【令和7年度】サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)整備事業補助金を徹底解説

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の建設や改修を検討している事業者様にとって、大きな支援となるのが国や自治体の補助金です。この記事では、国土交通省が実施する令和7年度(2025年度)「サービス付き高齢者向け住宅整備事業」を中心に、補助金の概要、金額、申請要件、スケジュール、そして東京都や千葉県などの自治体による上乗せ補助制度まで、網羅的に解説します。

この記事でわかること

  • 令和7年度のサ高住補助金の具体的な補助額と補助率
  • 補助金を受け取るための主要な申請要件
  • 申請から受給までの流れと重要なスケジュール
  • 東京都や千葉県など自治体独自の上乗se補助制度
  • 申請における注意点と成功のポイント

国の「サービス付き高齢者向け住宅整備事業」とは?

この事業は、高齢者が安心して生活できる住環境を整備することを目的とし、バリアフリー構造などを有し、介護・医療と連携したサービスを提供する「サービス付き高齢者向け住宅」の整備費用の一部を国が補助する制度です。高齢化が進む日本において、サ高住の安定的な供給を後押しする重要な役割を担っています。

補助金の対象事業と補助額

補助対象は大きく分けて「新築事業」と「改修事業」の2つです。それぞれ補助率と上限額が異なります。

事業区分 補助率 補助上限額(1戸あたり)
新築事業 建設費の1/10
  • 70万円(床面積25㎡未満)
  • 120万円(床面積25㎡以上)
  • 135万円(夫婦型住戸など)
改修事業 改修費の1/3
  • 70万円~135万円(住戸タイプによる)
  • 最大 195万円(既存ストック活用型など)
既設改修事業 改修費の1/3 最大 10万円等(メニューによる)

※上記は代表的な例です。住戸面積や設備、ZEH相当水準の整備など、詳細な条件によって上限額は変動します。
※高齢者生活支援施設(食堂、共同リビング等)の設置に対しても、1施設あたり1,000万円を上限とする補助メニューがあります。

令和7年度の申請スケジュール

申請には複数のステップがあり、特に事業登録の締切が交付申請より早い点に注意が必要です。

  • 事業登録締切:令和7年9月10日(水)
  • 交付申請(応募)締切:令和7年12月12日(金)〔消印有効〕

補助金の交付申請に先立ち、申請予定の案件の概要を登録する「事業登録」が必須です。計画的に準備を進めましょう。

補助金申請の主な要件

補助金を受けるためには、サ高住としての登録基準を満たすだけでなく、整備事業特有の要件をクリアする必要があります。特に重要な点を抜粋してご紹介します。

  • サ高住としての登録:高齢者住まい法に基づき、10年以上「サービス付き高齢者向け住宅」として登録・運営すること。
  • 省エネ基準:原則として、建築物省エネ法に規定する省エネ基準に適合すること。
  • 家賃設定:近傍同種の住宅の家賃と均衡を失しない額であること。(上限額あり)
  • まちづくりとの整合:都道府県および市区町村のまちづくり方針と整合していること。(意見聴取手続きが必須)
  • 立地:原則として土砂災害特別警戒区域などに該当しないこと。
  • サービスの選択の自由:入居者が任意の事業者による介護サービスを選択して利用できること。
  • 資金計画:事業に要する資金の調達が確実であること(金融機関の融資内諾など)。

この他にも詳細な要件が定められています。必ず公式の交付申請要領で最新情報をご確認ください。

申請から受給までの流れ

補助金の申請は複雑な手続きを伴います。大まかな流れを理解しておくことが重要です。

  1. 事業登録:事務局へ申請予定の事業概要を登録します。(締切:R7/9/10)
  2. サ高住の登録申請:都道府県等へサ高住としての登録申請を行います。
  3. 意見聴取:都道府県および市区町村へ、まちづくり方針との整合性について意見を聴取します。
  4. 交付申請(本申請):必要書類を揃え、事務局へ郵送で補助金の交付申請を行います。(締切:R7/12/12)
  5. 交付決定通知:審査を経て、事務局から交付決定通知書が発行されます。
    ※交付決定前に事業に着手(工事契約や着工など)した場合、補助対象外となるため絶対に避けてください。
  6. 事業着手・工事実施:交付決定後に工事を開始します。
  7. 完了実績報告:工事完了後、実績報告書と関連書類を事務局へ提出します。
  8. 補助金額の確定・受領:報告書の審査後、補助金額が確定し、指定口座に振り込まれます。

【要チェック】自治体独自の上乗せ補助制度

国の補助金に加えて、独自の補助制度を設けている自治体もあります。これにより、事業者の負担をさらに軽減できる可能性があります。ここでは東京都と千葉県の例をご紹介します。

東京都サービス付き高齢者向け住宅整備事業

国の補助金交付を受けていることを要件に、都が直接補助を行います。医療・介護連携の強化など、都独自の加算メニューが特徴です。

  • 補助内容(新築):建設費の1/10(上限120万円/戸)+ 各種加算
  • 補助内容(改修):改修費の1/3(上限195万円/戸)+ 各種加算
  • 申請期間:令和7年4月21日~令和8年3月13日
  • 特徴:夫婦世帯入居支援加算、医療・介護連携強化加算など、手厚い加算制度があります。

千葉県サービス付き高齢者向け住宅整備事業

千葉県でも、国の補助採択を要件とした上乗せ補助を実施しています。特定の介護事業所を併設する場合に補助が拡充される点が特徴です。

  • 補助内容(新築):建設費の1/20(上限60万円/戸@25㎡以上)※特定介護事業所併設で1/10(上限120万円/戸)に拡充
  • 補助内容(改修):改修費の1/6(上限60万円/戸@25㎡以上)※特定介護事業所併設で1/3(上限120万円/戸)に拡充
  • 申請期間:令和7年12月26日まで
  • 特徴:耐火建築物であることやスプリンクラー設置など、県独自の要件が定められています。

※注意:上記は令和7年度の情報です。事業を計画している地域の自治体(都道府県、市区町村)に、独自の補助制度がないか必ず確認しましょう。

まとめ

令和7年度のサービス付き高齢者向け住宅整備事業は、サ高住の新規開設や改修を計画する事業者にとって非常に価値のある制度です。しかし、申請要件が細かく、手続きも複雑であるため、計画的な準備が不可欠です。

特に、「事業着手は交付決定後」というルールと、「事業登録の早期締切」は絶対に忘れてはならないポイントです。また、国だけでなく、東京都や千葉県のように自治体独自の上乗せ補助も積極的に活用することで、事業の採算性を大きく向上させることができます。

まずは公式の公募要領を熟読し、不明な点は事務局や専門家に相談しながら、確実に補助金獲得を目指しましょう。

【公式情報】
サービス付き高齢者向け住宅整備事業 公式サイト