詳細情報
発達障害や難病を抱える方の雇用を検討中の事業主様へ。「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」は、そのような意欲ある人材の雇用を後押しする強力な制度です。本記事では、中小企業なら最大120万円が支給されるこの助成金について、対象者、支給要件、金額、申請方法、注意点を網羅的に、そして分かりやすく解説します。
特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)とは?
この助成金は、発達障害や難病のある方を、ハローワーク等の紹介により継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対して、賃金の一部を助成する制度です。目的は、就職が特に困難な方々の職業生活の安定を図ることにあります。事業主にとっては、採用コストの負担を軽減し、多様な人材を確保する大きなチャンスとなります。
助成金の対象となる労働者
助成金の対象となるのは、以下のいずれかに該当する方です。
- 発達障害者:発達障害者支援法第2条に規定される発達障害のある方(例:自閉症スペクトラム、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)など)。精神障害者保健福祉手帳の所持は必須ではありませんが、専門の医師による診断書など、発達障害者であることを確認できる書類が必要です。
- 難治性疾患患者:いわゆる「難病」のある方。具体的には、難病の患者に対する医療等に関する法律第5条第1項に規定される指定難病の患者が該当します。
【重要】これらの対象者を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れることが必須条件です。
助成金の支給要件
助成金を受給するためには、事業主が以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 雇用保険の適用事業主であること。
- 対象労働者を継続して雇用することが確実であると認められること。(1週間の所定労働時間が20時間以上の無期雇用または1年以上の有期雇用)
- 対象労働者の雇入れ日の前後6か月間に、事業主都合による従業員の解雇をしていないこと。
- 対象労働者の出勤状況や賃金の支払い状況等を明らかにする書類(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿など)を整備・保管していること。
- 過去に助成金の不正受給がないことなど、その他の要件を満たしていること。
支給額はいくら?【中小企業は最大120万円】
支給額は、企業規模と対象労働者の週所定労働時間によって異なります。支給は6か月ごとに行われます。
| 対象労働者 | 企業規模 | 支給期間 | 支給額(1期あたり) | 支給総額 |
|---|---|---|---|---|
| 週30時間以上 | 中小企業 | 2年(4期) | 30万円 | 120万円 |
| 中小企業以外 | 1年(2期) | 25万円 | 50万円 | |
| 週20時間以上30時間未満 | 中小企業 | 2年(4期) | 20万円 | 80万円 |
| 中小企業以外 | 1年(2期) | 15万円 | 30万円 |
※中小企業の範囲は、業種ごとに資本金の額または常時使用する労働者数で定められています。詳細は管轄の労働局にご確認ください。
申請の流れと手続き方法
申請は、以下のステップで進めます。
Step 1: 求人申し込み
ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等に求人を申し込み、紹介を依頼します。
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Step 2: 雇い入れ
紹介された対象労働者を、雇用保険の一般被保険者として雇い入れます。
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Step 3: 支給申請(第1期)
支給対象期(雇入れ日から6か月)の末日の翌日から2か月以内に、管轄の労働局へ支給申請書と必要書類を提出します。
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Step 4: 支給決定・受給
審査後、支給が決定されると助成金が振り込まれます。以降、6か月ごとに申請を繰り返します。
申請時の注意点
- 申請期限の厳守:支給対象期の末日の翌日から2か月という申請期限は厳格です。1日でも過ぎると受理されませんので、計画的に準備を進めましょう。
- 書類の不備:賃金台帳や出勤簿など、法定三帳簿の整備は必須です。記載内容に不備がないか、事前にしっかり確認してください。
- 紹介ルートの確認:必ずハローワーク等の紹介を経る必要があります。自己応募や縁故採用は対象外となるため注意が必要です。
まとめ
「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」は、発達障害や難病のある方の雇用を促進し、企業のダイバーシティ経営を支援する非常に有益な制度です。要件を満たせば、中小企業では最大120万円の助成を受けることができ、人材確保と経営基盤の強化に繋がります。
手続きに不安がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談するのも一つの方法です。この機会にぜひ助成金の活用を検討し、多様な人材が活躍できる職場環境づくりを目指してみてはいかがでしょうか。