高齢者の「聞こえ」をサポート!川口市・川越市の補聴器購入費補助金とは
加齢に伴う聴力の低下(加齢性難聴)は、多くの方が経験する自然な変化です。しかし、「年のせいだから」と放置してしまうと、家族や友人との会話が減り、社会的な孤立につながることがあります。さらに、近年の研究では、難聴が認知機能の低下リスクを高める可能性も指摘されています。
このような背景から、埼玉県川口市および川越市では、高齢者の聞こえを支援し、生活の質(QOL)の維持・向上を図るため、「高齢者補聴器購入費補助事業」を実施しています。この制度は、経済的な理由で補聴器の購入をためらっている方々を後押しし、積極的な社会参加と自立した生活を促進することを目的としています。
本記事では、2025年度(令和7年度)の川口市・川越市の高齢者向け補聴器購入費補助金について、対象者の条件、補助金額、申請方法から注意点まで、どこよりも詳しく解説します。ご自身やご家族が対象になるかを確認し、制度を最大限に活用しましょう。
■ この記事でわかること
- 川口市・川越市の補聴器補助金の具体的な金額と対象者
- 失敗しないための正しい申請手順と必要書類
- 補助金の対象となる補聴器とならない費用(集音器との違い)
- 申請前に知っておくべき注意点とよくある質問
【一目でわかる】川口市・川越市の高齢者補聴器補助金 比較表
まず、川口市と川越市の制度の主な違いを比較表で確認しましょう。ご自身がお住まいの市の制度を把握するための参考にしてください。
| 項目 | 川口市 | 川越市 |
|---|---|---|
| 補助上限額 | 最大 20,000円 | 最大 30,000円 |
| 年齢要件 | 市内に住所を有する満65歳以上の方 | |
| 所得要件 | 本人が市民税非課税 または 生活保護受給世帯 | なし |
| 聴力要件 | 原則、両耳の聴力レベルが40dB以上70dB未満(中等度難聴) | 両耳40dB以上70dB未満、または片耳40dB以上70dB未満かつ他耳25dB以上40dB未満 |
| 共通の要件 | ・聴覚障害による身体障害者手帳の交付対象とならないこと ・耳鼻咽喉科の医師から補聴器の必要性を認められていること | |
| 申請期間(目安) | 令和7年4月1日~令和8年3月31日 | 令和7年6月上旬~令和8年1月下旬 |
補助金はいくらもらえる?助成金額と計算方法
ユーザーが最も気になる「補助金はいくらもらえるのか」について、具体的な金額と計算例を解説します。
川口市:上限20,000円
川口市では、補聴器の購入費用に対して最大20,000円が補助されます。これは1人1回限りの補助です。
- 購入費用が20,000円未満の場合:購入費用の実費額が補助されます。
- 購入費用が20,000円以上の場合:一律で20,000円が補助されます。
川越市:上限30,000円
川越市では、補聴器本体の購入費用に対して最大30,000円が補助されます。
- 購入費用が30,000円未満の場合:購入費用の実費額が補助されます。
- 購入費用が30,000円以上の場合:一律で30,000円が補助されます。
具体的な計算例
具体的な購入金額を想定して、補助金額がいくらになるかを見てみましょう。
- ケース1:川口市在住の方が18,000円の補聴器を購入
購入費用が上限額(20,000円)を下回るため、補助金額は実費の18,000円となります。 - ケース2:川口市在住の方が50,000円の補聴器を購入
購入費用が上限額(20,000円)を上回るため、補助金額は上限額の20,000円となります。 - ケース3:川越市在住の方が28,000円の補聴器を購入
購入費用が上限額(30,000円)を下回るため、補助金額は実費の28,000円となります。 - ケース4:川越市在住の方が80,000円の補聴器を購入
購入費用が上限額(30,000円)を上回るため、補助金額は上限額の30,000円となります。
あなたは対象?補助金の対象者と詳細な条件
補助金を受け取るためには、いくつかの条件をすべて満たす必要があります。ここでは、川口市と川越市の対象者条件を詳しく解説します。
川口市の対象者条件
川口市で補助金の対象となるのは、以下のすべての条件を満たす方です。
- 市内に住所を有し、現に居住する満65歳以上の方
- 本人が市民税非課税または生活保護受給世帯である方
- 聴覚障害による身体障害者手帳の交付対象とならない方
- 耳鼻咽喉科の医師から補聴器が必要と診断された方
- 原則として、両耳の聴力レベルが40デシベル以上70デシベル未満(中等度難聴)の方
川越市の対象者条件
川越市で補助金の対象となるのは、以下のすべての条件を満たす方です。
- 市内に住所を有する満65歳以上の方
- 聴覚障害による身体障害者手帳の交付対象とならない方
- 耳鼻咽喉科の医師が補聴器の装用を必要かつ有用であると認める方
- 聴力レベルが以下のいずれかに該当する方
- 両耳とも中等度難聴(40デシベル以上70デシベル未満)
- 一側耳が中等度難聴(40デシベル以上70デシベル未満)で、もう一方が軽度難聴(25デシベル以上40デシベル未満)
■ ポイント解説:「身体障害者手帳の交付対象とならない方」とは?
身体障害者手帳(聴覚障害)は、一般的に両耳の聴力レベルが70デシベル以上(高度難聴)の場合などに交付されます。この補助金制度は、手帳の対象にはならないものの、日常生活で聞こえにくさを感じている「中等度難聴」の方を主な対象としています。ご自身の聴力レベルがわからない場合は、まず耳鼻咽喉科を受診して聴力検査を受けることが第一歩となります。
どの補聴器が対象?補助対象となる購入費用
補助金の対象となるのは、「管理医療機器」として認定された補聴器本体の購入費用のみです。以下の費用は対象外となるため注意が必要です。
| 補助対象経費の範囲 | |
|---|---|
| ✔ 対象となるもの | ✖ 対象とならないもの |
|
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補聴器と集音器の違い
補助金の申請でよくある間違いが、「集音器」を購入してしまうケースです。補聴器と集音器は見た目が似ていますが、全く異なるものです。
- 補聴器:厚生労働省から「管理医療機器」として承認されています。使用者の聴力に合わせて音を調整(フィッティング)する機能があり、専門家による調整が必要です。
- 集音器:医療機器ではありません。単に周囲の音を大きくする装置であり、個人の聴力に合わせた調整はできません。家電量販店などで購入できますが、補助金の対象にはなりません。
補助金を利用する場合は、必ず補聴器販売店で専門家に相談し、医療機器として認定された補聴器を選ぶようにしてください。
【完全ガイド】補聴器補助金の申請方法と手順
補助金の申請は、正しい手順を踏むことが非常に重要です。特に、必ず補聴器を購入する前に申請手続きを開始する必要があります。交付決定前に購入した補聴器は補助の対象外となりますので、十分にご注意ください。
川口市の申請手順(フロー)
川口市では、まず事前確認からスタートします。
- 事前相談と書類入手:まず、市の長寿支援課に「事前確認票」を提出します。要件を満たしていると確認されれば、「申請書」と「医師意見書」の様式を受け取ります。
- 耳鼻咽喉科の受診:指定の医療機関で聴力検査を受け、医師に「医師意見書」を作成してもらいます。(文書作成料は自己負担です)
- 見積書の取得:補聴器販売店で、購入したい補聴器の「見積書」を作成してもらいます。
- 補助金の申請:「申請書」「医師意見書」「見積書」の3点を長寿支援課に提出します。
- 交付決定:市で審査が行われ、補助が決定すると「交付決定通知書」が自宅に届きます。この通知書が届いてから、補聴器を購入してください。
- 補聴器の購入:交付決定通知書を受け取ったら、見積もりを取った販売店で補聴器を購入し、「領収書」を受け取ります。
- 実績報告と請求:市から送付された「実績報告書兼請求書」に必要事項を記入し、「領収書」を添えて長寿支援課に提出します。
- 補助金の振込:最終確認後、「確定通知書」が届き、指定した口座に補助金が振り込まれます。
川越市の申請手順(フロー)
川越市の申請手順は以下の通りです。
- 書類の入手:市の高齢者いきがい課窓口や市のウェブサイトから「申請書」と「医師意見書」の様式を入手します。
- 耳鼻咽喉科の受診:医療機関で聴力検査を受け、医師に「医師意見書」を作成してもらいます。(文書作成料は自己負担です)
- 見積書の取得:補聴器販売店で、購入したい補聴器の「見積書」を作成してもらいます。
- 補助金の申請:「申請書」「医師意見書」「見積書」を高齢者いきがい課に提出します。(申請期限:令和8年1月30日(金曜)まで)
- 交付決定:審査後、「交付決定通知書」が自宅に届きます。この通知書を受け取ってから補聴器を購入します。
- 補聴器の購入:販売店で補聴器を購入し、「領収書」を受け取ります。
- 請求書の提出:「請求書」と「領収書」を高齢者いきがい課に提出します。(提出期限:令和8年3月31日(火曜)まで)
- 補助金の振込:審査後、「確定通知書」が届き、指定口座に補助金が振り込まれます。
申請に必要な書類一覧
申請には複数の書類が必要です。不備がないように事前に準備しましょう。
| 書類名 | 入手場所・作成者 | 提出タイミング |
|---|---|---|
| 補助金交付申請書 | 市の担当窓口、市ウェブサイト | 申請時 |
| 医師意見書 | 耳鼻咽喉科の医師 | 申請時 |
| 見積書 | 補聴器販売店 | 申請時 |
| 実績報告書・請求書 | 市の担当窓口(交付決定時に送付される場合が多い) | 購入後 |
| 領収書 | 補聴器販売店 | 購入後 |
| 振込先口座がわかるもの(通帳のコピー等) | 申請者本人 | 請求時 |
審査に通るための3つのポイントと注意点
補助金の審査基準は公表されていませんが、以下の3つのポイントを押さえることが採択の鍵となります。
■ 採択のポイント
- 申請要件を確実に満たすこと:年齢、住所、聴力レベル、所得(川口市の場合)など、すべての要件を満たしていることが大前提です。一つでも満たしていない場合は対象外となります。
- 医師意見書の重要性を理解する:医師意見書は、医学的観点から補聴器の必要性を証明する最も重要な書類です。聴力検査の結果だけでなく、コミュニケーションの状況など、日常生活での困りごとを具体的に医師に伝え、意見書に反映してもらうことが大切です。
- 書類の不備をなくすこと:申請書への記入漏れや捺印忘れ、必要書類の添付漏れは、審査の遅れや不受理の原因となります。提出前に何度も確認し、不明な点は担当窓口に問い合わせましょう。
埼玉県内の他の市町村や東京都・横浜市の補聴器補助金制度は?
「補聴器補助金 埼玉県」や近隣都県の制度に関心のある方も多いでしょう。埼玉県内では、川口市・川越市以外にも、さいたま市、所沢市、上尾市、春日部市など多くの自治体で同様の高齢者向け補聴器購入費助成制度が実施されています。ただし、補助上限額や対象者の条件(特に所得要件の有無)は市町村によって大きく異なります。
また、近隣の主要都市では以下のような状況です。
- 東京都:区市町村単位で独自の助成制度を実施しています。例えば、千代田区、港区、新宿区、世田谷区など多くの区で制度があります。お住まいの区市町村のウェブサイトをご確認ください。
- 横浜市:横浜市では、身体障害者手帳の等級に該当しない軽度・中等度難聴児(18歳未満)への補助制度はありますが、2024年現在、高齢者を対象とした市独自の購入費補助制度は実施されていません。(今後の動向にご注意ください)
このように、制度の有無や内容は自治体によって様々です。伊勢市、江別市、佐野市など、全国の多くの自治体で高齢者向けの補助金制度が導入されていますので、お住まいの地域の情報を確認することが重要です。
よくある質問(FAQ)
補聴器補助金の申請に関して、多くの方が抱く疑問をQ&A形式でまとめました。
まとめ:補聴器補助金を活用して、豊かなコミュニケーションを取り戻そう
川口市・川越市の高齢者補聴器購入費補助金は、聞こえに悩む方々にとって非常に心強い制度です。経済的な負担を軽減し、補聴器の使用を始める良いきっかけとなります。
最後に、この制度を活用するための重要なステップをまとめます。
■ 補助金活用のための3ステップ
- まずは相談:ご自身の聞こえに不安を感じたら、まずはお住まいの市の担当窓口(長寿支援課や高齢者いきがい課)に電話で相談し、制度の詳細や対象になるかを確認しましょう。
- 耳鼻咽喉科を受診:次に、耳鼻咽喉科を受診して正確な聴力検査を受け、補聴器が必要かどうかの診断と「医師意見書」の作成を依頼します。
- 購入前に申請:医師の診断を受けたら、補聴器販売店で見積もりを取り、必ず購入前に市の補助金申請手続きを行ってください。
補聴器は、再び世界とのつながりを取り戻すための大切なツールです。この補助金制度を賢く利用し、家族との会話や趣味を存分に楽しむ、アクティブで豊かな毎日を送りましょう。
【本制度に関するお問い合わせ先】
川口市にお住まいの方:
福祉部 長寿支援課 専用ダイヤル: 048-252-0261
川越市にお住まいの方:
福祉部 高齢者いきがい課 高齢者いきがい担当: 049-224-5809
※最新の情報や詳細な手続きについては、必ず各市の担当窓口にご確認ください。