「地方に新しい拠点を持ちたいけれど、いきなり進出するのはリスクが高い…」
「北海道でのサテライトオフィス開設に興味があるが、まずは現地の雰囲気を確かめたい」
このようなお悩みを持つ、3大都市圏の企業経営者や事業責任者の皆様に朗報です。北海道長沼町では、本社機能の移転やサテライトオフィスの開設を検討している企業を対象に、現地視察にかかる費用を補助する「長沼町お試しサテライトオフィス推進事業補助金」を実施しています。この制度を活用すれば、1人あたり最大5万円、1社あたり最大15万円の支援を受けながら、北海道での新たなビジネスの可能性を低コストで探ることが可能です。この記事では、補助金の詳細な内容から申請方法、採択のポイントまで、専門家が徹底的に解説します。
この記事でわかること
- 長沼町お試しサテライトオフィス補助金の詳しい内容
- 補助対象となる企業や経費の具体的な条件
- 申請から補助金受け取りまでの具体的なステップ
- 申請で失敗しないための採択のポイントと注意点
長沼町お試しサテライトオフィス推進事業補助金とは?
補助金の目的と背景
この補助金は、都市部の企業が北海道長沼町への本社機能移転やサテライトオフィス開設を検討する際に行う現地視察の費用を支援することを目的としています。近年、国全体でテレワークやワーケーションが推進され、地方への新しい人の流れを創出する「サテライトオフィス」が注目されています。長沼町もこの流れを捉え、企業の進出を促進することで、町内の産業振興と新たな雇用機会の創出を目指しています。将来的な企業立地を見据え、まずは長沼町の魅力を実際に体感してもらうための、いわば「お試し」をサポートする制度です。
制度の概要(早見表)
| 正式名称 | 長沼町お試しサテライトオフィス推進事業補助金 |
| 実施組織 | 北海道長沼町 |
| 補助金額 | 1人あたり上限5万円、1社あたり上限15万円(3人分まで) |
| 補助率 | 対象経費の実費分(10/10) |
| 対象者 | 3大都市圏に本社等を有する法人 |
| 対象経費 | 交通費、宿泊費、ワークスペース利用料 |
| 申請期間 | 令和6年7月1日~令和8年3月31日 |
| 申請タイミング | 視察事業を実施する14日前までに申請が必要 |
補助金額と補助率について
補助金額の上限
補助金の上限額は、視察に参加する従業員・役員1人につき5万円です。また、1つの会社(同一年度内)につき3人までが対象となるため、最大で15万円(5万円×3人)の補助を受けることができます。
補助率と計算例
補助率は、対象となる経費の実費分です。つまり、かかった経費がそのまま補助されます(上限額の範囲内で)。
【計算例】東京のIT企業から2名が3泊4日で長沼町を視察した場合
- 往復交通費(飛行機・JR):40,000円/人 × 2名 = 80,000円
- 町内宿泊費:8,000円/泊 × 3泊 × 2名 = 48,000円
- ワークスペース利用料:2,000円/日 × 2日 × 2名 = 8,000円
対象経費合計:136,000円
1人あたりの経費:68,000円
補助金額の計算:
1人あたりの上限は50,000円なので、
50,000円/人 × 2名 = 100,000円
この場合、10万円が補助金として交付されます。
補助対象者と詳細な要件
この補助金を利用するには、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。自社が対象となるか、しっかり確認しましょう。
対象となる企業
本店または主たる事務所が、以下の「3大都市圏」に所在する法人が対象です。
- 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
- 岐阜県、愛知県、三重県
- 京都府、大阪府、兵庫県、奈良県
満たすべき主要要件
上記の地域要件に加え、以下のすべてに適合する必要があります。
- 3日以上の長沼町への視察を行うこと。
- 予定している事業が対象業種(製造業、ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、インターネット付随サービス業、デザイン業、コールセンター業)のいずれかに該当すること。
- 現時点で長沼町内に事業所を有していないこと。
- 視察期間中に1回以上、町職員のアテンドを伴う視察及びサテライトオフィス開設に関する情報交換を町職員と行うこと。
- 市区町村税を滞納していないこと。
- 暴力団等の反社会的勢力や風俗営業者ではないこと。
【重要ポイント】この補助金は、単なる視察旅行の費用を補助するものではありません。要件4にある通り、町職員と連携し、真剣に長沼町への進出を検討する姿勢が求められます。事前に町の担当者と連絡を取り、視察の目的や計画を共有しておくことがスムーズな申請に繋がります。
補助対象となる経費
補助の対象となる経費は、視察に直接要する「交通費」「宿泊費」「ワークスペース利用料」の3つです。消費税・地方消費税は除かれます。
| 経費区分 | 内容と注意点 |
|---|---|
| 交通費 | ・出発地から長沼町までの往復交通費(公共交通機関に限る) ・長沼町視察中の移動に係る経費(町が必要と認めるもの) ・注意:北海道外の企業の場合、出発地の同一都府県内での移動費(例:東京都内の自宅から羽田空港まで)は対象外です。 ・航空機+宿泊のパック利用も可能です。 |
| 宿泊費 | ・滞在期間中における長沼町内での宿泊費 ・注意:食事代や入湯税が含まれている場合は、その分を差し引いた金額が対象です。 |
| ワークスペース利用料 | ・長沼町内でテレワークを行うためのコワーキングスペース、シェアオフィス等の利用料 ・注意:カフェなどで仕事をした際の飲食費は対象外です。 |
申請から補助金交付までの流れ【5ステップ】
申請手続きは、視察の「前」と「後」に分かれています。流れをしっかり把握して、計画的に進めましょう。
ステップ1:交付申請(視察の14日前まで)
まず、視察計画を立て、事業を実施する14日前までに以下の書類を長沼町役場に提出します。
- 交付申請書(様式第1号)
- 補助対象事業計画書(様式第2号)
- 収支予算書(様式第3号)
- 誓約書(様式第4号)
- 市区町村税の納税証明書
- 企業概要、パンフレット等
- その他町長が必要と認める書類
ステップ2:交付決定
提出された書類が審査され、内容が適当と認められると、町から「交付決定通知書」が届きます。この通知を受け取ってから、正式に補助事業を開始できます。
ステップ3:視察の実施
計画書に沿って長沼町での視察を実施します。この際、後の実績報告で必要となるため、交通費や宿泊費などの領収書は必ず保管しておきましょう。
ステップ4:実績報告(視察終了後)
視察事業が終了した日から30日以内、または当該年度の3月末日のいずれか早い日までに、以下の書類を提出します。
- 実績報告書(様式第8号)
- 領収書など、補助対象経費の支払いを証明する書類の写し
ステップ5:補助金額の確定・交付
実績報告書が審査され、補助金の額が最終的に確定します。町から「確定通知書」が届いた後、請求手続きを経て、指定の口座に補助金が振り込まれます。
採択率を高めるための3つのポイント
採択率は公表されていませんが、要件を満たせば比較的活用しやすい補助金と考えられます。しかし、より確実に採択されるためには、以下の点を意識しましょう。
ポイント1:長沼町への貢献意欲を明確に示す
補助金の目的は「将来的な町内への立地促進」です。事業計画書には、なぜ長沼町に関心を持ったのか、自社の事業が長沼町の産業や地域課題解決にどう貢献できる可能性があるのか、といった点を具体的に記述しましょう。貴社の進出が町にとってメリットがあることをアピールすることが重要です。
ポイント2:町職員との事前相談・連携を密にする
申請要件にもある通り、町職員との連携は必須です。申請前に担当課である「政策推進課 まちづくり推進係」に連絡を取り、視察の目的や計画について相談しておくことを強くお勧めします。町のニーズを直接ヒアリングすることで、より精度の高い事業計画を作成できます。
ポイント3:具体的で実現可能な視察計画を立てる
「3日間、町を視察します」といった漠然とした計画ではなく、「1日目は○○地区の空き物件を調査、2日目は町職員と情報交換および地元企業△△社と面談、3日目はコワーキングスペースで実証テレワーク」のように、具体的で実現可能なスケジュールを計画書に示しましょう。説得力が増し、本気度が伝わります。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 視察は連続した3日間でなければなりませんか?
- A1. 要綱には「おおむね3日以上」と記載されており、必ずしも連続している必要はないと考えられますが、詳細は申請前に長沼町の担当課にご確認ください。
- Q2. レンタカー代は交通費に含まれますか?
- A2. 交通費は「公共交通機関に係る費用」が基本ですが、「本町視察中の移動に係る経費のうち町が必要と認める経費」も対象です。レンタカーが必要な理由を説明できれば対象となる可能性がありますので、事前にご相談ください。
- Q3. 交付決定前に予約・支払った航空券代は対象になりますか?
- A3. 原則として、補助事業は交付決定後に開始するものです。決定前に支払った経費が対象になるかはケースバイケースとなるため、必ず事前に町の担当課に確認してください。
- Q4. 視察中にオンラインで通常の業務を行っても良いですか?
- A4. はい、問題ありません。むしろ、長沼町の通信環境などを確認する良い機会となります。その際のワークスペース利用料も補助対象です。
- Q5. 複数の部署から合計3人以上が視察に参加できますか?
- A5. 補助対象は「同一年度内において、補助対象者1社につき3人まで」です。部署が異なっても、同じ会社であれば合計3人までが上限となります。
まとめ:長沼町への第一歩をこの補助金で踏み出そう
「長沼町お試しサテライトオフィス推進事業補助金」は、地方への拠点展開を検討している企業にとって、リスクを最小限に抑えながら現地の可能性を探れる、またとない機会です。札幌市や新千歳空港からのアクセスも良好で、豊かな自然環境と都市機能への利便性を兼ね備えた長沼町は、新しい働き方の拠点として大きなポテンシャルを秘めています。
この制度を最大限に活用し、貴社の新たなビジネス展開の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。まずは公式サイトで詳細を確認し、お気軽に長沼町の担当課へお問い合わせください。