特定求職者雇用開発助成金とは?
特定求職者雇用開発助成金は、高年齢者、障害者、母子家庭の母など、就職が特に困難な方々をハローワーク等の紹介により継続して雇用する事業主に対して支給される助成金です。この制度は、就職困難者の雇用機会を増やし、安定した雇用を促進することを目的としています。企業にとっては、人材確保と人件費負担の軽減を両立できる、非常にメリットの大きい制度です。
制度は社会情勢に合わせて見直されており、この記事では2025年(令和7年)4月からの最新情報を含めて、5つのコースを分かりやすく解説します。
【重要】2025年(令和7年度)の主な改正点
- 「就職氷河期世代安定雇用実現コース」が廃止されます。(令和7年3月31日雇入れ分まで)
- 「中高年層安定雇用支援コース」が新設され、支援対象がより広くなります。
- 一部コースで添付書類が簡略化され、申請手続きの負担が軽減されます。
5つのコース一覧と対象者
特定求職者雇用開発助成金は、対象者の特性に応じて以下の5つのコースに分かれています。
| コース名 | 主な対象者 |
|---|---|
| 1. 特定就職困難者コース | 60歳以上の高年齢者、障害者、母子家庭の母など |
| 2. 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース | 発達障害や難病のある方 |
| 3. 中高年層安定雇用支援コース 新設 | 35歳~60歳未満の正規雇用が困難な方(就職氷河期世代を含む) |
| 4. 生活保護受給者等雇用開発コース | 生活保護受給者、生活困窮者 |
| 5. 成長分野等人材確保・育成コース 高額 | 上記1~4の対象者で、成長分野(DX・GX)の業務に従事させる場合など |
コース別・支給額の詳細
各コースの支給額は、対象労働者の類型や企業規模(中小企業か否か)によって異なります。ここでは代表的な「特定就職困難者コース」と、最も高額な「成長分野等人材確保・育成コース」の支給額を解説します。
1. 特定就職困難者コースの支給額
| 対象労働者 | 短時間労働者以外 | 短時間労働者 | ||
|---|---|---|---|---|
| 中小企業 | 大企業 | 中小企業 | 大企業 | |
| 高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等 | 60万円 | 50万円 | 40万円 | 30万円 |
| 身体・知的障害者 | 120万円 | 50万円 | 80万円 | 30万円 |
| 重度障害者等 | 240万円 | 100万円 | ||
5. 成長分野等人材確保・育成コースの支給額
DX・GX(グリーン)関連業務に就かせる場合など、特定の要件を満たすと、支給額が通常の1.5倍に増額されます。
| 対象労働者 | 短時間労働者以外 | 短時間労働者 | ||
|---|---|---|---|---|
| 中小企業 | 大企業 | 中小企業 | 大企業 | |
| 高年齢者、母子家庭の母、中高年層等 | 90万円 | 75万円 | 60万円 | 45万円 |
| 身体・知的障害者、発達障害者等 | 180万円 | 75万円 | 120万円 | 45万円 |
| 重度障害者等 | 360万円 | 150万円 | ||
※上記は一例です。他のコースの支給額や詳細な要件は、厚生労働省のウェブサイトをご確認ください。
全コース共通の主な支給要件
助成金を受給するためには、対象労働者の要件に加え、事業主側も以下の要件をすべて満たす必要があります。
- ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること。
- 雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であること。
- 対象労働者の雇入れ日の前後6か月間に、事業主都合の解雇等をしていないこと。
- 労働保険料を滞納していないこと。
最重要ポイント:紹介ルート
この助成金の最大のポイントは「ハローワーク等の紹介」が必須である点です。求人サイトなどからの直接応募(オンライン自主応募含む)で採用した場合は対象外となるため、必ず指定のルートで採用プロセスを進めてください。
申請から受給までの流れ【簡単6ステップ】
申請は、助成対象期間を6か月ごとに区切った「支給対象期」ごとに行います。
- 1ハローワーク等に求人を提出
助成金の対象となる求人であることを伝えて申し込みます。 - 2対象者の紹介・雇入れ
ハローワーク等から紹介を受け、選考を経て採用を決定します。 - 3第1期 支給申請
雇入れから6か月経過後、2か月以内に管轄の労働局へ第1期分の支給申請書を提出します。 - 4審査・支給決定
労働局にて申請内容の審査が行われ、支給または不支給が決定されます。 - 5助成金の受給(第1期)
支給決定後、指定の口座に助成金が振り込まれます。 - 6第2期以降の申請・受給
助成対象期間が終了するまで、6か月ごとに3~5のプロセスを繰り返します。
助成金を活用するメリット
- 高額な助成金: 最大360万円と、雇用関係助成金の中でも特に手厚い支援が受けられます。
- 人材確保: 採用ターゲットを広げることで、意欲の高い多様な人材を確保するチャンスが生まれます。
- 職場環境の改善: 多様な人材が活躍できる環境を整えることは、組織全体の活性化にも繋がります。
まとめ
特定求職者雇用開発助成金は、企業の採用活動を強力にバックアップする制度です。特に人手不足に悩む中小企業にとって、採用コストを抑えつつ優秀な人材を確保できる大きなチャンスとなります。
2025年度からは制度が一部変更され、より使いやすくなります。この機会に、多様な人材の雇用を検討し、本助成金の活用で企業の成長を加速させてみてはいかがでしょうか。
ご不明な点は、管轄の労働局またはハローワークにお問い合わせください。
対象者・対象事業
高年齢者、障害者、母子家庭の母等の就職困難者を、ハローワークまたは許可・届出のある民間職業紹介事業者等の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主。
必要書類(詳細)
支給申請書、対象労働者雇用状況等申立書、賃金台帳の写し、出勤簿(またはタイムカード)の写し、雇用契約書の写し、その他コースに応じて必要な書類。詳細は管轄の労働局にご確認ください。
対象経費(詳細)
本助成金は経費を補助するものではなく、対象労働者へ支払った賃金の一部を助成するものです。
対象者・対象事業
高年齢者、障害者、母子家庭の母等の就職困難者を、ハローワークまたは許可・届出のある民間職業紹介事業者等の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主。
必要書類(詳細)
支給申請書、対象労働者雇用状況等申立書、賃金台帳の写し、出勤簿(またはタイムカード)の写し、雇用契約書の写し、その他コースに応じて必要な書類。詳細は管轄の労働局にご確認ください。
対象経費(詳細)
本助成金は経費を補助するものではなく、対象労働者へ支払った賃金の一部を助成するものです。