はじめに:なぜ今、CO2排出量の算定が重要なのか?
企業の環境対応がますます問われる時代、CO₂排出量の算定と可視化は、サステナブル経営に欠かせない重要なステップとなっています。近年、取引先や金融機関から温室効果ガス排出量の開示を求められる機会も増加しており、対応が遅れると商機を逃すリスクも否定できません。
この記事のポイント
- 脱炭素経営の第一歩:CO2排出量の正確な把握が、効果的な削減目標設定につながります。
- ビジネスチャンスの拡大:環境への取り組みをアピールし、企業価値と信頼性を向上させます。
- コスト削減の実現:補助金を活用し、システム導入の初期費用を大幅に軽減できます。
しかし、正確な算定には専門的な知識や多くの工数が必要であり、特に中小企業にとっては大きな負担となり得ます。そこで注目されているのが、CO₂排出量を自動で算定・可視化できるシステムの導入です。
この記事では、こうしたシステムの導入に対し、全国の自治体が交付している補助金制度について、令和7年度(2025年度)の最新情報を網羅的に紹介します。経済合理性と環境責任の両立を目指す企業にとって、有益な支援策となるはずです。
CO2排出量算定システムとは?
CO₂排出量算定システムとは、企業の事業活動に伴って排出される温室効果ガスをCO₂に換算し、定量的に把握・可視化するためのツールです。カーボンニュートラルへの取り組みが求められる中、こうしたシステムは、サステナブル経営の基盤として注目を集めています。
排出量の算定には複雑な知識や煩雑な作業が必要ですが、システムを導入することで、算定作業の負担を軽減しつつ、外部への情報提供にも迅速に対応できる体制を整えることが可能になります。
【令和7年度】CO2排出量算定システム導入に活用できる補助金一覧
ここでは、令和7年度(2025年度)に実施が予定されている、または実施中のCO2排出量算定システム導入に関する補助金を紹介します。
※多くの自治体で、令和7年度の予算化が決定していますが、詳細な要件は令和6年度のものを参考に記載しています。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
北海道 旭川市
補助金名:旭川市中小企業者温室効果ガス排出量可視化支援事業補助金
対象者 | 市内に事業所を有する中小事業者 |
補助額 | 月額使用料 最大6か月分(上限1万円/月) |
備考 | 令和7年度も継続予定。上記は令和6年度の概要です。 |
埼玉県 狭山市
補助金名:狭山市中小企業等温室効果ガス排出量可視化補助金
対象者 | 市内に事業所を有する中小企業者または小規模事業者 |
補助額 | 上限25万円 |
埼玉県 戸田市
補助金名:戸田市中小企業カーボンニュートラル促進事業費補助金
対象者 | 戸田市内で事業を営む法人又は個人(市税の滞納がない者) |
補助額 | 上限12万円 |
長野県 長野市
補助金名:長野市温室効果ガス排出量見える化・削減支援事業補助金
対象者 | 市内に事業所を有する事業者 |
補助額 | 年額利用料の1/3(上限10万円) |
備考 | 令和7年度も予算化。長野地域脱炭素実現推進協議会への加入が必要。 |
静岡県
補助金名:GHG排出量算定サービス導入補助金
対象者 | 県内の中小事業者(その他要件あり) |
補助額 | 対象経費の1/2以内(上限5万円) |
備考 | 静岡県企業脱炭素化推進フォーラムへの登録が必要。 |
兵庫県
補助金名:GHG排出量算定サービス導入補助金制度
対象者 | 県内の事業者(エネルギー使用量要件あり) |
補助額 | 対象経費の1/2以内(上限1万円/月) |
兵庫県 宍粟市
補助金名:排出量見える化事業 補助金(宍粟市温室効果ガス排出量見える化ツール導入支援事業)
対象者 | 市内に事業所を有する中小事業者 |
申請期間 | 2025年4月1日〜2026年1月30日 |
備考 | 兵庫県の制度と併用可能で、追加の補助が受けられます。 |
広島県 福山市
補助金名:福山市二酸化炭素排出管理支援事業
対象者 | 市内に事業所を有する中小事業者 |
補助額 | 対象経費の2/3(上限25万円) |
申請期間 | 2024年12月20日〜2026年1月31日 |
備考 | システム導入費に加え、コンサルタント料も対象となる点が特徴です。 |
三重県 松阪市
補助金名:中小企業カーボンニュートラル推進補助金
対象者 | 市内に事業所を有する中小事業者 |
補助率 | 対象経費の1/2以内 |
備考 | 省エネ診断や省エネ機器導入など、対象範囲が広い補助金です。 |
福岡県 古賀市
補助金名:古賀市温室効果ガス排出量可視化システム導入費補助事業
対象者 | 市内の中堅・中小事業所 |
補助額 | 対象経費の1/2以内(上限10万円) |
備考 | 令和7年度も予算化。上記は令和6年度の概要です。 |
まとめ:補助金を活用して脱炭素経営への一歩を
今回は、CO2排出量算定システムの導入に活用できる全国の補助金をご紹介しました。対象となりそうな補助金はありましたでしょうか。
算定に関してわからないことや、システムを導入するにしても人員が足りないなど、他にも課題が出てくることもあるかと思います。自社に最適な補助金の選定や、複雑な申請手続きに不安を感じる事業者様も少なくありません。