購入や建築、改修工事による設置・整備 | 施設・設備の賃借による設置・整備 |
| 助成率 | 対象費用の 2/3 | |
| 助成上限額(1人あたり) | 450万円 (作業設備は150万円) |
月額13万円 (作業設備は月額5万円) |
| 事業所ごとの上限 | 同一年度に4,500万円 | 規定なし |
※短時間労働者(重度障害者等を除く)の場合は、上限額が半額になります。詳細は公式パンフレットをご確認ください。
対象となる事業主と障害者
対象事業主
障害者を雇用、または継続して雇用する事業主が対象です。最も重要な要件は以下の点です。
【重要ポイント】
今回申請する施設・設備の設置や整備を行わなければ、対象となる障害者の雇入れや雇用の継続が困難であると認められることが必要です。
対象障害者
以下のいずれかに該当する方が対象となります。
- 身体障害者
- 知的障害者
- 精神障害者
- 中途障害者(障害の原因となった傷病の発生から原則3年以内の人)
- 上記の障害者である在宅勤務者
※就労継続支援A型事業所の利用者は対象外です。
助成対象となる施設・設備の具体例
助成対象は、障害の特性に合わせて作業を容易にするための「必要最低限」の設備と判断されるものです。事業に本来必要な施設や、誰でも利用する汎用的な設備は対象外となる場合があります。
| ⭕ 助成対象になりやすい例 | ❌ 助成対象になりにくい例 |
|---|---|
| 車いす利用者のためのスロープ、自動ドアの設置 | デザイン性を重視した豪華なエントランスの改修 |
| 和式トイレから車いす対応の洋式トイレへの改修 | 老朽化したトイレの全面的なリニューアル |
| 視覚障害者のための拡大読書器や音声読み上げソフトの導入 | 全社員が使用する最新モデルのパソコン |
| 聴覚障害者のための音声認識文字化システム、光や振動による警報装置 | 社内コミュニケーション用の一般的なチャットツール |
| 精神障害者のための、集中できるパーテーション付きの作業スペース設置 | 休憩室やリフレッシュルームの設置 |
申請から受給までの流れ【重要】
この助成金は、必ず事業(工事の契約や備品の発注)を開始する前に申請し、認定を受ける必要があります。手順を間違えると助成金が受け取れなくなるため、注意深く進めましょう。
-
1
計画・相談どのような施設・設備が必要か計画を立て、事業所の所在地を管轄するJEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の都道府県支部に相談します。
-
2
受給資格認定申請事業計画書や見積書、図面などの必要書類を揃えて、管轄のJEED支部に「受給資格認定申請書」を提出します。
-
3
認定通知JEEDによる審査が行われ、助成金の対象として適切であると判断されると「受給資格認定通知書」が届きます。
-
4
事業の開始(契約・発注)認定通知書を受け取った後に、工事の契約や備品の発注を行います。ここが最も重要なポイントです!
-
5
事業完了・支払い工事や設備の導入を完了させ、業者への支払いを済ませます。
-
6
支給請求事業完了後、支払いを証明する書類や完成後の写真などを添えて、JEED支部に「支給請求書」を提出します。
-
7
助成金の受給最終審査を経て支給が決定されると、指定した口座に助成金が振り込まれます。
【最重要】フライング着手は厳禁!
原則として、JEEDから「受給資格認定通知書」を受け取る前に業者と契約したり、設備を発注したりすると、助成金の対象外となります。やむを得ない事情がある場合は、事前に「事前着手申出書」を提出する必要がありますが、リスクを避けるためにも、必ず認定後に事業を開始するようにしてください。
申請・相談窓口
この助成金に関する相談や申請書類の提出は、事業所の所在地を管轄する各都道府県の「高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)支部」が窓口となります。計画段階から早めに相談することで、スムーズな申請につながります。
まとめ
障害者作業施設設置等助成金は、障害のある方が安心して能力を発揮できる職場環境を整えるための強力なサポート制度です。助成金を活用することで、企業の負担を軽減しながら、ダイバーシティ&インクルージョンを推進することができます。手続きが複雑な面もありますが、まずは専門窓口であるJEED支部に相談することから始めてみましょう。
対象者・対象事業
障害者を雇用、または継続して雇用する事業主で、当該障害者が作業を容易に行えるように配慮された施設・設備の設置や整備を行う事業者。※施設等の設置・整備を行わなければ、対象障害者の雇入れや雇用の継続が困難と認められる場合に限る。
必要書類(詳細)
【受給資格認定申請時】受給資格認定申請書、支給要件確認申立書、事業計画書、助成金明細書、見積書、図面、対象障害者の障害者手帳の写し等。
【支給請求時】支給請求書、支払関係書類(契約書、請求書、領収書等)、完了後の写真・竣工図等。
※詳細は公式サイトのチェックリストをご確認ください。
対象経費(詳細)
障害者の障害を克服し作業を容易にするために配慮された施設・設備の設置、整備、賃借にかかる費用。
(1)作業施設:障害者が作業を行う場所の改修等
(2)附帯施設:玄関、廊下、階段、トイレ等のバリアフリー改修等
(3)作業設備:拡大読書器、作業用車いす、障害特性に合わせて改造した機械設備(改造部分のみ)等
対象者・対象事業
障害者を雇用、または継続して雇用する事業主で、当該障害者が作業を容易に行えるように配慮された施設・設備の設置や整備を行う事業者。※施設等の設置・整備を行わなければ、対象障害者の雇入れや雇用の継続が困難と認められる場合に限る。
必要書類(詳細)
【受給資格認定申請時】受給資格認定申請書、支給要件確認申立書、事業計画書、助成金明細書、見積書、図面、対象障害者の障害者手帳の写し等。
【支給請求時】支給請求書、支払関係書類(契約書、請求書、領収書等)、完了後の写真・竣工図等。
※詳細は公式サイトのチェックリストをご確認ください。
対象経費(詳細)
障害者の障害を克服し作業を容易にするために配慮された施設・設備の設置、整備、賃借にかかる費用。
(1)作業施設:障害者が作業を行う場所の改修等
(2)附帯施設:玄関、廊下、階段、トイレ等のバリアフリー改修等
(3)作業設備:拡大読書器、作業用車いす、障害特性に合わせて改造した機械設備(改造部分のみ)等