2024年10月1日から要件が緩和され、さらに利用しやすくなりました! 高齢者や障害者などの就職困難者の雇用を検討中の事業主様は必見です。本記事では、最大360万円が支給される「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)」について、2つのメニューや支給額、申請方法を分かりやすく解説します。
特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)とは?
特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)は、高年齢者、障害者、母子家庭の母といった就職が困難な方を、ハローワークなどの紹介を通じて継続的に雇用する事業主を支援する制度です。特に、デジタル・グリーンといった「成長分野」での人材確保や、未経験者の「人材育成」に取り組む場合に、通常のコースよりも高額な助成金が支給されるのが大きな特徴です。
この助成金には、目的別に2つのメニューが用意されています。
- メニュー①【成長分野】:就職困難者を雇い入れ、デジタル・グリーン分野の業務に従事させる場合に支給。
- メニュー②【人材育成】:未経験の就職困難者を雇い入れ、特定の訓練を実施し、賃上げを行う場合に支給。
どちらのメニューも、通常の「特定就職困難者コース」と比較して1.5倍の助成額となっており、企業の採用・育成コストを大幅に軽減できます。
助成金の支給額はいくら?
支給額は、対象となる労働者の種類や企業の規模(中小企業か否か)、勤務形態(短時間労働者か否か)によって異なります。以下に支給額の一覧をまとめました。
短時間労働者以外の場合
| 対象労働者 | 支給総額(中小企業) | 助成対象期間 |
|---|---|---|
| 高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等 | 90万円 (75万円) | 1年 |
| 身体・知的障害者、発達障害者、難治性疾患患者 | 180万円 (75万円) | 2年 |
| 重度障害者等 ※1 | 360万円 (150万円) | 3年 |
短時間労働者 ※2 の場合
| 対象労働者 | 支給総額(中小企業) | 助成対象期間 |
|---|---|---|
| 高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等 | 60万円 (45万円) | 1年 |
| 障害者、発達障害者、難治性疾患患者 | 120万円 (45万円) | 2年 |
※ ( )内は中小企業事業主以外に対する支給額です。
※1 「重度障害者等」とは、重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者及び精神障害者をいいます。
※2 「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者をいいます。
支給対象となるための主な要件
この助成金を受給するには、共通の要件に加えて、各メニューで定められた要件を満たす必要があります。
全メニュー共通の主な要件
- ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること。
- 雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であること。
- 解雇など事業主都合による離職者がいないなど、雇用関係助成金共通の要件を満たすこと。
メニュー①【成長分野】の追加要件
- 対象労働者を「成長分野」の業務に従事させること。
- 対象労働者に対して、雇用管理の改善や職業能力開発に関する取り組みを行うこと。
- 上記の取り組みについて「実施結果報告書」を提出すること。
<成長分野の業務例>
- デジタル分野:ソフトウェア開発技術者、プログラマー、データサイエンティストなど
- グリーン分野:脱炭素・低炭素化に関する研究開発、化学製品開発技術者など
メニュー②【人材育成】の追加要件
- 対象労働者が、就労経験のない職業に就くことを希望する者であること。
- 「人材開発支援助成金」を活用した訓練を行い、その訓練と関連した業務に従事させること。
- 雇入れから3年以内に、賃金を5%以上引き上げること。
申請手続きと注意点
申請の流れ
助成金は、原則として6ヶ月を1期とする「支給対象期」ごとに分けて支給されます。各支給対象期が終わった後、期間内に申請手続きを行う必要があります。
- ハローワーク等を通じて対象労働者を雇い入れる。
- 第1期の支給対象期間(6ヶ月)が終了する。
- 支給対象期間の末日の翌日から2ヶ月以内に、管轄の労働局へ第1期分の支給申請書と必要書類を提出する。
- 審査後、助成金が支給される。
- 第2期以降も同様に、支給対象期ごとに申請を繰り返す。
申請は、管轄の労働局やハローワークの窓口への持参・郵送のほか、電子申請も可能です。
申請時の注意点
- 申請期限は厳守です。1日でも過ぎると受理されませんので、計画的に準備を進めましょう。
- 有期雇用契約の場合、「自動更新」であることが明記されているなど、継続して雇用することが確実と認められる必要があります。
- 助成対象期間中に事業主の都合で対象労働者を解雇した場合、助成金は支給されません。
まとめ
「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)」は、社会的に必要とされる成長分野での人材確保や、未経験者の育成と定着を強力に後押しする制度です。特に2024年10月からの要件緩和により、多くの企業にとって活用しやすくなりました。就職困難者の採用を通じて、企業の成長と社会貢献を両立させるために、本助成金の活用をぜひご検討ください。
詳細な要件や最新の申請様式については、必ず厚生労働省の公式ウェブサイトをご確認ください。