この記事では、自動車運送事業者や整備事業者の皆様が活用できる「被害者保護増進等事業費補助金」について、令和6年度補正予算と令和7年度の最新情報を分かりやすく解説します。デジタコやドライブレコーダー、ASV（先進安全自動車）の導入を検討中の方は、予算がなくなる前にぜひご確認ください。

被害者保護増進等事業費補助金とは？

この補助金は、国土交通省が管轄する制度で、自動車運送事業における事故防止や安全対策を強化することを目的としています。具体的には、運行管理を高度化する機器（デジタコ、ドラレコ）や、過労運転を防ぐための先進機器、先進安全自動車（ASV）の導入、整備環境の確保（スキャンツール導入）などにかかる経費の一部を補助するものです。

現在、「令和6年度補正予算」と「令和7年度予算」に基づく複数の支援策が並行して公募されています。対象者や支援内容が異なるため、自社がどの支援策に該当するかしっかり確認することが重要です。

【対象者別】主な支援事業一覧

この補助金は、大きく分けて「自動車運送事業者・リース事業者向け」と「自動車整備事業者向け」の2つの事業で構成されています。

1. 自動車運送事業者・リース事業者向け支援

トラック、バス、タクシー事業者などが対象となる支援です。安全運行に直結する様々な設備投資が補助対象となります。

• 運行管理の高度化支援
  対象経費: デジタル式運行記録計（デジタコ）、映像記録型ドライブレコーダー、及びそれらの一体型機器の導入費用。
  ポイント: 多くの事業者にとって最も関心の高い支援策の一つ。令和6年度補正予算事業では申請期間が延長されるなど、注目の支援です。
• 過労運転防止のための先進的な取り組み支援
  対象経費: 遠隔点呼機器、自動点呼機器、運転者の疲労状態を測定する機器などの導入費用。
  ポイント: 2024年問題への対応としても注目されており、予算消化率が比較的高いため、早めの検討が必要です。
• 先進安全自動車（ASV）の導入支援
  対象経費: 衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報装置などを搭載したASV車両、後付けの車輪脱落予兆検知装置の導入費用。
  ポイント: 事故を未然に防ぐための最新技術導入を後押しします。実施団体が他と異なる場合があるため注意が必要です。
• その他の支援
  社内安全教育（コンサルティング活用、貸切バス運転者研修）や、健康起因事故防止（SASスクリーニング検査、脳ドック等）の取り組みも補助対象です。

2. 自動車整備事業者向け支援

先進安全自動車（ASV）の普及に伴い、その性能を維持するための整備環境を整える事業者が対象です。

• 先進安全自動車の整備環境の確保支援
  対象経費: スキャンツール（故障診断機）の導入費用、及びその利活用のための研修受講費用。
  ポイント: PCの買い替えや、過去に交付を受けた事業者でも異なる機器であれば対象となる場合があります。ASVの電子制御装置の点検・整備に必須のツールです。

申請期間と申請方法

事業ごとに申請期間が異なりますが、多くの支援策は令和8年1月30日(金) 17:00が最終期限となっています。ただし、前述の通り予算がなくなり次第終了となるため、実質的な期限はもっと早まる可能性があります。

• 申請期間（目安）: 令和7年3月頃から順次開始 〜 令和8年1月30日(金) 17:00まで
• 申請方法: 原則として、各事業の公式サイトからのオンライン申請となります。

申請には、法人番号の確認や過去の行政処分の有無の確認など、事前の準備が必要です。また、提出書類も多岐にわたるため、公募要領を熟読し、計画的に進めましょう。

主な必要書類（例）

申請する事業や対象者によって異なりますが、一般的に以下の書類が必要となります。

• 直近事業年度の事業報告書の写し（損益計算書、貸借対照表など）
• 導入する機器の見積書、納品書、領収書の写し
• 自動車検査証記録事項の写し
• 振込先が確認できる通帳の写しなど
• （リース事業者の場合）賃貸借契約書の写しなど

注意：必ず申請する事業の最新の公募要領を確認し、指定された様式で書類を準備してください。

まとめ：安全投資を加速させるチャンス！

「被害者保護増進等事業費補助金」は、運送・整備事業者の安全対策と業務効率化を強力に後押しする制度です。デジタコ、ドラレコ、ASV、スキャンツールなどの導入は、事故防止だけでなく、ドライバーの負担軽減や企業の信頼性向上にも繋がります。

複数の事業が同時に動いているため少し複雑に見えますが、自社の課題に合った支援策を見つけ、積極的に活用しましょう。まずは公式サイトで詳細を確認し、早めの準備に取り掛かることをお勧めします。