【2024年10月1日より要件緩和!】
特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)は、2024年10月1日から要件が緩和され、さらに利用しやすくなりました。本記事では、最新情報を踏まえ、制度の概要から申請方法までを分かりやすく解説します。

特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)とは?

特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)は、高齢者、障害者、母子家庭の母など、就職が特に困難な方を新たに雇用し、デジタル・グリーンといった成長分野の業務に従事させたり、未経験の職種で人材育成と賃上げを行ったりする事業主に対して、高額な助成金が支給される制度です。通常の「特定就職困難者コース」と比較して1.5倍の助成額が設定されており、人材確保と育成を強力に後押しします。

2つの助成メニューから選択可能

この助成金には、事業主のニーズに合わせて選べる2つのメニューがあります。

  • ①【成長分野】メニュー
    就職困難者を雇用し、デジタル分野(プログラマー、データサイエンティスト等)やグリーン分野(脱炭素関連の研究開発等)の専門的業務に従事させる場合に活用できます。
  • ②【人材育成】メニュー
    未経験の職種に就くことを希望する就職困難者を雇用し、人材開発支援助成金を活用した訓練を実施し、さらに3年以内に賃金を5%以上引き上げる場合に活用できます。こちらは職種を問いません。

支給対象となる労働者

この助成金の対象となるのは、ハローワーク等の紹介により雇用される、以下のいずれかのコースに該当する就職困難者です。

  • 特定就職困難者コース: 高年齢者(60歳以上)、障害者、母子家庭の母等
  • 中高年層安定雇用支援コース: 就職氷河期世代を含む中高年層の不安定雇用者
  • 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース: 発達障害者や難治性疾患のある方
  • 生活保護受給者等雇用開発コース: 生活保護受給者や生活困窮者

※【人材育成】メニューでは、未経験の職種に就くことを希望する方が対象です(経験1年未満も未経験とみなされます)。

支給額は最大360万円!

支給額は、対象労働者の類型と企業規模(中小企業か否か)によって決まります。以下は中小企業事業主の場合の支給額です。()内は中小企業以外の額です。

短時間労働者以外(週30時間以上)

対象労働者 支給総額 助成対象期間
高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等 90万円 (75万円) 1年
身体・知的障害者、発達障害者等 180万円 (75万円) 2年
重度障害者等 360万円 (150万円) 3年

短時間労働者(週20時間以上30時間未満)

対象労働者 支給総額 助成対象期間
高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等 60万円 (45万円) 1年
障害者、発達障害者等 120万円 (45万円) 2年

※重度障害者等とは、重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者、精神障害者を指します。
※支給額は、対象期間中に支払った賃金額が上限となります。

受給のための主な要件

助成金を受給するには、共通の要件に加え、各メニューで定められた要件を満たす必要があります。

共通の要件

  • ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること。
  • 雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であること。
  • 解雇など事業主都合による離職者がいないなど、雇用関係助成金共通の要件を満たすこと。

【成長分野】メニューの追加要件

  1. 対象労働者を「成長分野等の業務」に従事させること。
  2. 対象労働者に対し、雇用管理改善や職業能力開発に関する取組を行うこと。
  3. 上記取組について記載した「実施結果報告書」を提出すること。

【人材育成】メニューの追加要件

  1. 対象労働者が未経験の職業に就くことを希望していること。
  2. 人材開発支援助成金を活用した訓練を行い、その訓練と関連した業務に従事させること。
  3. 雇入れから3年以内に、毎月決まって支払われる賃金を5%以上引き上げること。

申請手続きと注意点

助成金は、原則として6ヶ月ごとの「支給対象期」に分けて支給されます。各支給対象期の末日の翌日から2ヶ月以内に、管轄の労働局またはハローワークへ支給申請を行う必要があります。

主な提出書類

  • 支給申請書
  • 対象労働者雇用状況等申立書
  • 【成長分野】実施結果報告書
  • 【人材育成】賃金引上げ計画書・結果報告書
  • 労働条件通知書や雇用契約書の写し
  • 出勤簿、タイムカードの写し
  • 賃金台帳の写し

申請時の注意点

  • 申請期限の厳守: 期限を過ぎると受理されません。郵送の場合は簡易書留など記録が残る方法を推奨します。
  • 継続雇用の確認: 助成対象期間中に対象労働者を解雇等した場合、以後3年間は本助成金が支給されなくなります。
  • 電子申請の活用: 本助成金は電子申請も可能です。手続きの効率化にご活用ください。

成長分野での人材確保や、未経験者の採用・育成をお考えの事業主様にとって、この助成金は大きなメリットがあります。最新のパンフレットや支給要領をご確認の上、ぜひ積極的な活用をご検討ください。ご不明な点は、管轄の労働局またはハローワークへお問い合わせください。