事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編といった思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する大型の補助金です。本記事では、この注目の補助金について、概要から申請のポイントまで詳しく解説します。
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待しづらい中、経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することを目的としています。単なる設備投資だけでなく、ビジネスモデルそのものの変革を促す点が大きな特徴です。
補助対象となる5つの事業類型
- ✓新市場進出(新分野展開): 主力事業は変えずに、新たな製品・サービスで新たな市場に進出する。
- ✓事業転換: 主力事業を新たな製品・サービスに転換する。
- ✓業種転換: 主力事業の業種を転換する。
- ✓業態転換: 製品・サービスの提供方法を大きく変更する。(例:店舗販売からオンライン販売へ)
- ✓事業再編: 会社法上の組織再編行為等を行い、新たな事業形態のもとに新市場進出等を行う。
【早見表】主要な申請枠と補助額・補助率
事業再構築補助金には複数の申請枠があり、それぞれ補助上限額や補助率が異なります。ここでは代表的な枠をご紹介します。(※公募回によって内容は変更される可能性があります)
申請枠 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
成長枠 | 最大7,000万円 | 中小 1/2 (賃上達成で 2/3) |
グリーン成長枠 | 最大1.5億円 | 中小 1/2 (賃上達成で 2/3) |
産業構造転換枠 | 最大7,000万円 | 中小 2/3 |
サプライチェーン強靱化枠 | 最大5億円 | 中小 1/2 |
補助対象となる主な経費
事業計画の実行に必要な幅広い経費が補助対象となります。
- 建物費(建物の建築・改修、撤去費など)
- 機械装置・システム構築費(設備、専用ソフトウェアの購入やリースなど)
- 技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
- 専門家経費(事業遂行のためのコンサルティング費用など)
- 広告宣伝・販売促進費(新製品・サービスの広報活動費用)
- 研修費(教育訓練や講座受講など)
【注意】対象外となる経費
汎用性の高いパソコンやスマートフォン、車両、不動産の購入費、販売する商品の原材料費などは原則として対象外です。詳細は公募要領を必ず確認してください。
申請の必須要件
事業再構築補助金に申請するためには、主に以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 事業再構築指針への適合
経済産業省が示す「事業再構築指針」の定義に該当する事業であること。 - 認定経営革新等支援機関との連携
事業計画を金融機関や税理士、コンサルタントなどの「認定経営革新等支援機関」と一緒に策定すること。 - 付加価値額の向上
補助事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%~5.0%以上増加(申請枠により異なる)などの目標を達成する事業計画であること。
申請から採択までの流れ【5ステップ】
申請は電子申請システム「jGrants」を利用して行います。事前に準備を進めましょう。
- GビズIDプライムアカウントの取得
電子申請に必須のアカウントです。取得には2~3週間かかる場合があるため、早めに手続きしましょう。 - 認定経営革新等支援機関との相談・事業計画策定
事業の方向性を固め、専門家と共に具体的で説得力のある事業計画書を作成します。 - 電子申請システム(jGrants)での申請
公募期間内に、作成した事業計画書や必要書類をjGrantsから提出します。 - 審査・採択発表
専門家による審査が行われ、採択結果が公式サイトで公表されます。 - 交付申請・事業実施
採択後、交付申請手続きを経て補助事業を開始します。
採択率を高める3つの重要ポイント
事業再構築補助金は、申請すれば誰でも採択されるわけではありません。採択を勝ち取るためには、質の高い事業計画が不可欠です。
1. 事業の革新性と市場の成長性
既存事業の延長線上ではなく、革新的なビジネスモデルであること、そして参入する市場に成長性が見込めることを明確に示す必要があります。
2. 具体的で実現可能性の高い事業計画
「誰に」「何を」「どのように」提供するのか、具体的な事業内容、資金計画、実施体制などを詳細に記述し、計画の実現可能性が高いことをアピールすることが重要です。審査員が事業の成功イメージを具体的に描けるような計画書を目指しましょう。
3. 認定経営革新等支援機関との連携
申請の必須要件でもある認定支援機関との連携は、採択の鍵を握ります。自社の事業を深く理解し、客観的な視点から的確なアドバイスをくれるパートナーを見つけることが、質の高い事業計画策定につながります。
まとめ
事業再構築補助金は、企業の未来を切り拓く大きなチャンスとなる制度です。補助額が大きい分、事業計画の策定には時間と労力がかかりますが、自社の経営を見つめ直し、新たな成長戦略を描く絶好の機会でもあります。公募要領は毎回更新されるため、最新情報を公式サイトで確認し、信頼できる専門家と連携しながら、ぜひこの機会に挑戦を検討してみてはいかがでしょうか。