企業の成長を加速させる!工場新設・増設に使える立地補助金とは?
事業拡大に伴う工場の新設や増設、あるいは新たな地域への事業所移転は、企業にとって大きな投資です。その負担を大幅に軽減し、成長を後押しするために、国や地方自治体は様々な「企業立地補助金」や「奨励金」制度を用意しています。これらの制度を活用することで、設備投資費用の補助だけでなく、税制上の優遇措置を受けられる場合もあります。
この記事のポイント
- 国が実施する最大30億円の大型補助金の詳細がわかる
- 各自治体(福島県、埼玉県、宮城県など)の特色ある優遇制度を比較できる
- 補助金だけでなく、法人税免除や固定資産税減免などの税制優遇も理解できる
- 申請の基本的な流れと注意点を把握できる
【国】自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金
国の制度として特に注目すべきは、経済産業省が実施する「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」です。原子力災害からの復興を目指す地域を対象に、働く場を確保し、産業復興を加速させることを目的としています。
制度概要
項目 | 内容 |
---|---|
補助金名 | 自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金(地域経済効果立地支援事業) |
補助上限額 | 最大30億円 |
目的 | 原子力災害被災地域(福島県12市町村等)における雇用創出と産業集積 |
対象事業 | 工場・物流施設・研究開発拠点等の新設・増設 |
公募期間(例) | 令和7年4月11日~同年7月4日正午まで(10次公募) ※公募は定期的に実施されるため、最新情報を公式サイトでご確認ください。 |
【自治体別】特色ある企業立地支援制度の例
国だけでなく、各地方自治体も独自の魅力的な支援制度を設けています。ここではいくつかの事例をご紹介します。
福島県いわき市のケース
いわき市では、国の制度との併用も可能な手厚い奨励金制度が特徴です。
- いわき市工場等立地奨励金: 工場等の新設・増設に対し最大5億円を交付。
- 本社機能移転等事業者奨励金: 増加した従業員1人につき200万円を3年間交付(上限なし)。
- 税制優遇: 固定資産税の減免措置など、税制面でのサポートも充実。
埼玉県戸田市のケース
戸田市では、製造業だけでなくIT関連企業の立地も積極的に推進しています。
- 産業立地推進事業補助金: 工場等の新設・増設・賃借、設備導入、雇用に対して補助。
- 対象業種: 製造業に加え、ソフトウェア業やインターネット付随サービス業などのIT関連企業も対象。
宮城県大崎市のケース
大崎市では、雇用促進に力を入れた奨励金制度が特徴的です。
- 工場等立地奨励金: 用地取得費の最大30%(上限1億円)を補助。
- 雇用促進奨励金の引き上げ: 新規市内雇用者1人につき最大100万円に増額。
- 対象業種の拡大: スマート農業を利用した植物工場なども新たに対象に。
⚠️ 注意点:補助金の併用について
制度によっては、国と都道府県の補助金を併用できない場合があります。一方で、市町村の奨励金は国や県の制度と併用可能なケースも多く見られます。申請を検討する際は、必ず各制度の担当窓口に併用の可否を確認してください。
見逃せない!税制上の優遇措置
企業立地支援は、直接的な補助金だけではありません。「ふくしま産業復興投資促進特区」のように、特定の地域では税制上の特例措置が受けられる場合があります。
- 法人税が実質5年間無税になる可能性
- 事業用設備等に係る特別償却または税額控除
- 事業税や不動産取得税の課税免除・軽減
これらの税制優遇は、長期的なキャッシュフローに大きなインパクトを与えるため、補助金と合わせて必ず確認しましょう。
申請から受給までの一般的な流れ
企業立地補助金の申請は、計画的に進めることが重要です。一般的なプロセスは以下の通りです。
- Step 1: 事前相談
まずは立地を検討している自治体の担当窓口に相談し、活用可能な制度について情報を収集します。 - Step 2: 申請準備
公募要領を熟読し、事業計画書や見積書などの必要書類を準備します。 - Step 3: 申請手続き
国の制度では電子申請システム「Jグランツ」を利用することが多いです。期間内に不備なく申請を完了させます。 - Step 4: 審査・交付決定
提出された事業計画書などに基づき審査が行われ、採択されると交付決定通知が届きます。 - Step 5: 事業実施・実績報告
計画に沿って工場の建設や設備の導入を行います。事業完了後、実績報告書を提出します。 - Step 6: 補助金額の確定・受給
実績報告書の内容が検査され、補助金額が確定した後、指定の口座に振り込まれます。
まとめ
企業立地補助金や税制優遇制度は、企業の新たな挑戦を強力にバックアップする制度です。国の大型補助金から、各自治体のきめ細やかな支援まで、選択肢は多岐にわたります。自社の事業計画に最適な制度を見つけ、最大限に活用することで、初期投資を抑え、競争力を高めることが可能です。
まずは、進出を検討している地域の自治体や、国の制度の公式サイトで最新情報を確認することから始めましょう。