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両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース)とは?
両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース)は、不妊治療や月経、更年期といった女性特有の健康課題と仕事の両立を目指す中小企業を支援する制度です。従業員が安心して働き続けられる職場環境を整備するため、休暇制度などを導入し、実際に利用された場合に助成金が支給されます。2025年度(令和7年度)からは、月経・更年期への対応も新たに対象となり、支援が拡充されました。
不妊治療を理由に約26%の方が離職や雇用形態の変更を余儀なくされているというデータもあり、企業にとって優秀な人材の確保・定着は喫緊の課題です。この助成金を活用し、従業員が働きやすい環境を整えましょう。
助成金の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 最大90万円 ・不妊治療両立支援制度:30万円 ・月経課題対応支援制度:30万円 ・更年期課題対応支援制度:30万円 |
| 対象事業主 | 下記いずれかを満たす中小企業事業主 |
| 申請期限 | 対象労働者が制度を合計5日(回)利用した日の翌日から2か月以内 |
| 実施機関 | 厚生労働省(窓口:各都道府県労働局) |
支給対象となる中小企業事業主の範囲
この助成金は、以下のいずれかの基準を満たす中小企業事業主が対象です。
| 業種 | 資本金または出資額 | 常時雇用する労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食業を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
主な支給要件
助成金を受給するには、主に以下の3つの要件を満たす必要があります。
1. 両立支援制度の導入と就業規則への規定
まず、不妊治療や女性の健康課題に対応するため、以下のいずれか1つ以上の制度を導入し、その内容を就業規則等に明記する必要があります。
- 休暇制度:年次有給休暇とは別の有給休暇(時間単位での取得も可)
- 所定外労働制限制度:残業をさせない制度
- 時差出勤制度:始業・終業時刻を繰り上げ・繰り下げできる制度
- 短時間勤務制度:1日の所定労働時間を短縮する制度
- フレックスタイム制度:始業・終業時刻を従業員が決定できる制度
- 在宅勤務・テレワーク制度:自宅等で業務を行える制度
【重要】これらの制度は、雇用形態にかかわらず、雇用保険被保険者以外の従業員も含む全従業員が利用できるものでなければなりません。
2. 両立支援担当者の選任と周知
従業員からの相談に対応する「両立支援担当者」を選任し、その担当者を社内に周知する必要があります。担当者は、事業主や従業員のほか、社会保険労務士などの外部専門家でも構いません。
3. 制度の利用実績
導入した制度を、対象となる労働者(雇用保険被保険者)が、初回利用日から1年以内に合計5日(回)以上利用することが必要です。複数の制度を組み合わせて利用した場合や、同じ日に複数回利用した場合も1日(回)とカウントします。
申請手続きと必要書類
申請は、人事労務管理機能を持つ本社等の所在地を管轄する都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)に行います。電子申請も可能です。
主な提出書類
- 両立支援等助成金支給申請書
- 支給要件確認申立書
- 制度が規定された就業規則または労働協約の写し
- 制度の利用実績が確認できる書類(出勤簿、タイムカード、休暇申請書など)
- 対象労働者の雇用契約書または労働条件通知書の写し
- 賃金台帳の写し(短時間勤務制度などを利用した場合)
- その他、労働局が求める書類
まとめ
「両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース)」は、従業員の健康とキャリアを両立させる職場環境づくりを強力に後押しする制度です。助成金を活用することで、企業の負担を軽減しながら、従業員エンゲージメントの向上や人材の定着につなげることができます。要件が細かく設定されているため、申請を検討される際は、厚生労働省のホームページで最新情報を確認するか、社会保険労務士などの専門家にご相談ください。