福岡市内のホテル・旅館、民泊事業者の皆様へ朗報です。2025年度(令和7年度)も「福岡市宿泊事業者受入環境充実支援補助金」が実施されます。この補助金は、インバウンド対応やDX化、災害対策など、宿泊施設の魅力と競争力を高めるための取り組みを幅広く支援する制度です。本記事では、補助金の概要から対象経費、申請方法までを分かりやすく徹底解説します。
令和7年度 福岡市宿泊事業者受入環境充実支援補助金の概要
本補助金は、福岡市内の宿泊事業者が行う受入環境の充実に向けた取り組みを支援し、観光都市・福岡の魅力をさらに高めることを目的としています。事業者の種別(ホテル・旅館等か、民泊か)によって補助上限額や対象事業が異なるため、注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助金名 | 令和7年度 福岡市宿泊事業者受入環境充実支援補助金 |
| 実施機関 | 福岡市 経済観光文化局 観光産業課 |
| 申請受付期間 | 令和7年6月2日(月) ~ 令和7年11月30日(日) ※予算額に達し次第、受付終了となります。 |
| 事業実施期間 | 交付決定日 ~ 令和8年2月28日(土) |
| 補助率 | 補助対象経費の2分の1以内 |
| 補助上限額 | ・ホテル・旅館・簡易宿所:40万円~300万円(客室数による) ・民泊:10万円 |
| 注意点 | 交付決定日より前に購入・実施したものは補助対象外です。必ず交付決定を受けてから事業に着手してください。 |
対象事業者について
本補助金の対象となるのは、福岡市内で宿泊事業を営み、福岡市宿泊税条例に基づき納入申告書を提出している事業者です。事業形態によって2つの区分に分かれています。
1. ホテル・旅館・簡易宿所用
旅館業法第2条第1項に規定する旅館業(下宿営業を除く)を行う事業者が対象です。こちらの区分では、客室数に応じて補助上限額が変動します。
| 客室数 | 補助上限額 |
|---|---|
| 1~29室 | 40万円 |
| 30~39室 | 60万円 |
| 40~49室 | 80万円 |
| 50~59室 | 100万円 |
| … | … |
| 150室以上 | 300万円 |
※詳細な客室数ごとの上限額は、福岡市の公式募集要項をご確認ください。
2. 民泊用
住宅宿泊事業法第2条第3項に規定する住宅宿泊事業を行う事業者が対象です。補助上限額は一律10万円となります。
補助対象となる事業と経費の具体例
補助金の対象となるのは、宿泊施設の受入環境を充実させるための幅広い事業です。以下に具体的な事業内容と経費の例を挙げます。
【ホテル・旅館・民泊 共通】
- インバウンド対応強化
ホームページや館内案内の多言語化、高性能Wi-Fi設備の導入・更新、AI翻訳機の購入など。 - 災害対応強化
ポータブル電源、懐中電灯、ヘルメット、非常用電源、止水板、帰宅困難者向けの毛布や簡易ベッドなどの備蓄品購入。 - 生産性向上に向けたデジタル化・業務改善
デジタルチェックイン機、スマートロック、セルフチェックインシステムの導入、施設巡回を効率化する多機能カメラの設置、スタッフ用業務マニュアルの制作など。
【ホテル・旅館・簡易宿所のみ対象】
- バリアフリー化
客室や共用部のユニバーサルデザイン対応改修、スロープ設置などの段差解消工事、車いすの購入など。 - 人材確保・育成
人材募集イベントへの出展料、採用広報ツール(パンフレット、動画等)の制作、求人広告掲載費、社内外の研修開催・参加費用など。 - 宿泊施設の魅力向上
長期滞在を促進するためのワークスペースやキッチンの整備、福岡市ゆかりの作家によるアート作品や伝統工芸品の活用など。
対象費目:本体購入費、設置工賃、リース料、レンタル料などが対象です。
対象外経費の例:機器の単なる更新、原状回復費用、通信費や電気代などのランニングコスト、消耗品費は対象外となります。また、ポイントを利用して購入した場合は、ポイント利用分を差し引いた金額が補助対象となります。
申請手続きの流れと必要書類
申請は早めの準備が重要です。大まかな流れと必要な書類を確認しておきましょう。
- 事前準備:補助対象となる事業計画を立て、導入する設備やサービスの見積書を取得します。
- 交付申請:受付期間内に、必要書類を原則としてメールで提出します。
- 交付決定:市による審査後、交付決定通知が届きます。この通知を受け取ってから事業を開始してください。
- 事業実施:計画に沿って事業を実施し、支払いまでを完了させます。(令和8年2月28日まで)
- 実績報告:事業完了後、実績報告書や領収書の写し、設置写真などを提出します。
- 補助金交付:報告書の内容が確定した後、指定の口座に補助金が振り込まれます。
主な必要書類(交付申請時)
- (様式第1号)交付申請書兼事業計画書
- (様式第1号別紙)事業収支計画書
- 補助対象経費の積算が確認できる書類(見積書やカタログの写し等)
- (添付書類1)誓約書
- (添付書類2)役員名簿
※各種様式は福岡市の公式ホームページからダウンロードできます。記入例も公開されているため、必ず確認しながら作成しましょう。
まとめ
「福岡市宿泊事業者受入環境充実支援補助金」は、多様化する旅行者のニーズに対応し、施設のサービス品質を向上させる絶好の機会です。インバウンド観光客の増加が見込まれる中、多言語対応やキャッシュレス化は急務と言えます。また、災害への備えや生産性向上は、持続可能な施設運営に不可欠です。
申請期間は令和7年11月30日までですが、予算がなくなり次第終了となるため、活用を検討している事業者は早めに計画を立て、準備を進めることを強くお勧めします。この機会を最大限に活用し、宿泊施設の魅力を一層高めていきましょう。