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国が推進する医療DXの中核「電子カルテ情報共有サービス」。その導入を支援するため、最大657万円が支給される補助金(医療提供体制設備整備交付金)が公募されています。この記事では、補助金の概要から対象者、申請方法まで、医療機関の皆様が知りたい情報を分かりやすく解説します。
電子カルテ情報共有サービスとは?
電子カルテ情報共有サービスは、政府が推進する「医療DX」の基盤となる「全国医療情報プラットフォーム」の一環です。このサービスにより、全国の医療機関や薬局が患者の同意のもと、電子カルテ情報を安全に共有・閲覧できるようになります。
具体的には、以下の4つのサービスが提供されます。
- 診療情報提供書等の共有:紹介状や退院時サマリーを電子的に共有し、医療機関間の連携をスムーズにします。
- 健診結果の閲覧:医療保険者が保有する過去の健診結果を、患者本人や医療機関が閲覧できます。
- 6情報(傷病名、アレルギー、感染症、薬剤禁忌、検査、処方)の閲覧:救急時など、迅速な対応が必要な場面で患者の重要な医療情報を確認できます。
- 患者サマリーの閲覧:患者本人が自身の医療情報を確認できます。
このサービスの導入は、医療の質の向上、重複投薬・検査の防止、患者の負担軽減、そして医療従事者の業務効率化に大きく貢献することが期待されています。
補助金(医療提供体制設備整備交付金)の概要
電子カルテ情報共有サービスの導入には、システムの改修や新規導入が必要です。その費用負担を軽減するため、国は「医療提供体制設備整備交付金」による補助制度を設けています。以下にその概要をまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金(医療提供体制設備整備交付金) |
| 実施機関 | 社会保険診療報酬支払基金 |
| 申請期間 | 2024年3月1日 〜 2031年9月30日 |
| 補助上限額 | 最大 657万9,000円 ※施設の規模(病床数など)により上限額は変動します。 |
| 補助率 | 1/2 |
| 対象事業者 | 病院、診療所、薬局等の保険医療機関・保険薬局 |
| 対象経費 | 電子カルテ情報共有サービスに対応するためのシステム購入費、システム構築費など |
施設規模による補助上限額の詳細
補助上限額は、施設の規模によって細かく設定されています。例えば、診療所や薬局の場合は最大42.9万円、病床数が多い病院ほど上限額が高くなります。自院がどの区分に該当するか、事前に公式サイトで確認することが重要です。
申請方法と流れ
補助金の申請は、オンラインで行います。大まかな流れは以下の通りです。
- 対応ベンダーの確認:現在利用している、または導入を検討している電子カルテシステムが、本サービスに対応しているかを確認します。厚生労働省のサイトに対応ベンダーリストが公開されています。
- ポータルサイトで利用申請:社会保険診療報酬支払基金が運営する「医療機関等向け総合ポータルサイト」から、電子カルテ情報共有サービスの利用申請を行います。
- 補助金申請:同ポータルサイトから、補助金の交付申請を行います。システムの導入・改修にかかる見積書などが必要となります。
- システム改修・導入:補助金の交付決定後、ベンダーと契約し、システムの改修や導入作業を進めます。
- 実績報告と補助金受給:事業完了後、実績報告書を提出します。内容が審査され、問題がなければ補助金が交付されます。
申請手続きの詳細は、以下の公式サイトやポータルサイトで必ずご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. どのベンダーのシステムでも補助対象になりますか?
A1. 厚生労働省が公開している「本サービスに対応しているシステムベンダ」のリストに掲載されている製品が基本となります。導入前に必ずリストを確認してください。
Q2. 補助金の問い合わせはどこにすればよいですか?
A2. 補助金に関する問い合わせは、下記のコールセンターで受け付けています。
オンライン資格確認等コールセンター
電話番号: 0800-080-4583(通話料無料)
Q3. 申請期間が長いですが、いつまでに申請すべきですか?
A3. 申請期間は2031年までと長いですが、予算には限りがある可能性があります。また、医療DXは今後ますます重要になるため、早期の導入と申請を検討することをおすすめします。
まとめ
電子カルテ情報共有サービスは、今後の地域医療連携に不可欠なインフラです。この導入を力強く後押しする「医療提供体制設備整備交付金」は、医療機関にとって大きなメリットがあります。申請期間は長いですが、計画的な準備が必要です。本記事を参考に、ぜひ補助金を活用した医療DXの推進をご検討ください。