IT導入補助金2025の概要
IT導入補助金2025は、中小企業・小規模事業者の皆様が直面するインボイス制度や働き方改革といった制度変更に対応し、生産性を向上させるためのITツール導入を支援する制度です。ソフトウェアやクラウドサービスの利用料、一部のハードウェア購入費用などが補助対象となり、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に後押しします。IT導入支援事業者と連携して申請することが特徴で、専門家のサポートを受けながら事業計画の策定やITツールの選定が可能です。
主な申請枠と補助額・補助率
IT導入補助金2025には、目的別に複数の申請枠が用意されています。ここでは主要な3つの枠について解説します。
| 申請枠 | 補助額 | 補助率 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 5万円 ~ 450万円 | 1/2以内 ※賃上げ要件達成で2/3以内 |
幅広い業務プロセスの効率化・生産性向上を目的としたITツールが対象。 |
| インボイス枠 (インボイス対応類型) |
ITツール: ~350万円 ハードウェア: ~20万円 |
3/4 or 4/5(~50万円部分) 2/3(50万円超部分) ハードウェア: 1/2 |
インボイス制度対応の会計・受発注・決済ソフトが対象。PCやレジも補助対象になる点が魅力。 |
| セキュリティ対策推進枠 | 5万円 ~ 150万円 | 中小企業: 1/2以内 小規模事業者: 2/3以内 |
サイバー攻撃への対策を強化するためのサービス利用料(最大2年分)が対象。 |
インボイス枠(インボイス対応類型)の詳細
インボイス制度への対応を強力に推進するための枠です。会計、受発注、決済機能を持つソフトウェアの導入が対象となります。最大の特徴は、PC・タブレット(上限10万円)、POSレジ・券売機(上限20万円)といったハードウェアの購入費用も補助対象となる点です。補助率も通常枠より高く設定されており、特に小規模事業者にとっては非常に有利な条件となっています。
- 機能要件: 会計・受発注・決済のうち1機能以上を含むソフトウェア
- 補助額:
- 1機能の場合: ~50万円
- 2機能以上の場合: ~350万円
- 補助率:
- ~50万円部分: 3/4以内(小規模事業者は4/5以内)
- 50万円超~350万円部分: 2/3以内
- ハードウェア: 1/2以内
通常枠の詳細
顧客対応、決済、会計、総務・人事など、企業の基幹業務を効率化するためのITツール導入を幅広く支援する枠です。自社の経営課題に合わせて、複数の機能を持つソフトウェアを組み合わせることも可能です。
- 補助額と要件:
- 5万円~150万円未満: 1つ以上の業務プロセスを効率化するITツールが対象。
- 150万円~450万円以下: 4つ以上の業務プロセスを効率化するITツールが対象。賃上げ目標の達成が必須要件となります。
- 補助率: 1/2以内。ただし、特定の賃上げ要件を満たすことで2/3以内に引き上げられます。
補助対象となる事業者
補助の対象は、日本国内で事業を営む中小企業・小規模事業者等です。業種ごとに資本金と常時使用する従業員数の上限が定められています。
| 業種分類 | 資本金または出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業(一部除く) | 5千万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
※医療法人、社会福祉法人、NPO法人なども対象となります。詳細は公式の公募要領をご確認ください。
申請から交付までの流れ
申請は以下のステップで進みます。特に事前準備には時間がかかるため、早めの対応が重要です。
- 事前準備:
- IT導入支援事業者の選定とITツールの相談: 自社の課題に合ったITツールを支援事業者と一緒に選びます。
- gBizIDプライムの取得: 申請に必須のアカウントです。取得に2週間程度かかる場合があるため、最優先で手続きしましょう。
- SECURITY ACTIONの宣言: 情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。こちらも申請要件です。
- 交付申請: IT導入支援事業者から招待を受け、「申請マイページ」を開設。必要情報を入力し、必要書類を添付して事務局へ提出します。
- 交付決定: 事務局による審査後、採択されれば交付決定通知が届きます。
- 事業実施: 交付決定後にITツールの契約・導入・支払いを行います。交付決定前の契約等は補助対象外となるため、絶対に注意してください。
- 事業実績報告: 導入したITツールの契約書や請求書、支払い証憑などを「申請マイページ」から提出します。
- 補助金の交付: 実績報告の内容が確定した後、指定の口座に補助金が振り込まれます。
- 事業実施効果報告: 補助事業完了後、定められた期間内にITツールの活用状況や生産性向上に関する効果を報告する必要があります。
申請に必要な書類
申請には以下の書類が必要です。事前に準備しておきましょう。
- 法人の場合:
- 履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
- 法人税の納税証明書(「その1」または「その2」)
- 個人事業主の場合:
- 運転免許証、運転経歴証明書または住民票(発行から3ヶ月以内のもの)
- 所得税の納税証明書(「その1」または「その2」)
- 所得税確定申告書Bの控え
採択率を上げるためのポイント(加点項目)
以下の項目に取り組むことで、審査で加点され、採択の可能性が高まります。
- 賃上げ目標の策定・表明: 事業場内最低賃金の引き上げや給与支給総額の増加計画を策定し、従業員に表明する。
- サイバーセキュリティお助け隊サービスの導入: セキュリティ対策推進枠で対象となるサービスを導入する。
- クラウド製品の導入(通常枠): クラウド型のITツールを選定する。
- 健康経営優良法人2025の認定
- 地域未来牽引企業の選定
- 女性活躍推進法(えるぼし認定)や次世代育成支援対策推進法(くるみん認定)の取得
まとめ
IT導入補助金2025は、企業のDX化と生産性向上を支援する強力な制度です。特にインボイス枠は、制度対応と設備投資を同時に進めたい事業者にとって大きなチャンスとなります。申請スケジュールは公式サイトで随時更新されるため、定期的にチェックすることが重要です。まずは信頼できるIT導入支援事業者を見つけ、自社の課題解決に最適なITツールについて相談することから始めましょう。