この記事のポイント
- 中小企業のサイバーセキュリティ対策費用を支援する国の補助金制度
- 補助額は5万円~最大150万円、補助率は最大2/3
- 対象はIPA認定の「サイバーセキュリティお助け隊サービス」利用料(最大2年分)
- 申請にはIT導入支援事業者との連携が必須
近年、企業を狙ったサイバー攻撃は巧妙化・増加しており、中小企業も例外ではありません。しかし、「セキュリティ対策にコストをかけられない」「何から始めればいいかわからない」といった悩みを抱える経営者の方も多いのではないでしょうか。そんな中小企業・小規模事業者の強力な味方となるのが「IT導入補助金2025(セキュリティ対策推進枠)」です。本記事では、この補助金の概要から対象者、申請方法までを分かりやすく解説します。
IT導入補助金2025(セキュリティ対策推進枠)とは?
IT導入補助金2025(セキュリティ対策推進枠)は、中小企業・小規模事業者がサイバー攻撃の脅威に対処し、事業を継続していくためのセキュリティ対策導入を支援する制度です。具体的には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が定める「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の利用料(最大2年分)の一部を補助することで、企業のセキュリティレベル向上と生産性向上を後押しすることを目的としています。
補助対象となる事業者
日本国内で事業を営む中小企業・小規模事業者が対象です。資本金や従業員数によって定義が異なりますので、自社が該当するか確認しましょう。
中小企業の定義
| 業種分類 | 資本金の額又は出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
※医療法人、社会福祉法人、学校法人なども対象に含まれます。
小規模事業者の定義
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く): 常時使用する従業員の数が5人以下
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業: 常時使用する従業員の数が20人以下
- 製造業その他: 常時使用する従業員の数が20人以下
補助額と補助率
補助額と補助率は事業者の規模によって異なります。
- 補助額: 5万円 ~ 150万円
- 補助率:
- 中小企業: 1/2以内
- 小規模事業者: 2/3以内
補助対象となるITツール
補助の対象となるのは、IPAが公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのみです。このサービスは、セキュリティに関する相談窓口、異常の監視、インシデント発生時の初動対応などをワンパッケージで提供するものです。補助対象経費は、このサービスの利用料(最大2年分)となります。
対象となるサービスは公式サイトで確認できます。
申請スケジュール
IT導入補助金は、年に複数回の締切が設けられています。現在公募中のスケジュールは以下の通りです。
- 6次締切分 締切日: 2025年10月31日(金)17:00
- 交付決定日: 2025年12月11日(木)(予定)
※締切は今後も追加される可能性があります。必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
申請の流れと必要書類
申請は、事業者単独ではなく「IT導入支援事業者」と共同で行う必要があります。大まかな流れは以下の通りです。
- 事前準備: 「GビズIDプライム」の取得と「SECURITY ACTION」の一つ星または二つ星宣言を行います。
- IT導入支援事業者・ツールの選定: 自社の課題に合ったIT導入支援事業者と、補助対象のITツールを選定します。
- 交付申請: IT導入支援事業者から「申請マイページ」への招待を受け、必要情報を入力し、共同で申請書を作成・提出します。
- 交付決定・事業実施: 交付決定通知を受けた後、ITツールの契約・導入・支払いを行います。(交付決定前の契約は補助対象外)
- 事業実績報告: 支払い実績などがわかる証憑を提出します。
- 補助金交付: 報告内容が確定した後、補助金が交付されます。
- 事業実施効果報告: 導入後の効果について、定められた期間に報告が必要です。
主な必要書類
- 法人の場合:
- 履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内)
- 法人税の納税証明書(その1またはその2)
- 個人事業主の場合:
- 運転免許証または住民票など本人確認書類
- 所得税の納税証明書(その1またはその2)
- 税務署受付印のある直近の確定申告書Bの控え
採択率を高めるポイント(加点項目)
審査では、以下の項目に取り組んでいる事業者が加点評価されます。可能な範囲で対応し、採択の可能性を高めましょう。
- 賃上げ目標の計画・実行: 事業場内最低賃金の引き上げや給与支給総額の増加計画を策定し、従業員に表明する。
- SECURITY ACTION「★★二つ星」の宣言: 一つ星が申請要件ですが、二つ星を宣言すると加点対象になります。
- 地域未来牽引企業に選定されている。
- 健康経営優良法人2025に認定されている。
- 女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」や次世代法に基づく「くるみん認定」を受けている。
まとめ
IT導入補助金2025(セキュリティ対策推進枠)は、コストを抑えながら本格的なサイバーセキュリティ対策を導入できる絶好の機会です。サイバー攻撃のリスクから自社を守り、安全な事業環境を構築するために、本補助金の活用をぜひご検討ください。まずは公式サイトで詳細を確認し、信頼できるIT導入支援事業者に相談することから始めましょう。
対象者・対象事業
日本国内で事業を営む中小企業・小規模事業者等。業種ごとに定められた資本金・従業員数の要件を満たす必要があります。医療法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人なども対象です。
必要書類(詳細)
【法人の場合】
・履歴事項全部証明書(発行から3カ月以内のもの)
・税務署で発行された直近分の法人税の納税証明書(「その1」若しくは「その2」)
【個人事業主の場合】
・運転免許証(有効期限内のもの)、運転経歴証明書若しくは住民票(発行から3カ月以内のもの)
・税務署で発行された直近分の所得税の納税証明書(「その1」若しくは「その2」)
・税務署が受領した直近分の確定申告書の控え
対象経費(詳細)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されており、かつIT導入支援事業者が提供し事務局に登録されたサービスの利用料(最大2年分)。