【2025年最新】環境省「脱炭素ビルリノベ 先導モデル導入事業」を徹底解説!最大3億円の補助金でビルの省エネ改修を
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、業務用ビルの脱炭素化が急務となっています。しかし、省エネ改修には多額のコストがかかるのが実情です。そこで注目したいのが、環境省が実施する「令和7年度 業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(脱炭素ビルリノベ 先導モデル導入事業)」です。
この補助金は、既存のオフィスビルやホテル、病院などの業務用建築物において、先進的な技術を取り入れた脱炭素改修を行う事業者に対し、最大3億円という大規模な支援を行うものです。この記事では、本事業の概要から対象者、補助額、申請方法まで、公募要領を基に分かりやすく解説します。
令和7年度 脱炭素ビルリノベ(先進モデル導入)事業とは?
本事業は、既存の業務用建築物における脱炭素改修を加速させることを目的としています。単なる省エネ改修だけでなく、CO2排出削減効果の高い「先進的な技術・建材」の導入を支援することで、社会実装モデルを創出することを目指しています。
制度概要の早わかり表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 令和7年度 業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(脱炭素ビルリノベ 先導モデル導入事業) |
| 補助上限額 | 1事業あたり 3億円 |
| 補助下限額 | 1事業あたり 200万円 |
| 補助率 | 対象経費の2/3、1/2、1/3(設備により異なる) |
| 公募期間(2次) | 2025年7月14日(月)~ 2025年11月7日(金)23:59 |
| 実施機関 | 環境省(執行団体:一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)) |
補助対象となる事業者と建築物
本事業を利用できる対象は広く設定されています。
対象事業者
日本国内で事業を営む以下の者が対象となります。
- 民間企業
- 個人事業主(原則、青色申告者)
- 独立行政法人、地方独立行政法人
- 国立大学法人、公立大学法人、学校法人
- 社会福祉法人、医療法人
- 一般社団・財団法人、公益社団・財団法人
- 地方公共団体
- その他環境大臣の承認を得てSIIが適当と認める者
対象建築物
以下の用途に供される国内の既存の業務用建築物が対象です。
- 事務所等:事務所、官公署
- ホテル等:ホテル、旅館
- 病院等:病院、老人ホーム、福祉ホーム
- 百貨店等:百貨店、マーケット
- 学校等:小学校、中学校、大学、専修学校など
- 飲食店等:飲食店、食堂、喫茶店
- 集会所等:図書館、博物館、体育館、劇場、公会堂など
※工場や住宅(集合住宅含む)は対象外となります。
補助対象となる事業の主な要件
補助金を受けるためには、複数の厳しい要件をすべて満たす必要があります。計画段階で専門家と相談することが重要です。
- 環境性能に関する要件
- 改修後の外皮性能BPIが1.0以下であること。
- 改修後の一次エネルギー消費量が、省エネ基準から30%または40%以上削減されること。(事務所・学校等は40%、ホテル・病院等は30%)
- 設備導入に関する要件
- 外皮の高断熱化(断熱窓、断熱材)と高効率設備(高効率空調、LED照明、業務用給湯器)を導入すること。
- CO2排出削減効果の高い先進的な技術・建材等を1つ以上導入すること。(例:自然換気システム、地中熱利用、AI制御省エネシステム等)
- エネルギー管理に関する要件
- BEMS(エネルギー管理システム)を導入し、設備区分ごとにエネルギー使用量を計測・管理できること。
- 事業完了後、5年間にわたり年1回、エネルギー使用状況を報告すること。
- 第三者認証に関する要件
- 建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の認証を取得し、完了報告時に評価書の写しを提出すること。
補助対象経費と補助率・補助上限額
本事業では、設備費だけでなく関連する工事費も補助対象となるのが大きな特徴です。
補助対象経費
補助の対象となるのは、以下の設備費およびそれに付随する工事費です。
- 設備費:断熱窓、断熱材、高効率空調、制御機能付きLED照明、業務用給湯器、BEMS、先進的な技術・建材等
- 工事費:搬入・据付工事、配管・配線工事、断熱工事、基礎工事、仮設費など
※既存機器の撤去費や設計費、諸経費などは対象外です。
補助率
導入する設備によって補助率が異なります。
| 製品区分 | 補助率 |
|---|---|
| 先進的な技術・建材等 | 定率 2/3 |
| 断熱窓 | 定率 1/2 |
| 高効率空調、制御機能付きLED照明器具、業務用給湯器、BEMS、断熱材 | 定率 1/3 |
公募期間と申請スケジュール
公募は複数回に分けて実施されます。予算に達し次第終了となる可能性があるため、早めの準備が肝心です。
- 1次公募:2025年6月10日(火)~ 7月11日(金) ※終了
- 2次公募:2025年7月14日(月)~ 11月7日(金)23:59まで
事業全体の流れ
- 交付申請:公募期間内にjGrantsで電子申請を行います。
- 審査・交付決定:SIIによる審査後、採択事業者に交付決定が通知されます。(2次公募は2025年10月中旬頃予定)
- 事業開始:交付決定日以降に契約・発注を行います。※交付決定前の発注は補助対象外です。
- 事業実施:改修工事を実施します。
- 事業完了:工事完了、支払い完了、BELS認証取得などを2026年1月31日までに終えます。
- 完了実績報告:事業完了日から30日以内または2026年2月5日のいずれか早い日までに報告書を提出します。
- 補助金支払:検査後、補助金額が確定し、支払われます。
- 事業報告:完了翌年度から5年間、エネルギー使用量等を報告します。
申請方法と専門家の活用
申請方法
申請は、補助金電子申請システム「jGrants」を通じて行います。申請には「GビズIDプライム」または「GビズIDメンバー」のアカウントが必須です。取得には数週間かかる場合があるため、早めに手続きを済ませておきましょう。
専門家(ZEBプランナー)の活用を推奨
本事業は、省エネ計算やBELS認証取得など専門的な知識が求められます。公募要領でも、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の実現に向けた専門家である「ZEBプランナー」の関与を推奨しています。計画の立案から申請書類の作成、事業完了まで一貫したサポートを受けることで、採択の可能性を高めることができます。
まとめ
環境省の「脱炭素ビルリノベ 先導モデル導入事業」は、業務用ビルのオーナーにとって、多額の費用がかかる脱炭素改修を実現するための絶好の機会です。補助上限額が3億円と非常に高額である一方、省エネ性能や先進技術の導入など、求められる要件も高度です。
申請を検討される事業者は、まず自社のビルが対象となるかを確認し、ZEBプランナーなどの専門家に相談しながら、計画的に準備を進めることを強くお勧めします。公募期間に注意し、この機会を最大限に活用しましょう。
公式情報・お問い合わせ先
- 公式ウェブサイト:脱炭素ビルリノベ(先進モデル導入)事業 特設サイト
- お問い合わせ:脱炭素ビルリノベ事業事務局(一般社団法人環境共創イニシアチブ)
- 電話番号:0120-102-912(平日10:00~12:00、13:00~17:00)
対象者・対象事業
国内で事業を営む民間企業、個人事業主、各種法人(独立行政法人、学校法人、社会福祉法人、医療法人等)、地方公共団体など。
必要書類(詳細)
交付申請書、実施計画書、経費内訳、会社概要・定款、登記事項証明書、決算書(直近3年分)、建物概要がわかる書類(検査済証、図面等)、WEBプログラム算定結果、見積書など。
対象経費(詳細)
【設備費】断熱窓、断熱材、高効率空調、制御機能付きLED照明、業務用給湯器、BEMS、先進的な技術・建材等 【工事費】上記設備の導入に必要な搬入・据付工事、配管工事、電気工事、仮設費など。