補助率の構造比較(国+福岡県で最大75%)結論:福岡県の中小企業ならIT導入コストを最大75%削減可能
福岡県内で事業を営む中小企業が、国の「IT導入補助金2025(通常枠)」を活用してソフトウェア導入やクラウド利用を開始する場合、福岡県独自の「中小企業IT導入・賃上げ緊急支援補助金」を併用することで、自己負担額を劇的に軽減できます。本制度は国の補助金(2/3)に県が1/12を上乗せし、合計補助率を3/4(75%)に引き上げるものです。
Check! 重要ポイント
- 国のIT導入補助金(通常枠)の採択が絶対条件
- 補助上限額は最大56万2,500円(国と合わせると約500万円以上の支援)
- 「地域別最低賃金+50円以内」の従業員に対する賃上げ努力が求められる
- 申請期限は令和8年(2026年)1月19日まで
制度の仕組みと上乗せ補助のメリット
本補助金は、物価高騰や人手不足に直面する福岡県内の中小企業に対し、IT化による生産性向上と、それに伴う持続的な賃上げを支援することを目的としています。単独の補助金ではなく、国の制度を補完する「横出し・上乗せ」型の支援策であることが特徴です。
POINT:なぜ福岡県は上乗せを行うのか
福岡県は、地方都市の中でもDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に注力しています。国の補助金だけでは自己負担が重く、導入を躊躇している小規模事業者に対し、県がさらに1/12を負担することで、実質的な投資ハードルを下げ、県内企業の競争力を底上げする狙いがあります。
補助率の構造比較
通常、国のIT導入補助金(通常枠)では経費の2/3が補助されますが、本制度を適用すると以下のようになります。
補助金額と対象経費のシミュレーション
本補助金で受け取れる金額は、国のIT導入補助金で認められた対象経費に基づき算出されます。上限額は56万2,500円に設定されています。
対象となる経費
福岡県の補助金対象となるのは、国のIT導入補助金(通常枠)で認められた経費のうち、以下の項目に限られます。
- ソフトウェア購入費: 業務効率化や売上アップに寄与するソフトウェアのライセンス費用
- クラウド利用料: ソフトウェアをクラウド形態で利用する場合の最大2年分の利用料
注意:ハードウェア(PC、タブレット、プリンター等)や、導入コンサルティング、保守運用費用などは、国の補助対象であっても福岡県の上乗せ補助対象からは除外されるため、計算時に注意が必要です。
具体的な補助額シミュレーション
ソフトウェア導入費用(対象経費)が675万円を超える場合、県の上乗せ額は上限の56万2,500円に達します。
ケース1:300万円のシステムを導入する場合
・国の補助金(2/3):200万円
・福岡県の上乗せ(1/12):25万円
・補助合計額:225万円
・自己負担額:75万円
ケース2:700万円のシステムを導入する場合
・国の補助金(2/3):450万円(上限)
・福岡県の上乗せ(1/12):56万2,500円(上限)
・補助合計額:506万2,500円
・自己負担額:193万7,500円
申請対象者の要件と「賃上げ」の定義
本補助金は「賃上げ緊急支援」という名称の通り、IT導入による利益を従業員へ還元することを強く求めています。そのため、一般的な補助金よりも詳細な雇用・賃金要件が設定されています。
必須条件リスト
- 国のIT導入補助金2025(通常枠)に採択されていること: インボイス枠やセキュリティ対策推進枠は対象外です。
- 福岡県内に本社または主たる事業所があること: 支店のみが福岡県にある場合は対象外となります。
- 補助率2/3の適用を受けていること: 国の審査で2/3補助が決定している必要があります。
- 賃上げ要件の充足: 以下の条件をすべて満たす必要があります。
賃上げ要件の詳細:
「3か月以上、地域別最低賃金+50円以内」で雇用している従業員が、全従業員数の30%以上いる事業者が、その従業員に対して賃上げを実施、または実施する計画を有していることが必要です。これは、低賃金労働者の底上げを目的とした福岡県独自の厳しい基準です。
2026年以降の展望と次回の公募予定
現在、本補助金の申請期限は令和8年(2026年)1月19日までとなっています。しかし、これは予算の執行状況や国のIT導入補助金のスケジュールによって前後する可能性があります。
次年度以降の見通し
政府の経済対策において、中小企業の「省力化」と「賃上げ」は最優先課題となっており、2026年度(令和8年度)以降も同様の上乗せ措置、あるいは形を変えた継続支援が行われる可能性が高いと予測されます。特に福岡県は「福岡県DX推進計画」に基づき、2027年頃まで集中的な支援を行う姿勢を見せています。
公募終了後の代替案
もし本補助金の期限が切れた場合、以下の制度が代替案となり得ます。
・中小企業省力化投資補助金: カタログから製品を選ぶ簡易的な補助金。
・福岡県生産性向上促進補助金: 県独自の設備投資支援(不定期募集)。
・各市町村のDX支援金: 福岡市や北九州市など、自治体独自の上乗せ策。
賃上げ要件の具体的イメージ(対象人数と金額しきい値)申請手順と必要書類の完全ステップ
本補助金は、国の補助金が「確定」した後に申請する後払い方式です。ステップを間違えると受給できません。
1
国の採択・事業完了
IT導入補助金でツールを導入し、実績報告を行う
2
額の確定通知受領
国から補助金額の最終確定通知書を受け取る(必須)
3
債権者登録
「ふくおか電子申請サービス」で振込口座を登録
5
交付決定・入金
審査後、県から補助金が振り込まれる
採択率を高めるための3つのポイント
本補助金は「上乗せ」であるため、国の審査を通過していれば、書類不備がない限り原則として採択されます。しかし、以下の点に注意しないと「申請自体ができない」事態に陥ります。
1. スケジュール管理の徹底
国のIT導入補助金は、申請から交付決定、事業実施、実績報告、額の確定まで数ヶ月を要します。県の期限(令和8年1月19日)までに「額の確定通知書」が手元にある必要があり、逆算すると令和7年(2025年)秋頃までには国の実績報告を完了させておくのが安全です。
2. 賃上げ要件の証拠書類
賃上げを実施したことを示す「賃金台帳」や「雇用契約書」の整理を事前に行っておきましょう。特に「地域別最低賃金+50円以内」の定義は、基本給だけでなく諸手当の扱いも含むため、社会保険労務士等の専門家に確認することをお勧めします。
3. 対象経費の切り分け
国のIT導入補助金でPC等のハードウェアを購入した場合、その分は県の補助対象経費から差し引いて計算しなければなりません。この計算を間違えると、書類不備として差し戻され、修正に時間を取られることになります。
代替案:IT導入補助金以外の有力な支援制度
もしIT導入補助金の枠に漏れた場合や、上乗せ補助金の期限を過ぎてしまった場合は、以下の制度を検討してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 国のIT導入補助金の「インボイス枠」で採択されました。県の補助金は申請できますか?
A. いいえ、申請できません。本補助金の対象は「通常枠」で採択された事業者に限定されています。インボイス枠(旧デジタル化基盤導入枠)は対象外ですのでご注意ください。
Q. 賃上げ要件が未達だった場合、返還義務はありますか?
A. 国のIT導入補助金において賃上げ要件未達による返還規定がある場合、それに準じて県への返還も求められる可能性があります。申請時の誓約事項を必ず確認してください。
Q. 申請は完全にオンラインで完結しますか?
A. いいえ、完結しません。振込先情報を登録する「債権者登録」はオンライン(ふくおか電子申請サービス)で行いますが、補助金自体の申請書類(様式第1号等)は事務局へ「郵送」する必要があります。
まとめ:早めの準備が成功の鍵
福岡県中小企業IT導入・賃上げ緊急支援補助金は、IT投資の自己負担を25%まで抑えることができる、県内事業者にとって非常に有利な制度です。しかし、国の補助金採択と「額の確定」が必須条件となるため、時間的な余裕を持って動くことが不可欠です。
今すぐすべきアクション
- 国の「IT導入補助金2025」通常枠の公募スケジュールを確認する
- 導入予定のソフトウェアが「ITツール」として登録されているか確認する
- 社内の賃金状況を把握し、賃上げ要件を満たせるかシミュレーションする