【2025年4月受付再開】人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)で職場環境を改善!
人材不足や従業員の離職にお悩みの事業者様へ朗報です。2025年(令和7年)4月1日より、厚生労働省の「人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)」の受付が再開されました。この助成金は、魅力ある職場づくりを通じて従業員の離職率低下に取り組む事業者を支援する制度で、最大287.5万円が支給される可能性があります。
本記事では、多くの事業者が活用しやすいこの助成金について、対象となる取り組みや支給額、申請の要件や流れを分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 助成金の概要と目的
- 具体的な助成対象と支給額
- 申請に必要な主な要件
- 申請から受給までの詳しい流れ
人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)とは?
この助成金は、事業主が雇用管理制度の導入や、従業員の負担を軽減する機器・設備の導入を行い、その結果として離職率の低下目標を達成した場合に支給されるものです。目的は、従業員にとって働きやすく、定着しやすい「魅力ある職場」を創出することにあります。
助成対象となる取り組みは、大きく分けて以下の2種類です。
- 雇用管理制度の導入:賃金や評価、福利厚生などの社内制度を整備する取り組み。
- 雇用環境整備(業務負担軽減機器等の導入):従業員の作業負担を直接的に軽減する機器や設備を導入する取り組み。
助成対象と支給額
導入する制度や機器に応じて、以下の金額が支給されます。複数の取り組みを組み合わせることも可能です。括弧内は、生産性向上に繋がり、従業員の賃金を5%以上増加させる「賃金要件」を満たした場合の加算額です。
A. 雇用管理制度の導入
5つの制度区分があり、複数の制度を導入した場合の上限額は80万円(賃金要件加算時:100万円)です。
| 制度区分 | 助成額 | 概要 |
|---|---|---|
| ① 賃金規定制度 | 40万円 (50万円) | 賃金規定や賃金表を新たに整備する |
| ② 諸手当等制度 | 40万円 (50万円) | 住居手当や家族手当、退職金、賞与制度などを導入する |
| ③ 人事評価制度 | 40万円 (50万円) | 生産性向上に資する人事評価制度と賃金制度を連動させる |
| ④ 職場活性化制度 | 20万円 (25万円) | メンター制度、従業員調査、1on1ミーティングなどを導入する |
| ⑤ 健康づくり制度 | 20万円 (25万円) | 人間ドックなど法定の健康診断以外の検診制度を導入する |
B. 雇用環境整備(業務負担軽減機器等の導入)
従業員の作業負担を軽減する機器や設備の導入費用の一部が助成されます。
- 助成率:対象経費の1/2(賃金要件加算時:62.5%)
- 上限額:150万円(賃金要件加算時:187.5万円)
【対象経費の例】
- 機器・設備の購入費用、リース・ライセンス費用
- 設定費用、設置・撤去費用
- 従業員への操作研修費用
【導入機器の具体例】
- 医療・福祉:介護ソフト、車いす昇降リフト
- 建設業:建築用ソフトウェア、油圧ショベル
- 製造業:洋菓子製造機器、容器洗浄機
- 宿泊・飲食業:ロボット掃除機、食器洗浄機
- 卸売・小売業:POSシステム、電動搬入カート
主な支給要件
助成金を受給するには、いくつかの要件を満たす必要があります。特に重要なポイントをまとめました。
事業主の要件
- 雇用保険の適用事業主であること。
- 「雇用管理制度等整備計画」を作成し、管轄の労働局から認定を受けること。
- 計画に基づき、新たな制度や機器を導入・実施すること。
- 対象事業所ごとに「雇用管理責任者」を選任し、周知していること。
- 【最重要】離職率の低下目標を達成すること。
離職率の低下目標とは?
計画期間終了後1年間の離職率(評価時離職率)を、計画提出前1年間の離職率(計画時離職率)よりも低下させることが目標です。必要な低下ポイントは事業所の従業員数によって異なります。
- 雇用保険一般被保険者数10人以上:1%ポイント以上低下させる。
- 雇用保険一般被保険者数9人以下:計画時離職率を上回らないこと(現状維持)。
※評価時離職率が30%以下であることも要件です。
対象となる労働者の要件
制度や機器の適用対象となる労働者は、以下のすべてに該当する必要があります。
- 期間の定めのない労働者、または事実上、無期雇用と同等と認められる労働者。
- 事業主に直接雇用されていること。
- 雇用保険の被保険者であること。
申請から受給までの流れ
本助成金は、計画を立てて認定を受け、取り組みを実施した後に申請するという流れになります。期間が長いため、計画的な準備が不可欠です。
- Step 1: 雇用管理制度等整備計画の作成・提出
導入する制度や機器、離職率目標などを定めた計画書を作成し、計画開始日の1ヶ月前までに管轄の労働局へ提出します。 - Step 2: 計画の認定
労働局が計画内容を審査し、適切と認められれば認定通知書が交付されます。 - Step 3: 制度・機器の導入と実施
認定された計画に基づき、計画期間内(3ヶ月~1年)に制度や機器を導入し、従業員に適用・利用させます。 - Step 4: 離職率低下目標の達成
計画期間終了日の翌日から1年間(評価時離職率算定期間)の離職率が、目標値を達成しているかを確認します。 - Step 5: 支給申請
評価時離職率算定期間の末日の翌日から2ヶ月以内に、必要書類を揃えて労働局へ支給申請を行います。 - Step 6: 助成金の受給
審査を経て、助成金が支給されます。
申請に必要な書類
申請は「計画認定申請」と「支給申請」の2段階に分かれており、それぞれで書類の提出が必要です。主なものを以下に示します。
計画認定申請時の主な書類
- 雇用管理制度等整備計画書
- 導入する制度・機器の概要票
- 対象労働者名簿
- 事業所確認票
- 現行の就業規則や労働協約
- (機器導入の場合)導入予定機器の見積書(二社分)など
支給申請時の主な書類
- 支給申請書
- 導入後の就業規則や労働協約(労働基準監督署の受付印があるもの)
- 制度や機器の導入・実施・支払いが確認できる書類(賃金台帳、契約書、領収書、写真など)
- 支給要件確認申立書
※詳細は必ず公式のパンフレットや支給要領をご確認ください。
まとめ
人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)は、職場環境の改善と人材定着を目指す事業者にとって非常に強力な支援策です。助成金を活用することで、費用負担を抑えながら、生産性の向上や従業員満足度の向上に繋がる取り組みを実施できます。
受付が再開されたこの機会に、自社の課題解決に向けた制度導入や設備投資を検討してみてはいかがでしょうか。申請には計画的な準備と1年以上にわたる取り組みが必要となるため、早めに管轄の労働局や専門家へ相談することをおすすめします。
対象者・対象事業
雇用保険の適用事業主で、雇用管理制度や業務負担軽減機器等を新たに導入し、離職率の低下に取り組む事業者。
必要書類(詳細)
【計画申請時】雇用管理制度等整備計画書、各種概要票、対象労働者名簿、事業所確認票、現行の就業規則(案)、見積書等 【支給申請時】支給申請書、導入後の就業規則、制度の実施・支払いが確認できる書類(賃金台帳等)、支給要件確認申立書等
対象経費(詳細)
【雇用管理制度】制度導入に関する費用(助成額は定額) 【雇用環境整備】従業員の作業負担を軽減する機器・設備等の購入・リース費用、設定費用、研修費用、設置・撤去費用など。