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2025年度最新情報!厚生労働省の「産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)」は、在籍型出向を活用して従業員のスキルアップを図る企業を強力に支援する制度です。この記事では、最大1,000万円が助成される本制度の対象者、助成額、申請方法、必要書類まで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)とは?
産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)は、景気の変動や産業構造の変化といった経済上の理由により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図る目的で「在籍型出向」制度を活用し、従業員に新たなスキルを習得させる場合に、その出向にかかる費用の一部を国が助成する制度です。
この制度の最大の目的は、単に雇用を守るだけでなく、出向を通じて従業員が新たな知識や技能を身につける「リスキリング」を促進し、将来的な事業展開や生産性向上に繋げることにあります。いわば、守りの雇用維持と攻めの人材育成を同時に実現するための、非常に有効な助成金と言えるでしょう。
在籍型出向とは?
在籍型出向とは、従業員が出向元企業との雇用契約を維持したまま、別の企業(出向先企業)で一定期間就業する形態を指します。この助成金では、この仕組みを利用して、異業種や新たな技術を持つ企業で実践的な訓練を受けることが想定されています。
助成金の対象となる事業主(対象者)
本助成金を利用するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 雇用保険の適用事業主であること。
- 経済上の理由(生産量・売上高の減少など)により、事業活動の一時的な縮小を余儀なくされていること。
- 在籍型出向により、従業員の雇用を維持する事業者であること。
- 出向元と出向先が、資本的・経済的・組織的関連性などからみて独立性が認められること。(親子会社や関連会社間の出向は原則対象外)
- 出向計画を事前に労働局に提出し、認定を受けていること。
助成額と助成率について
助成額は、出向元事業主が負担した「出向運営経費」と「出向初期経費」の合計額となります。上限は1人1日あたり8,870円、1事業所あたり年間最大1,000万円です。
1. 出向運営経費(賃金負担額への助成)
出向中に支払われる賃金のうち、出向元事業主が負担した費用に対して助成されます。
- 中小企業:3分の2
- 大企業:2分の1
※事業活動の状況に関する要件を満たす場合は、助成率が上乗せされる特例があります。
2. 出向初期経費(教育訓練費への助成)
出向に際して、就業規則の整備、出向契約書の作成、出向者への教育訓練(Off-JT)などを行った場合に、初期費用が加算されます。
- 助成額:1人あたり10万円(定額)
申請の流れ(ステップ解説)
申請は、出向を開始する前に計画を提出する必要があります。大まかな流れは以下の通りです。
- STEP 1:出向計画届の作成・提出
出向の開始日から起算して1か月前までに、管轄の労働局またはハローワークへ「出向計画届」を提出します。 - STEP 2:出向の実施
計画の認定を受けた後、計画通りに在籍型出向(スキルアップ訓練)を実施します。 - STEP 3:支給申請
支給対象期間の末日の翌日から2か月以内に、必要書類を添えて「支給申請書」を提出します。 - STEP 4:審査・支給決定
労働局での審査後、支給が決定されると助成金が振り込まれます。
申請に必要な主な書類
申請には多くの書類が必要です。事前に準備を整えておきましょう。
- 産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)出向計画届
- 事業活動の状況に関する申出書
- 出向元と出向先の間の出向契約書(協定書)
- 出向労働者の労働条件通知書(出向元・出向先)
- スキルアップのための訓練カリキュラム、計画書
- 支給申請書、助成額算定書
- 出勤簿、タイムカード
- 賃金台帳、給与明細の写し
※上記は一例です。詳細は必ず管轄の労働局にご確認ください。
まとめ:人材育成と雇用維持を両立させる切り札
「産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)」は、厳しい経済状況を乗り越え、企業の未来を担う人材を育成するための強力な支援策です。在籍型出向という仕組みをうまく活用することで、コストを抑えながら従業員の能力開発とモチベーション向上を実現できます。
2025年度の申請に向けて、今から準備を始めることが成功の鍵です。自社が対象になるか、どのようなスキルアップが可能か、ぜひ一度、管轄の労働局や専門家にご相談ください。この機会を最大限に活用し、企業の持続的な成長へと繋げましょう。