「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」などの特殊詐欺被害を防ぐため、多くの自治体が「迷惑電話防止機能付き電話機」の導入費用を補助しています。通話内容の自動録音や警告メッセージ機能を持つ電話機は、犯行を断念させる効果が高く、高齢者の安全を守る有効な手段です。
本記事では、2025年度(令和7年度)における迷惑電話防止電話機の購入補助金制度について、対象者、補助金額の相場、申請手順などを解説します。
■ この記事のポイント
✅ 全国の多くの自治体が電話機購入費の補助制度を実施中
✅ 補助上限は5,000円〜10,000円、購入費の1/2〜3/4が一般的
✅ 主な対象は65歳以上の高齢者が居住する世帯
✅ 購入後の事後申請(償還払い)が基本
✅ 予算上限に達し次第終了となるため早めの申請が重要
迷惑電話防止電話機購入補助金の概要
この制度は、市区町村や都道府県が主体となって実施する「特殊詐欺被害防止対策事業」の一環です。固定電話を主な連絡手段とする高齢者を狙った詐欺被害を、機器の導入によって水際で防止することを目的としています。
実施主体はあくまで各自治体であるため、お住まいの地域によって制度の有無や名称(例:「特殊詐欺対策機器購入費補助金」など)が異なります。
補助金額と補助率の相場
補助金額や補助率は自治体により異なりますが、一般的に購入費用の「2分の1」から「4分の3」程度が補助され、上限額は5,000円から10,000円程度に設定されているケースが大半です。
以下は自治体ごとの実施例です。
| 自治体名(例) | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 神奈川県 清川村 | 購入経費の3/4 | 10,000円 |
| 愛知県 豊田市 | 購入経費の1/2 | 7,000円 |
| 神奈川県 横須賀市 | 購入金額の1/2 | 5,000円 |
計算例(補助率1/2、上限7,000円の場合)
12,000円(税込)の電話機を購入した場合:
12,000円 × 1/2 = 6,000円 が補助されます。
20,000円(税込)の電話機を購入した場合:
20,000円 × 1/2 = 10,000円となりますが、上限額が適用されるため 7,000円 が補助されます。
補助対象となる機器と経費
対象機器の機能要件
単なる電話機ではなく、防犯機能を有していることが必須条件です。主に以下の機能を持つ固定電話機や外付け機器が対象となります。
- 自動応答録音機能:着信時に「この通話は録音されます」等の警告メッセージを流し、通話内容を自動で録音する機能。
- 着信拒否機能:迷惑電話番号データベースと照合し、該当する番号からの着信を自動で遮断または警告する機能。
機種選定に迷う場合は、「公益財団法人全国防犯協会連合会」が公表している「優良防犯電話推奨品目録」に掲載されている製品を選ぶと確実です。
対象外となる経費
補助対象は基本的に「機器本体の購入費用(税込)」のみです。以下は対象外となるケースが多いためご注意ください。
- 設置工事費、送料、代引き手数料
- 延長保証料、付属品(SDカード等)の代金
- ポイント利用分やクーポン割引分
申請方法と手順
一般的に、機器を購入した後に申請を行う「償還払い(後払い)」方式が採用されています。
- 制度確認と購入:自治体の条件を確認し、対象となる機器を新品で購入します。必ず領収書を受け取ってください。
- 書類準備:申請書、領収書、本人確認書類などを揃えます。
- 申請提出:窓口への持参または郵送で提出します。
- 審査・交付決定:自治体の審査を経て、交付決定通知が届きます。
- 振込:指定口座に補助金が振り込まれます。
■ 必須書類の例
・交付申請書(自治体指定様式)
・領収書の原本または写し(購入日、購入店、品番、金額、申請者氏名が記載されたもの)
・機器の機能がわかるカタログや説明書の写し
・本人確認書類および振込先口座のわかるもの
よくある質問(FAQ)
まとめ
迷惑電話防止機能付き電話機の購入補助金は、高齢者を特殊詐欺から守るための経済的負担を軽減する有用な制度です。2025年度も多くの自治体で実施が見込まれますが、予算には限りがあります。
導入を検討されている方は、まずお住まいの自治体のウェブサイトで最新情報を確認し、要件に合う機器を選定した上で、早めに申請手続きを行うことをお勧めします。