詳細情報
この記事のポイント
- 障害者雇用におけるミスマッチを防ぐ「障害者トライアル雇用助成金」の概要がわかる
- 「障害者トライアルコース」と「障害者短時間トライアルコース」の具体的な違いを理解できる
- 対象者、受給額、期間、申請手続きの流れなど、制度活用のための必須情報を網羅できる
- テレワークでの活用方法や申請時の注意点もわかる
障害者トライアル雇用助成金とは?
障害者トライアル雇用助成金は、障害のある方を常用雇用へ移行することを目的に、事業主が一定期間試行的に雇用(トライアル雇用)する際に支給される助成金です。この制度は、求職者と事業主の相互理解を深め、雇用のミスマッチを防ぐことを目的としています。事業主は、対象者の適性や業務遂行能力を実際に見極めた上で常用雇用を判断できるため、安心して障害者雇用を進めることができます。
本制度には、労働時間や対象者の特性に応じて「障害者トライアルコース」と「障害者短時間トライアルコース」の2つのコースが用意されています。
2つのコースの比較
2つのコースの主な違いを以下の表にまとめました。どちらのコースが自社の状況に適しているか確認しましょう。
| 項目 | 障害者トライアルコース | 障害者短時間トライアルコース |
|---|---|---|
| 対象労働者 | 就労経験のない職業を希望する方、離転職を繰り返している方、重度身体・知的障害者、精神障害者など | 精神障害者、発達障害者 |
| トライアル期間 | 原則3か月 ※精神障害者は最長6か月(テレワークの場合は最長12か月) |
3か月から12か月 |
| 支給額(月額) | 精神障害者: 月額最大8万円(3か月) + 月額最大4万円(3か月) その他: 月額最大4万円(最長3か月) |
月額最大4万円 |
| 週の所定労働時間 | 20時間以上 | 開始時:10時間以上20時間未満 ※期間中に20時間以上を目指す |
【詳細】障害者トライアルコース
概要と目的
就職が困難な障害者を一定期間試行的に雇用することで、適性や業務遂行能力を見極め、常用雇用への移行を促進することを目的としています。
対象となる労働者
継続雇用を希望し、本制度を理解している障害者の方で、以下のいずれかに該当する方が対象です。
- 紹介日において就労経験のない職業に就くことを希望する者
- 紹介日前2年以内に、離職または転職を2回以上繰り返している者
- 紹介日前において離職している期間が6か月を超えている者
- 重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者
支給額と期間
- 精神障害者を雇用する場合:
月額最大8万円を3か月、その後月額最大4万円を3か月(最長6か月間) - 上記以外の場合:
月額最大4万円(最長3か月間)
※令和3年4月1日から、テレワークによる勤務を行う場合は、トライアル雇用期間を6か月まで延長可能です。
【詳細】障害者短時間トライアルコース
概要と目的
特に精神障害や発達障害のある方で、長時間の勤務に不安がある方を対象に、週10時間以上20時間未満の短い時間から始め、職場適応状況や体調に応じて徐々に勤務時間を延ばし、週20時間以上の勤務を目指すことを目的としています。
対象となる労働者
継続雇用を希望し、本制度を理解している精神障害者または発達障害者が対象となります。
支給額と期間
- 支給額: 支給対象者1人につき月額最大4万円
- 期間: 最長12か月間
申請から受給までの流れ
助成金を受給するための基本的な流れは以下の通りです。
- STEP 1: 求人の提出
ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等に、トライアル雇用求人を提出します。 - STEP 2: 対象者の紹介・選考
ハローワーク等から対象者の要件を満たす求職者の紹介を受け、面接等により選考します。 - STEP 3: 雇入れ・実施計画書の提出
対象者を雇い入れ、トライアル雇用を開始します。開始日から2週間以内に「障害者トライアル雇用等実施計画書」を管轄のハローワーク等に提出します。 - STEP 4: トライアル雇用期間の実施
計画書に基づき、トライアル雇用を実施します。 - STEP 5: 支給申請
トライアル雇用期間の終了日の翌日から起算して2か月以内に、「結果報告書 兼 支給申請書」に必要な書類を添えて、管轄の労働局に提出します。 - STEP 6: 助成金の受給
審査後、助成金が支給されます。
申請に必要な書類
申請には主に以下の書類が必要です。最新の様式は厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできます。
- 障害者トライアル雇用等実施計画書
- 障害者トライアル雇用等結果報告書 兼 支給申請書
- 雇用契約書または雇入れ通知書の写し
- 出勤簿またはタイムカードの写し
- 賃金台帳の写し
- その他、労働局が指定する書類
申請様式のダウンロードや詳細については、最寄りの都道府県労働局またはハローワークにお問い合わせください。
まとめ
障害者トライアル雇用助成金は、障害者雇用の第一歩を踏み出す事業主にとって、非常に心強い制度です。試行雇用期間を設けることで、採用後のミスマッチのリスクを低減し、安定した雇用へと繋げることができます。2つのコースの特徴を理解し、自社のニーズに合った制度を活用して、多様な人材が活躍できる職場環境づくりを進めましょう。