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建設業界の人手不足を解消!厚生労働省の助成金を徹底解説
多くの建設事業主様が、深刻な人手不足や若手・女性の入職者減少、従業員の高齢化といった課題に直面しているのではないでしょうか。これらの課題解決を強力に後押しするのが、厚生労働省が提供する「建設事業主等に対する助成金」です。この制度は、建設労働者の雇用環境改善や技能向上に取り組む事業主を支援するために設計されています。本記事では、令和7年度(2025年度)の最新情報に基づき、建設事業主様が活用できる助成金の種類、対象者、助成額、申請方法までを分かりやすく解説します。
建設事業主等に対する助成金とは?
この助成金は、建設事業主や建設事業主団体が、建設労働者の人材確保・育成、技能向上、雇用環境の改善などを目的とした取り組みを行った場合に、その経費や賃金の一部を助成する制度です。大きく分けて以下の3つのカテゴリーに分類されます。
- トライアル雇用助成金:若年者や女性を試行的に雇用する取り組みを支援
- 人材確保等支援助成金:魅力ある職場づくりや労働環境の整備を支援
- 人材開発支援助成金:労働者の技能向上を目的とした訓練や実習を支援
自社の課題に合わせて適切なコースを選択することで、人材に関する悩みを解決し、企業の成長に繋げることが可能です。
【2025年度】建設事業主向け助成金コース一覧
ここでは、建設事業主が利用できる主要な助成金コースの概要をご紹介します。
1. トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)
若者や女性の建設業界への入職を促進するための助成金です。経験の少ない若年者(35歳未満)や女性を試行的に雇用(トライアル雇用)する中小建設事業主に対して、通常のトライアル雇用助成金に上乗せして支給されます。
- 目的:若年者・女性の入職促進
- 対象事業主:中小建設事業主
- 主な要件:35歳未満の若者または女性を、建設現場作業員や施工管理者としてトライアル雇用すること。
- 助成額:1人あたり月額最大4万円 × 最大3か月
2. 人材確保等支援助成金
人材の確保・定着を目的とした、より幅広い取り組みを支援する助成金です。
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース
若者や女性が入職し、定着しやすい魅力的な職場環境を整備するための事業を支援します。現場見学会やインターンシップの実施、新規入職者への研修、女性労働者向けのキャリアパス作成などが対象です。
- 目的:若年者・女性の入職・定着促進
- 対象事業主:建設事業主
- 助成率:
・中小建設事業主:対象経費の3/5
・中小建設事業主以外:対象経費の9/20 - 賃金向上助成:上記に加え、労働者の賃金を5%以上増加させた場合、助成率が3/20上乗せされます。
作業員宿舎等設置助成コース
女性が働きやすい環境を整備するため、女性専用の作業員施設(更衣室、トイレ、シャワー室など)を賃借により設置した場合に助成されます。また、能登半島地震からの復興支援として、石川県内の工事現場で作業員宿舎等を整備する場合の特例措置も設けられています。
- 目的:女性の就労環境改善、復興支援
- 対象事業主:中小建設事業主
- 助成内容:
・女性専用作業員施設:対象経費の3/5
・石川県の作業員宿舎:建設労働者数 × 25万円
・石川県の作業員施設・賃貸住宅:対象経費の2/3
建設キャリアアップシステム等活用促進コース
建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用し、技能者の能力に応じた処遇改善(賃金5%以上増)を行った中小建設事業主を支援します。
- 目的:技能者の適切な処遇改善
- 対象事業主:中小建設事業主
- 助成額:対象となる技能者数 × 16万円
3. 人材開発支援助成金
建設労働者の技能向上や資格取得を支援し、生産性向上を図るための助成金です。
建設労働者認定訓練コース
都道府県知事の認定を受けた職業訓練(認定訓練)を実施、または従業員に受講させた場合に助成されます。
- 目的:認定職業訓練を通じた技能向上
- 対象事業主:中小建設事業主
- 助成内容:
・経費助成:認定訓練の運営に要した経費の1/6
・賃金助成:訓練受講中の従業員に支払う賃金の一部として 3,800円/人日
建設労働者技能実習コース
若年者等の育成と熟練技能の維持・向上のため、キャリアに応じた技能実習(労働安全衛生法に基づく特別教育や技能講習など)を実施した場合に、経費と賃金の両面から支援します。
- 目的:キャリアに応じた技能向上
- 対象事業主:中小建設事業主
- 助成内容(中小建設事業主・被保険者数20人以下の場合):
・経費助成:対象経費の3/4
・賃金助成:8,550円/人日 - 賃金向上助成・資格等手当助成:賃金増などの要件を満たすと、経費助成(3/20)や賃金助成(2,000円/人日)が上乗せされます。
申請手続きの基本的な流れ
多くのコースでは、以下の流れで手続きを進めます。ただし、コースによっては計画届が不要な場合もあるため、必ず事前に確認してください。
- 計画届の提出:事業(訓練)を開始する前に、必要な書類を揃えて管轄の都道府県労働局へ提出します。
- 計画の実施:労働局から返送された計画届(写し)に基づき、事業や訓練を実施します。
- 支給申請:事業(訓練)が終了した後、定められた期間内に支給申請書と必要書類を労働局へ提出します。
- 審査・支給決定:労働局での審査を経て、助成金が支給されます。
助成金利用時の重要注意点
助成金を活用する際は、以下の点に十分注意してください。
- 申請期限の厳守:各申請には期限が定められています。期限を過ぎると受給できなくなるため、計画的に進めましょう。
- 不支給要件の確認:労働保険料の未納や労働関係法令の違反がある場合など、助成金が支給されない要件があります。事前に確認が必要です。
- 不正受給の禁止:虚偽の申請などによる不正受給は、助成金の返還はもちろん、延滞金や加算金の対象となり、悪質な場合は刑事罰に処される可能性もあります。
- 書類の保管義務:申請に関連する書類は、支給決定日から5年間の保管が義務付けられています。
まとめ
「建設事業主等に対する助成金」は、建設業界が抱える人材課題を克服するための強力なツールです。若手や女性の採用、従業員のスキルアップ、働きやすい職場環境の整備など、自社のニーズに合った助成金を活用することで、企業の持続的な成長を実現できます。詳細な要件や申請書類については、厚生労働省の公式ウェブサイトを確認するか、最寄りの都道府県労働局にお問い合わせください。この機会にぜひ助成金の活用をご検討ください。